●2011年の「Four the Record」のレビューはコチラで
キュートなルックスながら、なかなかハードなカントリー・ロックと叙情的で結構コンサバティブなカントリー・バラードが持ち味のミランダ・ランバートの3枚目です。華やかなロック曲に注目が集まりがちですが、バラードで聴かせる、チョッとアーシーなカントリー・ボイスこそが、彼女の一番の魅力だと私は思っています。本アルバムは、基本的にこれまでの彼女のカントリー・ロック路線の延長線上にあるのですが、タイトルの「Revolution」の語感よりはジャケ写のちょっぴり大人びたイメージの方がしっくり来る感じ。まあ、そのズレを狙ったんでしょう。大人の女性へのRevolution。トータルのイメージをこれまでの2作と比較すると、本作は落ち着いた親しみやすさにシフトしてます。ここら、既に同居しているというボーイフレンド、ブレイク・シェルトンとの関係が順調な事が影響しているのかもしれません。
全15曲。カントリーとしては曲数が多く、このアルバムがロック~ポップ・ファンへのクロスオーバーを想定して作られている事が見て取れます。オープニングはセカンド・シングル曲、幻想的な響きから始まって、アコギとエレキのアンサンブルによる「これぞカントリー!」と言いたくなる素晴らしいイントロで始まる"White Liar"。シンプルで魅力的なメロディがキメの、カントリー・ロックです。これまでのオープニング曲、"Kerosen""Gunpowder & Lead"らのハード・ロック・ナンバーと比べると、比較的ルーツ志向の曲でスタートしてるのがミソかな。こういう”カントリーのメロディ”で映える、ミランダの声に魅了されてください。2曲目の"Only Prettier"のイントロ、前作「Crazy Ex-Girlfriend」での同じく2曲目"Dry Town"と雰囲気が似てますね。前回はペダルスティールでしたけど。"Dry Town"はかなり塩っ辛いナンバーでしたが、"Only Prettier"はダブル・トラックっぽく歌われるメロディアスなコーラスが、60年代のブリティッシュ・ポップのよう。キープ・コンセプトながら本アルバムの作風の変化を感じさせます。この曲はシングル・カットされるかも。アップテンポ曲で新鮮な輝きを感じるのが、"Maintein the Pain"。イントロなどで聴かれる、メロトロンのようなフィドルが幻想的なイメージを付け加えている、アルバム中最もエモーショナルなジャンプ曲です。ラストでブレイク・シェルトンが掛け合いコーラスで参加していることも話題。
話題づくりの為、と言うと本人達は否定するでしょうが、そのブレイク・シェルトンとの共作曲が"Sin For A Sin""Me And Your Cigarettes""Love Song"と3曲収められています。2人にアシュリー・モンローが加わった"Me And Your Cigarettes"は、幾分ラウドなストレート・カントリー。そして"Love Song"は、レディ・アンテベラムのチャールズ・ケリーとデイブ・ヘイウッドの4人がクレジットされた話題曲です。チャールズ・ケリーがバック・コーラスでサポートする、ソウルフルなミディアムの逸品に仕上がっています。2008年にカントリー・サンシャインで来日しているアシュリー・モンローは、"Heart Like Mine"でもソングライティング(ミランダ、Travis Howard共作)。こちらはマンドリンがいい具合にブレンド、オーガニックなサウンドがイカシたナンバーで、私お気に入りです。
この「Revolution」は、シンプルなアコースティック・スタイルやしっとりとしたバラード曲が多数収録されているところがポイントで、アルバムのイメージを決定付けています。そのピークの一つが、リード・シングルとなった"Dead Flower"。恋の終わりを、様々なシーンで目に入る枯れた花に象徴させた、ミランダ単独のオリジナル曲です。トツトツと刻まれるギターのリズムをバックに聴かせるミランダのしっとりと情感こもったボーカルは、シンガーとしての着実な成長をアピールし、これまでのベスト・パフォーマンス!との高い評価を得ています。ロレッタ・リンが歌っても良いくらいのトラディショナルな"Airstream Song"やフォーキーな"Makin' Plans"などは心和む小品。乾いたリード・ギターとコーラスがムーディーなミディアム"Time to Get A Gun"も泣かせてくれます。そしてバラードのもう一つの聴きものが、フリートウッド・マックの"Landslide"を思い起こさせる、"The House That Build Me"。彼女が生まれ育った家やそこで培った数多くの思い出について、思慮深く、そしてソフトに歌うミランダに癒されます。
前作「Crazy Ex-Girlfriend」で感じられた緊迫感や濃密なエナジーは多少抑えられていますが、確立されたミランダ・サウンドを安心して楽しめる好作だと思いますよ。
カントリー界のやんちゃ娘がずいぶん大人に
なりましたね・・・。
私は彼女のカントリー・バラードが大好きなのでこのアルバムには、ハマりました。
我々長いカントリーファンには、彼女のRevolutionはありがたいですね。ロックサイドから彼女を捉えていた方々はどうなのかな?