厚労省が発表したパワーハラスメントの定義。平成24年「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」によると、次のように定義されています(※1)。
「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える 又は 職場環境を悪化させる行為をいう」
「職場内の優位性」には、上司から部下という「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識など様々な「優位性」も含まれています。つまり、ベテランの部下が職歴の浅い上司に対して行えばそれもパワハラとなります。他にも先輩後輩間、同僚間においても同様にパワハラと定義されるのです。
■ パワハラ6つの種類
具体的には、次のような行為が当てはまります。
1.身体的な攻撃(暴行・傷害) 2.精神的な攻撃(脅迫・暴言等) 3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視) 4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害) 5.過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと) 6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)筆者のカウンセリングでは、職場のパワハラが原因でメンタル不調に陥ったとおっしゃる方が増えてきています。人格を否定する言動や度重なる叱責などが続くと、言われた方はしだいに心が弱ってきます。
■ 管理職にも求められるパワハラ防止・解決
管理職のあなたは、あなた自身の言動に気をつけるだけではなく、チーム内でパワハラが起きていないか十分に配慮する必要があります。なぜならパワハラは当事者だけでなく、職場全体に大きく影響するからです。
目の前でパワハラ言動があれば、受けた本人だけでなく、まわりもやる気をなくし、職場全体が暗く重い雰囲気になりますね。また、パワハラは伝染するとも言われており、パワハラ被害者に対し、他のチームメンバーも同じように価値を下げる言動をとったりすることもあります。そうなると生産性にも大きなダメージとなり、悪影響は広がるばかりです。
周囲で起きたら見逃さない、被害を受けた部下の相談には真摯に耳を傾ける。場合によっては管理職の責任を問われることもあるのでご注意を!
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー), 2015年5月30日]
【参考】
※1. 厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」平成24年1月30日
※写真:(c) Robert Churchill / 123RF.COM、本文とは関係ありません
何を言っても拒否され、ヤル気が感じられない部下に対して、堪忍袋の緒が切れて、避けるようになってしまった自分も、やはりパワハラなんでしょうかね。
「根気よく指導する」とか言われますけど、こっちの精神状態も限界なんですが…。