聖書では、神との関わりで、なんらの機会があった人、いわゆる「神に用いられた人」
また、神に用いられた人と、何らの関わりのあった人に焦点があたっています。
ある時代の人々を、階層別、男女別、年齢別にまんべんなく網羅する形で登場して来ません。
男女という視点から見れば、旧約聖書、新約聖書ともに、現代から2000年~3500年も昔。
とうぜん、男性が社会を支えて動かしていた「男社会」ですから、
登場人物は圧倒的に男性が多いのです。
階級的には、ダビデ王朝の王政以降は、指導層の人物が多く、
王制以前でも、部族や氏族が家族の頭(長)が多いのです。
それでも、数々の例外があるので、聖書をじっくりと読む楽しみのひとつです。
年齢別に考えれば――必ずしも、登場人物の年齢がすべて示されているのではありませんが――
高齢者がたくさん登場します。
アブラハム、イサク、ヤコブ、など創世記に出てくるイスラエルの始祖たちはすべて、
超高齢まで生きました。(※、筆者は、ここでは聖書の記録をそのまま信じて語っています。)
出エジプト記のモーセが出エジプトのリーダーとして任命されたのが80歳、
任務を終えて死ぬのが、120歳
モーセのあとを継いでリーダーとなったヨシュアも、110歳まで生きました。
モーセもヨシュアも、死の直前まで「現役――民の指導者」でした。
さすがに、士師記のころからは超高齢者は登場してきませんが、老人は登場します。
反面、若者は、活躍の始まる時期によって、子供の頃や少年期から登場しますが、
ただ、若いというだけで活躍できている者は、いないようです。
※モーセ、サムソン、サムエル、ダビデ王、ヨアシュ王、ヨシヤ王、エレミヤなど。
イエス・キリストの誕生時と少年時代についても、記録があります。
★ ★ ★★ ★
聖書は、今日的な意味で、社会問題を扱う書物ではありません。
人間に、罪が入って楽園を追放されたたいきさつ、神が人を救って再びみもとに連れ帰ろうとされる
「神のご計画」が書かれているのです。
とはいえ、人が人として生きる上での人間社会のルールを、神は律法として定められています。
十戒に見る人間として基本的な戒め、
人とのトラブルでの賠償命令や、
障害者や外国人、未亡人や孤児や、貧しい人たちに
配慮した福祉の態度ともいうべき規定もあります。
老人については旧約聖書のレビ記19章32節に次のようにあります。
あなたは白髪の老人の前では起立し、老人を敬い、また、あなたの神を恐れなければならない。
わたしは[主]である
これは、いのちをお与えになっているのは神様なのだから、
長生きしている老人に敬意を払わないのは、神様に逆らう態度であるとでもいうのでしょう。
★★ ★ ★ ★
今は確かに、聖書が書かれた時代とは違います。
医学が進歩して、長生きの質も変わってきました。
アンチエイジングなどと言う言葉が喧伝されています。
科学が進み、医術がさらに進歩し、楽しい健康な生活が当たり前に思える時代です。
かくいうさとうも、これまで、あまり病気らしい病気もしなかったのです。
長い健康な人生にあって食中毒によく効く薬、咳や熱を静める薬、様々な予防注射や抗生物質など、
医学や薬、お医者様の働きで守られてきたのは事実でしょう。
これからも、何かと医学や薬のお世話になるでしょう。
それでも、「アンチエイジング」は、望みすぎかなと思うのです。
あなたの頭をさして誓ってもいけません。あなたは一本の髪の毛すら、
白くも黒くもできないからです。
(新約聖書マタイの福音書5章36節)
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