落葉の積もる場所

- The way I was -
 

 ○村くん  

2014年11月29日 | WEBLOG








もう30年前のことです。



商船高専を卒業し、なんとか船会社に就職した私。



三重県四日市市での現場研修を経て横浜に転居した25歳。



やたら人が多くて、特に横浜駅なんてどうにもならない人・人・人‥。



毎日「いやだなー」と思いつつ、東京・霞ヶ関へ通勤してました。















そんなある日の休日、用事があって横浜駅に出掛けたとき、



人混みの中から「おーい、ちっぷ君じゃないか?」



遠慮がちな声で私を呼び止める男の声がしました。



それは同じ商船高専を出た○村くんでした。



懐かしさはありましたが、元々それほど仲良くも無く、



ひと通り世間話を済ませて別れようとしたとき、



「ちょっとこっちへ来てよ」



○村くんが東口のほうへと誘うのです。



面倒だな‥と思いながらも一緒に横浜駅東口の広場の隅へ。



そこで○村くんが見せたのは ナイフ でした。



「都会にはいろんな奴がいるからね。 護身用なんだ。」



恥ずかしそうに、、言い訳のように、、



「ちっぷ君も持ってたほうがいいよ」



そう言って彼はナイフをポケットにしまいました。



電話番号(まだ携帯がない頃)を聞かれたので、



「まだ覚えてないから私から連絡するよ」と彼の番号をメモ。















およそ4年ぶりの再会は終わりました。



そして帰宅の相鉄線を降りるとすぐにそのメモはゴミ箱へ捨てました。



いかにも気が弱そうな○村くん。



ナイフは彼を強くしてくれたのでしょうか。

































































なぜナイフを持っていたのか?



なぜ刺さなければいけなかったのか?
































今日のニュースで思い出した○村くんのこと。
































どうかナイフなど使っていないことを願います。



普通の家庭を築いていることを願います。