作家でブロガーの「はあちゅう」さんが広告代理店勤務時代に、1人の“先輩”からセクハラやパワハラを受けていたと告発し、大騒ぎになっている。
彼女は慶応大卒業後、2009年に入社、10年ごろからハラスメントを感じるようになり、11年11月に退社。「声を上げるまでに7年かかった」としている。
加害者にとっては「もう7年も前の話」でも、被害者は忘れない。セクハラやパワハラは、いつまで訴えることができるのか。
東京永田町法律事務所の加藤寛久弁護士によると、「セクハラやパワハラ行為によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを患った場合、加害者の上司や同僚を民事事件で訴えることができます。時効はハラスメントの被害および加害者を知った時から3年。この間なら、すでに会社を辞めていて、加害者と関係が切れていても請求できます」という。
証拠になりそうな会話の録音データやメール、日時や行為を記した詳細なメモ、PTSDの診断書などを揃える必要はあるが、3年以内なら落とし前をつけられる。逆に、加害者にとってみれば「忘れた」ころに裁判所から通知が届くこともあるわけだ。
“常習”かどうかは問題じゃない。たとえ一度きりでも、強引に誘った、抱きついた、キスした、また、人格を否定する暴言を吐くなどして、相手が出社できないほど精神的に打ちのめされたら、加害者になり得る。
「従業員を雇用する企業には安全配慮義務が課せられています。従業員がセクハラやパワハラ被害に遭わないように環境を整える必要がある。休職や辞職などに追い込まれるまで放置していれば、会社の過失を問うことができます。こちらの時効は10年。ただ、個人間と同じく被害者側で立証が必要です」(加藤寛久弁護士)
10年経ってから訴えを起こされ、会社側の責任が問われる可能性もあるのだ。
「取引先からハラスメント被害に遭った場合も、企業の安全配慮義務違反を問うことができます。上司から『ちょっとぐらい我慢しなさい』などと言われて、心に傷を負った場合は、会社を訴えることができる。企業には従業員を守る義務があるのです」(加藤寛久弁護士)
会社が訴えられれば、時効が過ぎた上司も無傷ではいられまい。数年前の話だからと泣き寝入りする必要はない。
いまだに会社を辞めざるを得なかったパワハラの悔しさは忘れない!