彼らはイエスに言った。
「先生。この女は姦淫の現場でつかまえられたのです。
モーセは律法の中で、こういう女を石打ちにするように命じています。ところで、
あなたは、何と言われますか。」(同4節5節)
彼らはイエスを試してこう言ったのである。それは、イエスを告発する理由を得るためであった。
しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に書いておられた。
けれども、彼らが問い続けてやめなかったので、イエスは身を起こして言われた。
「あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女に石を投げなさい。」
(新約聖書・ヨハネの福音書8章7節)
クリスチャンでない人たちにも知られている有名な聖書のことばです。
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「罪のないものから、まず、石を投げなさい」
この言葉に、どきんとしない人がいるでしょうか。
他者を非難するのは、誰の心にも巣食う暗い本能のひとつです。
それでも、夫婦、親子、兄弟、友人、同僚、上役など、自分とつながっている人を非難するのは、
情や、いろんな都合や、うしろめたさもあって、さほどあからさまにはなりません。
のびのびと非難できるのは、多くの人に非難されている人、だれが見ても悪を行った人、
社会から見捨てられたような人たちに対してです。
新聞種の犯罪者などは、恰好の標的になり得ます。
死刑に定められたような人を取り囲んで、後ろの方から「殺せ」「殺せ」と
こぶしの上げるのは、安全であり、溜飲が下がることです。
同時に、残酷なことです。
今日、その罪についてよく知らない者、関係のない者など、外野の人数は
マスコミやネットを通じて増幅され、
2千年前とは、比べ物にならない群衆が、外野に立って、
「殺せ」とはやしているのを見ます。
ときに、イエス・キリストのことば、
「罪のない者から、まず、石を投げなさい」が、
いまこそ、必要な戒めであると思えるのです。、