ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Little Big Town(リトル・ビッグ・タウン) 「A Place to Land」

2007-11-23 | カントリー(女性)
 実力派カントリー・カルテット、Little Big Town待望の新作、3作目になります。2005年の前作「The Road to Here」やライブ活動などでジワジワとカントリー・ファンの注目を集めてその地位を確立した彼ら。けして売れ筋に媚びを売ったり見た目の派手さはないものの、男女4人による素晴らしいコーラスと、良き時代のアメリカン・ロックのテイストをカントリー・ミュージックへ絶妙にブレンドし、音楽への情熱と良心に溢れたコンテンポラリー・カントリーを提供してくれる貴重な存在です。今回も才能溢れるプロデューサーWayne Kirkpatrickのサポートにより、前作と変わらぬクォリティを維持しています。

 

 Little Big Townといえば、Karen Fairchild(黒髪の女性)とKimberly Roads(ブロンドの女性)という2人の女性ボーカルがいる事やその作風から、Fleetwood Macからの影響が良く取りざたされます。それは前作「The Road to Here」での冒頭からの3曲(特に3曲目"Bones"!)が、ブルース・ロックとカントリー・ミュージックを見事にミックスさせた、ヘヴィで緊迫感溢れた作品群であった事からも強烈に感じられました。対して今回は、その軸足をよりアコースティック指向に移しカントリー・ロック色が強まったサウンド・イメージになっていると思いました。そう、Eaglesを想起させるサウンドと言えるでしょうか。

 オープニングの"Fine Line"からして、本アルバムのイメージを見事に凝縮した、アップテンポのロッキン・カントリー。前作の"Good As Gone"の緊迫感とは違って、リラックスして快調な作品です。 しかし、そのコーラス・ラインにはしっかりFleetwood Macの"Go Your Own Way"の影を感じさせるところがコダワリ?先に紹介したCMT.comでのアコースティック・ライブでも演奏されていまして素晴らしいコーラスが堪能できるモノでしたが、こうしてバンドが入った見事なアレンジが施されると曲の魅力が倍増しますね。続くはリード・シングルとなった"I'm with the Band"。ロード・ツアーに生きる事を運命付けられたミュージシャンの思いが、ミニマムでアコースティックなカントリーのバックに乗った4人の素晴らしいコーラスで切々と歌いだされます。そして2番から突如ドラマティックにバンドが参入、見事な盛り上がりを見せるのです。”昨夜はメンフィス、今夜はニュー・オリンズ、明日はここから幾マイルも彼方。~俺はスーツケースを片手に生まれて、大概の連中が理解できない人生を歩む。時々自分がどこにいるのかわからなくなるんだ。でもそんな時でも俺は分かってる、いつもバンドと共にいるんだ”ここでのエレクトリック・サウンドとアコースティック楽器とのミックスが感じさせる本物感こそが彼らの真骨頂。この手のヘヴィ系作品では、"Vapor"もイカシてて、リフレインでのコーラスが3D的でカッコイイ。さらに終盤で聴かれるKarenのハスキーでソウルフルなアドリブがクライマックスを演出します。タイトル曲"A Place to Land"は、軽快なミディアムの佳曲。前作には見受けられなかったタイプの曲ですね。乾いたテレキャスターによるリードギターとKimberlyの甘い歌声のマッチングが良いことに加え、隠し味的なバンジョーがカントリー・ミュージックならではの旨みを提供します。

 

 この「A Place to Land」は前作に比べて、アコースティックな和める作品が多くなっていることが特色。その中でも"To Know Love"がリズムセクションなしの完全弾き語り曲で癒しの極地です。"That's Where I'll Be"や"Only What You Make of It"のミディアム系は、懐かしいEaglesのアコースティック・サウンドが思い出されますが、気持ちの良いコーラスにはLittle Big Townならではの個性があり、ドブロ・ギターやペダル・スティールのダウン・ホームな響きは現在カントリー・ミュージックでこそ堪能できるものです。チョッと異色なのが、"Evangeline"。線の細いアコースティック・ギター音による幻想的なサウンドと、Kimberlyのボーカルが不思議な雰囲気で彼らにとっては新境地と言えるでしょう。

 つい最近、Eaglesが新作を発表し、チャートの方もポップ、カントリー共にNo.1を取るなど話題になっています。確かにかつて心を躍らせたロックの大ベテランがこうして復活して活躍するのはうれしい事ではあります。しかし、Little Big Townのようなこれからの若い世代が、そのかつての栄光のロック・サウンドと、もっと長い歴史を持つカントリー・ミュージックのエッセンスを融合し、そしてそこに彼ら自身のセンスを投入して今の音を創造しようとする姿には感動します。それにしても、Karen Fairchildは良いシンガーだなぁ。

  Little Big TownのMySpaceサイトはコチラ

 
 Karen Fairchild


最新の画像もっと見る

コメントを投稿