ホウライタケ科シイタケ属の「シイタケ(椎茸)」。自然界ではクヌギやコナラなどの広葉樹の枯れ木に発生する。ここは下柚木の林内で、以前は原木栽培されていたコナラの樹が山積みにされており、今は行われていない。ここを通るたびに横目で見ていたが、シイタケの姿は無かった。この日もそのまま通り過ぎようとしたところ、原木の上にチョコンと出たシイタケがあった。以前の菌糸が残っていたのだろう。直径は2センチほどのミニサイズ。シイタケは日本料理には欠かせない食材で私は大好物だが、カミサンは鍋物などで大きな傘をガブリと行くのは苦手でいつも小片にしている。シイタケの英名は“Siitake”や“Siitake mushroom”で、そのまま通じるらしい。
先日、上柚木公園で見つけた「ツチグリ(土栗)」。ツチグリ科ツチグリ属のキノコで、雨が降ると外皮が拡がり地球外生命体のような姿になるが、晴れの日が続くと、外皮の内側が縮んで丸くなり、風によってコロコロと移動しやすくなる。そのため“晴天の旅人”というニックネームがある。このところ晴れの日が続いていたので再び見に来ると予想通り乾いて丸まっていた。この姿になると地面の色に紛れて見つけにくくなる。
上柚木公園の北東入口から坂道を登っていると、道端にたくさんの「ツチグリ(土栗)」が拡がっているのに気付いた。ツチグリはツチグリ科ツチグリ属のキノコで、前夜の雨で外皮が拡がったようだ。中央の球体に雨粒が落ちるとその衝撃で胞子を噴き出す仕組みになっており、晴れの日が続いて乾燥すると外皮が内側に丸まって全体が球形になり、風によってコロコロ転がって移動する。そのためツチグリには“晴天の旅人”という洒落たニックネームがある。
大学セミナーハウスのカイノキの近くにある切り株。そこに何やらキノコの残骸がある。これはおそらくタコウキン科アイカワタケ(間皮茸)属の「ヒラフスベ(平贅)」だろう。10月初めに富士見台公園の切り株で初めて見て知ったキノコだが、こうして見るとその“成れの果て”だというのがわかる。
高尾山“3号路”の大木の幹に発生しているキノコ。さてこの名前がわからない。少し離れたところにも同種と思われる幼菌が出ていて何となくシメジに似ている。シメジはキシメジ科シメジ属で、本来はホンシメジ(本占地)のことを指すが、同属の仲間やシロタモギタケ属のブナシメジなどを含めた総称でもある。昔から“香りマツタケ、味シメジ”で有名なシメジはホンシメジだが、ホンシメジは栽培が難しく天然物に限られるため、味の良く似たブナシメジを栽培してホンシメジと称して流通させていた。今では正しくブナシメジと表示されており我が家の鍋料理に入るシメジもブナシメジ。“占地”の名前は地面を独占するかのように拡がることから名付けられているが、写真では樹を占領した“占樹(シメジュ)”。ホンシメジが樹に発生することもあるのだろうか。これはとりあえずホンシメジとしておくが自信は無い。
さて台風19号による被害のため一部通行止めになっていた高尾山“6号路”は11月23日に全面通行可能になったようだ。“6号路”は小川に沿って歩くコースで“水のコース”と呼ばれ、ハナネコノメ、イワタバコ、セッコクなどが見られる楽しい登山道だ。早期復旧にご尽力頂いた方々には心より感謝したい。
この記事掲載後のコメントで、本種は「ナラタケ(楢茸)」ではないかとのご指摘を頂戴した。調べてみると樹に発生している様子など“木材腐朽菌”の特徴であり、これはキシメジ科ナラタケ属のナラタケで良さそうだ。シメジは“占地”で、図鑑などでは、地面に拡がっている写真が多く、樹に発生しているものが無かったので、そこが引っ掛かっていた。早速訂正しておこう。ナラタケは美味しいキノコではあるが“ナラタケ病”の元凶であり、枯れ木だけでなく生きた樹にも寄生し“菌糸束”を幹の中から地中にまで伸ばしてついには枯死させてしまう。写真のものは採って食べてあげたほうが樹には良かったかも知れない。