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昨年12月に発表された、2019年グラミー書のノミネートで、
オールジャンルの新人賞にマーゴ・プライスの名が有ったことは、不意
を突かれたような感じがありました。その原動力は、2017年にリリース
された、このセカンド・アルバムにより生まれた事は間違いないでしょ
う。いわゆる批評家筋からの評価は確かに高かったですから。コチラで
の、デビュー作「Midwest Farmer's Daughter」のレビューへ頂いたコ
メントで、オーストラリアでも精力的なライブ活動をしている情報を
頂きましたが、そういったグローバルな活躍も力になってる感じがしま
す。
2016年の「Midwest Farmer's Daughter」は、クラシカルなホンキー・
トンク・スタイルを現代的にパワフルに蘇らせた注目盤でした。太い軸
のようなものが通った感じとでも言いましょうか。対して今作、オープ
ニングの"Don't Say It"からハイテンポなロカビリーで飛ばして行きま
す。サウンドの重心は前作より高めで軽やか、そして何より、楽曲のス
タイルが実に幅広くなっているのです。8ビートのロカビリー"Don't
Say It"からダンス・チューンの"Weakness"、テンポ・チェンジが印象
的なテックス・メックス調の"Pay Gap"。"Cocaine Cowboys"や"Do Right
by Me"に至っては、ユルめなファンク・ビートをフィーチャしています。
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そんなバラエティに富んだ中でも、やはり心に染み入るのが、カントリ
ー・バラードの"Learning to Lose"。マーゴの飛び切り美しく艶やかな
声と、ゲストの超レジェンド、ウィリー・ネルソンの枯れた魂の声の
折り重なる様が良いです。それぞれ自分の持ち味で個性をぶつけ合いな
がらも、絶妙に溶けあっている感じがします。バラードでも、"Nowhere
Fast"の方は、複雑で深み有るサウンドも交えてオルタナ・カントリー
的な雰囲気の曲です。
歌詞の面では、デビュー作での自身の内面の描写から、例えば"Pay Gap"
で給料の性差を取り上げる等、社会状況へモノ申す姿勢も垣間見えた
りで、音楽のみならずアーティストとして幅を広げる意欲を見せていま
すね。こういったあたりが、ヒット・カントリーとは一味違う個性とし
て、アメリカ音楽界で認められたと思います。
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