可憐はカントリー・ボイスでPatty Lovelessらとデュエットしてたので、てっきりトラディショナリストかなと思っていたレベッカ・リン・ハワード。6年ぶりの3作目でアッと驚く変身ぶり、文字どうり”ルール無し”、とてもたくましくなって帰ってきました。強烈な21世紀のホワイト・ソウル・アルバムです。
オープニングから何々!?テンプテイションズ(モータウン・レーベルの伝説的コーラスグループ、Temptations)の"Shakey Ground"でブッ飛ばします。ノーマン・ホイットフィールドがプロデューサーをしていた時期の70年台ファンキー・ソウルを現代流ソリッドでエレクトリックにアレンジ、堂々のソウル・シンギングで熱くパフォームしてるのです。 そして3曲目は、ナント!アリサ・フランクリンで有名なディープ~サザン・ソウルの名曲"Do Right Woman, Do Right Man"の勇気あるカバー。こんな曲歌っちゃったら、アリサと比べられちゃうよ・・・なんて心配しますが、無理して真似してる・・・なんて感じは全くなく、白人的なテイストも織り込みながら自然なエモーショナルさで歌い上げています。元々歌の上手い人だとは思っていましたが、その声は強く逞しくなっていて、いつこんな歌い方をマスターしたの?実はこのアルバム、かつてメンフィスのスタックスと並び立ったサザン・ソウルのメッカ、アラバマ州はマッスル・ショールズのフェイム・スタジオでレコーディングされているのです(現在はカントリーを録音していて、このアルバムでもゲスト参加しているAngela Hackerらが所属)。ミュージシャンには、伝説的なギタリストJimmy Johnsonの名も見受けられます。音の表層は現代的で結構つややかですが、ナッシュビルのメインストリーム・サウンドと比べると、このマッスル・ショールズの音はライブ感がありボトムに腰があるように感じます。さすがに昔のように、基本骨格むき出し、素朴ではあっても骨太で、スタックスには無いほのかな甘さも持ち合わせた、という地域性の濃い音ではありませんけれども、21世紀にそこまで求めるのは無理。今、ナッシュビルには出せない音を出す方法として、マッスル・ショールズが十分に応えたと言えると思います。 自作の"New Twist on an Old Groove"ではサックスもフィーチャされ、ブルース・ロック臭がプンプン。タイトルからして直球の"Soul Sister"もど真ん中のファンキー・ソウル。
ファンク時代のテンプス
アルバム前半に、特に挑戦的な曲が集められていて驚くのですが、中盤以降は落ち着いてきます。リード・シングルの"I'm Over You"では、これまでのレベッカの可憐なイメージにソウル・テイストを加味してパワー・アップしたミディアム。掴み曲としてはナイスなコンセプトで、お気に入りです。そして素晴らしいのが、たっぷりとしたアコースティック・ギターがサウンドの基調になってるバラード"As One as Two Can Be"。 ソウル・カントリー・バラードって言いたくなる作品。レベッカの歌声は自由自在なソウルネスで高揚しますが、カントリー・フィーリングはしっかり感じられる佳曲です。しっとりとしたピアノ・バラード"Real Love"では抑制とエモーションを絶妙に使い分け、彼女ならではのホワイト・ソウル歌唱が頼もしいです。
正直、素晴らしかったカントリー・ボイスがあまり聴かれなくなったのは残念な気もしますし、やりすぎではないの?との思いも前半では沸いてきます。しかし、カントリー・フィールドの中でソウル調歌唱スタイルが一つのセグメントとして確立されてきた現在(これは、かつて黒人にとって重要な楽器であったバンジョー、ギターなどを移り気な黒人が捨ててしまい、今や白人の為の楽器になった歴史の延長線上にある現象と思います)を見据えて、自身のタレントをフルに発揮しインパクトのある存在感を獲得する方法として今回のコンセプトに打って出たのだと思いますし、その狙いは見事なクオリティとレベッカの力量(つまり、聴き手の想定以上に彼女の歌がスゴイのです)で達成されたと言えるでしょう。
1979年、ケンタッキー州Salyersville生まれ。1997年にナッシュビルに移動、有能なソングライターとしてその楽曲はPatty LovelessやReba McEntireら大物に取り上げられました。自身のデビューは2000年、堂々メジャーのMCAから、その可憐なルックスもフィーチャーしてのキャッチーなポップ・カントリー集をリリース。ただ、時折見せる情熱的なカントリー・ボイスからすると、そのポップさが疎ましく思えたものです。2002年のセカンド「Forgive」では、そういったコマーシャルな楽曲はオミットして、デビューより良い評価を得ました。しかしその後、MCAから離れる事になり、6年のブランクの後の復帰となったのです。
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オープニングから何々!?テンプテイションズ(モータウン・レーベルの伝説的コーラスグループ、Temptations)の"Shakey Ground"でブッ飛ばします。ノーマン・ホイットフィールドがプロデューサーをしていた時期の70年台ファンキー・ソウルを現代流ソリッドでエレクトリックにアレンジ、堂々のソウル・シンギングで熱くパフォームしてるのです。 そして3曲目は、ナント!アリサ・フランクリンで有名なディープ~サザン・ソウルの名曲"Do Right Woman, Do Right Man"の勇気あるカバー。こんな曲歌っちゃったら、アリサと比べられちゃうよ・・・なんて心配しますが、無理して真似してる・・・なんて感じは全くなく、白人的なテイストも織り込みながら自然なエモーショナルさで歌い上げています。元々歌の上手い人だとは思っていましたが、その声は強く逞しくなっていて、いつこんな歌い方をマスターしたの?実はこのアルバム、かつてメンフィスのスタックスと並び立ったサザン・ソウルのメッカ、アラバマ州はマッスル・ショールズのフェイム・スタジオでレコーディングされているのです(現在はカントリーを録音していて、このアルバムでもゲスト参加しているAngela Hackerらが所属)。ミュージシャンには、伝説的なギタリストJimmy Johnsonの名も見受けられます。音の表層は現代的で結構つややかですが、ナッシュビルのメインストリーム・サウンドと比べると、このマッスル・ショールズの音はライブ感がありボトムに腰があるように感じます。さすがに昔のように、基本骨格むき出し、素朴ではあっても骨太で、スタックスには無いほのかな甘さも持ち合わせた、という地域性の濃い音ではありませんけれども、21世紀にそこまで求めるのは無理。今、ナッシュビルには出せない音を出す方法として、マッスル・ショールズが十分に応えたと言えると思います。 自作の"New Twist on an Old Groove"ではサックスもフィーチャされ、ブルース・ロック臭がプンプン。タイトルからして直球の"Soul Sister"もど真ん中のファンキー・ソウル。
ファンク時代のテンプス
アルバム前半に、特に挑戦的な曲が集められていて驚くのですが、中盤以降は落ち着いてきます。リード・シングルの"I'm Over You"では、これまでのレベッカの可憐なイメージにソウル・テイストを加味してパワー・アップしたミディアム。掴み曲としてはナイスなコンセプトで、お気に入りです。そして素晴らしいのが、たっぷりとしたアコースティック・ギターがサウンドの基調になってるバラード"As One as Two Can Be"。 ソウル・カントリー・バラードって言いたくなる作品。レベッカの歌声は自由自在なソウルネスで高揚しますが、カントリー・フィーリングはしっかり感じられる佳曲です。しっとりとしたピアノ・バラード"Real Love"では抑制とエモーションを絶妙に使い分け、彼女ならではのホワイト・ソウル歌唱が頼もしいです。
正直、素晴らしかったカントリー・ボイスがあまり聴かれなくなったのは残念な気もしますし、やりすぎではないの?との思いも前半では沸いてきます。しかし、カントリー・フィールドの中でソウル調歌唱スタイルが一つのセグメントとして確立されてきた現在(これは、かつて黒人にとって重要な楽器であったバンジョー、ギターなどを移り気な黒人が捨ててしまい、今や白人の為の楽器になった歴史の延長線上にある現象と思います)を見据えて、自身のタレントをフルに発揮しインパクトのある存在感を獲得する方法として今回のコンセプトに打って出たのだと思いますし、その狙いは見事なクオリティとレベッカの力量(つまり、聴き手の想定以上に彼女の歌がスゴイのです)で達成されたと言えるでしょう。
1979年、ケンタッキー州Salyersville生まれ。1997年にナッシュビルに移動、有能なソングライターとしてその楽曲はPatty LovelessやReba McEntireら大物に取り上げられました。自身のデビューは2000年、堂々メジャーのMCAから、その可憐なルックスもフィーチャーしてのキャッチーなポップ・カントリー集をリリース。ただ、時折見せる情熱的なカントリー・ボイスからすると、そのポップさが疎ましく思えたものです。2002年のセカンド「Forgive」では、そういったコマーシャルな楽曲はオミットして、デビューより良い評価を得ました。しかしその後、MCAから離れる事になり、6年のブランクの後の復帰となったのです。
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私もこのレベッカ・リン・ハワードの久々のアルバムを驚きながらも楽しませていただきました。
彼女の元来の歌のうまさ、魅力的な声を堪能できました。
なかなかの逸品だと思います。
最近はこの手のスタイルもカントリーでは多くなっていますが、レベッカが、しかもマスル・ショールズで録音するという念の入れ様が興味深く、結果野心的な作品になったと感じています。