高尾山の北側斜面には多く「ブナ(ぶな※)」が見られるが、その中で一番枝振りが美しいということで名付けられている“美人ブナ”。“いろはの森コース”の頂上付近に生育しており、目通り直径は1メートルほどで樹高は15~20メートル。ブナの樹皮はなめらかで白っぽく根元はひこばえが無くすっきりしている。一方、イヌブナの樹皮はやや黒っぽく、根元にはひこばえが生えている。ひこばえは親木が枯れても生き残っていく戦略だが、ブナにはひこばえが見られず親木が枯れると生き残れない。
※ぶなの漢字は木へんに無。
イロハカエデやイチョウなど見上げれば紅葉や黄葉が見えるが、野道では足元でも“草もみじ”が楽しめる。写真はゼンマイ科ゼンマイ属の「ゼンマイ(薇)」。日本全国の山野で普通に見られるシダで、若い芽は佃煮やお浸しなど食用になる。ゼンマイは夏緑性で秋には紅葉し冬には枯れる。これは神明谷戸のもの。
キク科テンジクボタン属の「コダチダリア(木立だりあ)」。晩秋に背丈3~5メートルに伸びて大きな花をいくつも咲かせている。花が高い位置にあるのでなかなか間近に観察できないが、良く見ると花のいくつかはピンク色の舌状花が欠落し内外2列の総苞と筒状花だけのものがある。咲き初めや蕾でピンク色が見えていれば開花時には8枚の舌状花が開くが、写真の花は初めから舌状花が無く、総苞内片はこれ以上開かない。
ナス科ナス属の「マルバノホロシ(丸葉保呂之)」。関東以西の山地に生育する多年草でヒヨドリジョウゴに良く似ている。“ホロシ”はヒヨドリジョウゴの古名だが、本種はヒヨドリジョウゴのように葉が裂けないために名付けられている。ヒヨドリジョウゴとの違いは葉形だけではなく茎や花柄(果柄)に毛が無いこともポイントのひとつ。ヒヨドリジョウゴには毛が見られる。