森絵都さん原作の小説の映画化(アニメ化)。
ちなみに、過去、実写版も製作されています。
春先に書店で原作を見つけ、何となく面白そうだなと、
この公開を待っていました。
気付けば「トイ・ストーリー3」とは、また違った涙が溢れました。
「おめでとうございます。あなたは抽選に当たりました。」
少年の姿をした、天使・プラプラから、声をかけられた。
僕は生前、大きな過ちを犯して死んだ。
本来ならその罪深い魂は、輪廻のサイクルから外されてしまうが、
幸運にも抽選で当たり、再挑戦のチャンスを得る。
「僕」は、「小林真」(声・冨澤風斗)という自殺したばかりの、
14歳の少年の身体を借りて、自分の犯した罪を思い出すため、
下界で修行することとなる。
ちょっとややこしいのですが、要するに「僕」は、自殺した「小林真」として、
病院のベッドで生き返るわけです。
下界でのガイド役として、プラプラが、真をサポートしていきます。
(もちろん、真以外には、見えません)
「真」として生き返ったものの、真は絵が上手いこと以外に取り柄はなく、
友だちもいないし、成績はクラスで最下位。
父親は残業が多く、家庭での存在感が薄い。
兄はとっつきにくく、兄弟仲はわるい。
憧れの同級生・桑原ひろか (声・南明奈)は援交してるし、
母親も浮気中で、そりゃ絶望するわ、という状況。
「真」としての生活の中で、クラスメイトの早乙女(声・入江甚儀)と、
廃線となった「玉鉄」(玉川線)の、駅の跡地を巡るというエピソードがあります。
実在した路線で、関連書籍も数多く刊行されてるところを見ると、
いまだに多くのファンがいるんでしょう。
この駅の跡地を巡る行為が、人生をもう一度やり直すということと
リンクしてるように感じました。
言い換えるなら、失ったものへの憧憬といいますか・・。
このエピソードを機に、最初は面倒なヤツと思った早乙女が、
真の初めての友だちとなります。
早乙女と一緒に、スニーカーの激安ショップに買物に行ったり、
食べ物を分け合ったり、高校進学について話し合ったり・・。
真には「修行」してるっていう意識はないんですが、
このごく普通のことこそが大切なんだって、
スクリーンを通して伝わってきます。
真は、少しずつ気付きます。
真は、人を、ある一面だけ見て判断していたことを。
存在感の薄かった父親は、実は家族思いだった。
とっつきにくい兄は、真の進学先を懸命に探してくれていた。
何かと寄ってくる、鬱陶しいクラスメイトの佐野唱子(声・宮崎あおい)は、
実は、真と同じ境遇だった。などなど。
似顔絵描きの僕には、よくわかります。
描こうとする人物の印象を大切に、似顔絵を描くわけですが、
似顔絵としては、それでOKなわけです。
ただ人物的に、その印象が全てだと思ったら、ケガをする。
「僕」が犯した大きな過ち、そして「真」は何故自殺したのか、
それはラストに向けて、収束していきます。
人は間違いを起こしますよね。
この映画のように、それに気付かせてくれるシステムは、
残念ながら、期待できません(笑)
ただこういう映画・小説に触れることで、予見というか、
想像することが、大切なんだろうと思います。
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