
こんなに晴れ渡った、雲ひとつない青空の下あの子はもういない。
地球上のどこにも、もういない。
ウォッカ逝くの報は、昨日の芯やのニュースできいた。
競馬を知る人ならだれもが認める名牝。
数多くの有力牡馬を実力でねじふせてきた女帝も、いや、たぶん、並みの牝馬よりずっと高い能力をそなえていたからこそ、身体がついていかなかったのだろう。
なんだか大きな道標を失ったような心もとなさ。
翌朝のニュースで、また名勝負が映し出されるともう涙がとまらない。
出社のために家をでると、青い春の空が久しぶりにひろがっていた。
こんなときにもまわりに優しい子だと思うとなおさら泣けてきた。