今でも時々キイタンのいなくなった妹弟の事を思い出します。
仕事を辞めてでも、写真を持ってもう一度探しに出かけたくなる事すらもあるのです。
初めて赤ん坊から育てた特別な子供達でしたから。
今思えば、いなくなるような前ぶれはあったけれど、
その日は、それぞれ忽然といなくなったように感じたのです。
暗くなったら帰って来るだろうと、軽い気持ちでいました。
暗くなって、外で手を打ち合わせて呼んでも、
駈け戻っては来ませんでした。
寝る前には戻るさ、朝には戻って来るさ、
今日の昼には、夕方には…と待ち続けましたが、
ついに2匹とも戻らなかったのです。
キイタンの妹は、虫さんを食べれば生きて行かれると見越して、
ウチにいてもケガと病気ばかりにめぐり合うのに嫌気がさして、
ウチにとどまる事に見切りを付けたのでしょうか?
キイタンの弟は、通りかかった子供を可愛くて小ぎれいな姿で魅了して、
もっと幸せになるために、連れ去らせたのでしょうか?
せめて、ラブカンのママや妹のメシーやシロタンとかのように、
いなくなってもどこにいるのか分ればいいのに。
でも、あの子達が残っていたら、内気なキイタンとこんなに気持ちをぶつけ合って
仲良くなれたのでしょうか?
植木鉢の陰に隠れて雨宿りしていた、
ちっちゃな体でひとり、初冬になっても外暮らししていた
ムートンを助けられたのでしょうか?