ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Ingrid Andress イングリッド・アンドレス - Lady Like ~インタビューで語るルーツや人柄~

2020-04-04 | カントリー(女性)

★セカンド・アルバム「Good Person」を取り上げました

 

このブログは、一応”カントリーミュージック”と銘打っておりま

すが、そもそもは洋楽、ロックが好きだった身なので、こういう

聴くに値する旬のアメリカン・ミュージックが有りますのでいか

が?という気持ちでやってきました。近年のカントリーは、ま

すます楽スタル上の定義がしにくくなってきていすしね。

それでも、このリリースされたばかりの、イングリッド・アン

レスデビュー・アルバムを聴くと、いわゆるポップ・カントリ

ーの枠内で語ってよいかしら、とも思ってしまう風情があって、

やはりンガーソングライター系のアースト、と捉えた方が

素直な音楽だと思いました。在、カントリー・シングル・チャ

ート(本国ではあくまでカーのカテゴリーです)でトップ

10ヒットになっている、"More Hearts Than Mine"、なかなかの名

作バラードだ、聴き入っています。

 

 

まずプロフィールを。コロラド州はHighlands Ranchの生まれ。

大家族で育ち、高校に通うまでは学校に通わず家で勉強していま

した。子供の頃に音楽に興味を持ち、ドラムやピアノ、さらには

自身で曲作りも始めます。ロック・キャニオン高校在学中にはチ

ャンバー・ジャズ(室内ジャズ、新古典主義とジャズが融合した

ジャンル。かつてのウィンダム・ヒルあたりの音楽)の合唱団で

活動という異色の経歴を持ちます。さらにボーカルとピアノのレ

ッスンに熱心に取り組んだ結果、最終的にボストンのバークリー

音楽大学でボーカルの学位を取得したのです。

 

この2010年頃、イングリッドが所属していたグループが、NBC局

のアカペラ・グループを対象とした音楽コンテスト番組「The Sing-Off」

で注目を集め、彼女の歌声が賞賛されました。大学卒業後、すか

さずナッシュビルへ移動し、ソングライターとして活動を開始。

チャーリーXCXの”Boys"やローレン・ジェンキンスの作品で彼女

の名がクレジットされていきます。そして2019年に自身のデビュ

ー曲”Lady Like"をリリースするのです。

 

 

カントリー界では珍しくキーボードの弾き語りスタイルを基本に

している人で、この形は70年代のロニー・ミルザップが思い出さ

れるくらいです。声はビッグ・ネームで喩えると、あのキャロル・

キングをよりスムーズに、艶やかにしたといったところか。だか

ら、キャロルがアレサ・ランクリン("Natural Woman")やダ

ニー・ハサウェイ("You've Got A Friend")の代表曲をモノにした

ように、ソウルの要素もあります。サウンドは、ピアノを軸にし

てたっぷりとストリングスやシンセ音をィーチャーし、結構ス

ケールの大きいアレンジと歌声を聴かせます。

 

オープニングの"Bad Advice"は、ストリングスのイントロで始まる

メランコリックなミディアム。カントリーでは異色のとても品位

のあるサウンドです。一応、スティール・ギターの伴奏が入ってい

ます。多くを占める、"Both"などのスロー曲はいずれも奥行き有る

リッチともいえるサウンドを伴い、コーラスのメロディが個性的

なりフックが有りますね。

 

その中で、ヒット中の"More Hearts Than Mine"のわりと簡素なア

ンジが際立ちます。厳格な家族のいる実(両親のベッドはよ

あるダブルでなくセパレート)に彼氏連れてこれたら、家族

はこんなに迎えただろうに・・・という内が歌われているよう。

本当に美しいメロディで、イングリッドの声もリアルに響きま

す。こういう彼女の声にクローズアップしたレンジの曲をもう

少し多く聴きたかったとも思いますね。それと、曲数が8曲(※)

かなり少ないのが不思議です。

 

(※)ストリーミングでは、13曲入りのデラックス版がリリースされ

います。曲順もかなり変更され、"The Stranger"のリイメージ

と題したしっとりしたバージョンや、リトル・ビッグ・タウ

ンのカレンとキンバリーがコーラスを付けた"More Hearts Than

Mine"の別バージョンも入っています。少しパーソナルな印象に

なり、よりいい感じになったと思います。

 

 

 

イングリッドがCMAに語ったインタビューがありますので、彼女

の言葉で人柄を覗いてみましょう。

 

<カントリー界でキャリアをスタートしたいと思ったのはなぜ?>

 

私はいつもカントリーの歌詞に惹かれていたの。良いカントリー

曲はいずれも皆に関わる物語を語っていて、私にはとても力強い

ものよ。そんな世界の一部になりたくてナッシュビルに移った。

多くのカントリー・レジェンド達がそうしたように、私も自分の

物語を語る方法を学びたいの。

 

<あなたのスタイルやサウンドをどう表現しますか?>

 

この質問は私にとっていつも答えるのが難しいわ。なぜなら、私

はただ、他の人も取り組んでいるような事柄について書いている

人間でしかないから。自分の身に起こっていない事を書くことは、

私には出来ないわ。私の音楽をユニークなものにしているのは、

100%私の物語であり私の人生よ。少し怖くもあるけれど。傷付

くことはあまり好ましい事と思ってなかったけど、正直でいるの

大事だと思っているわ。

 

<誰が貴方の音楽のモデルになりましたか?また、なぜ?>

 

私はいろんな音楽を聴くために、友達にCDを焼いてくれるよう頼

まなくてはいけなかった。私の両親はとても伝統的で、私や兄弟

たちに、クリスチャン・ミュージックとスティービー・ワンダー

しか聴かせてくれなかったから。最も影響を受けたアーティスト

は歌声の背後に本物のパッションを持つ人たち、ジョン・デンバ

ー、ホイットニー・ヒューストン、エミネム、そしてディクシー

・チックスのようなね。

 

 

<皆に貴方を知ってもらうのに一番大切な事は何だと思いますか?>

 

私はあまりシリアスにならないようにしてるの。一所懸命仕事を

して沢山のゴールを目指しているけれど、それらをするのに”完全”

である必要はないと感じている。ソーシャル・メディアは人々を

少し追い詰め始めてるわ。それは常に最高の見え方、活動の仕方

をしなきゃいけないというスタンダードを作ったけれど、実際の

人生はそうじゃないわね。悪い日があって良いのよ。私は幸せや

フェイクよりも、正直でいたり、悲しみが有って良いと思うわ。

 

 

いわゆるポップ・カントリー・タイプの曲では、カントリーらし

さ、田舎町の土埃が立ち込めるような洗練しきらない雰囲気を出

す為に、ポップ曲やロック曲に、フィドルやバンジョーを挿入す

る事をします。このイングリッドの音楽も確かにそれはされてい

ますが、それ以上に豊かな品位が勝っており、そこが冒頭に触れ

た印象になっているようです。彼女の経歴を見ると、この個性的

なスタイルは納得できますね。成功した"More Hearts Than Mine"

はそれが控えめだったのですが、クオリティの高い曲が多いアル

バム全体としてどう受け入れられるか注目したいです。

 



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