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聖教新聞 (2018/ 4/ 4) 〈介護〉遺族ケア

2018年05月19日 23時07分00秒 | コラム・ルポ

〈介護〉 遺族ケア

2018年4月4日 聖教新聞

周囲の正しい理解と支援
埼玉医科大学国際医療センター 教授 大西秀樹さん
 

 親や配偶者との「死別」による悲しみは、計り知れません。残された家族が心掛けたいこと、遺族に対する周囲の適切な関わりとは何か――遺族の思いに耳を傾ける全国初の「遺族外来」を開設した、埼玉医科大学国際医療センター教授の大西秀樹さんに聞きました。(写真は本人提供)

第2の患者

 人生を共に過ごし、中には介護してきた遺族にとって、“愛する人の死”は心が張り裂けるほどつらいものです。死別後、周囲の心ない言動でさらに苦しみ、新しい環境に適応できず、うつ病を患う人も少なくありません。

 配偶者や近親者との死別は“人生最大のストレス”ともいわれ、遺族の心身に影響を与えます。例えば、55歳以上の男性が配偶者を亡くすと、半年で死亡率が約40%上がるといった調査結果も。患っていた病気の悪化や、心筋梗塞などの心疾患で亡くなる人が多いと指摘されています。
 また自殺率は元々、男性の方が高いのですが、死別後は女性が10倍、男性が66倍ほどに上昇するといわれます。
 私は、がん患者と家族の心をケアする「精神腫瘍科」の医師として、“第2の患者”とも呼ばれる遺族への社会の支援が不十分であると感じ、2007年に精神医学的な見地からも診察する「遺族外来」を設置しました。
 今までの来院者の平均年齢は51歳で、8割が女性です。死亡率などの調査で明らかなように、男性も死別はつらいのですが、女性に比べ、心の問題では受診しない傾向が。精神科や心療内科を訪れるのは“男らしくない”と我慢するのかもしれません。最近、来院者同士で近況を語り合う機会を作り、来院する男性が徐々に増えてきました。
 来院者の死別の相手は6割が配偶者、3割が親、次に子どもです。埼玉県外からの来院者が多く、西日本から訪れる人も。誰にも言えなかった悩みを話してくれます。

うつと記念日

 遺族外来の初診では4割の人が「うつ病」です。一般的に一周忌が終わっても15%の人に認められ、通常の3~7%に比べて高い発症率です。

 うつ病の診断基準には①気分が落ち込む②何に対しても興味が湧かない③食欲不振④眠れない⑤イライラして落ち着かない⑥疲れやすい⑦自分を責める⑧集中力が低下⑨死ぬことを考える――の9項目があり、①か②を含む5項目が2週間以上も続くと発症が疑われます。
 周囲は「家族を亡くして悲しいのは当然」と、うつ病を見落としがちなので要注意。本人は死別にうつ病が加わり“二重の苦しみ”を抱えています。早めに医療機関の受診を。薬物療法が有効です。
 特に春は、遺族のつらさが増す季節。「去年は一緒に見た桜が、今年は私一人」「子どもが生きていれば、今頃は卒業・入学」等と考えやすいからです。これらは“記念日反応”という自然なことで、落ち込みやすいと知っておくことが重要です。

言うより聴く

 死別で悲しむ人に、周囲は何とかしたいと考えるものですが、掛けた言葉で遺族の心が一層傷つくことも。受診者に聞いた「言ってはいけない言葉」を幾つか紹介します。

 「頑張ってね」……何を頑張れというのか。発言者の手伝う気持ちも感じられない。
 「あなたがしっかりしないとダメ」……逆に落ち込む。「しっかりする」とは何か。
 「元気?」……「元気」という返事を期待している。
 「落ち着いた?」「気持ちの整理はつきましたか」……“探り”を入れている感じ。
      ◇
 最も大切なのは相手の話を「聴く」ことです。一般的に「聞く」と書きますが、私は真剣に聞くとの思いを込めて「聴く」と。上から目線ともいえる「聴いてあげる」ではないこともポイントです。
 遺族に自由に話してもらい今の状況を伺います。悲惨な体験をした遺族から「私の気持ちが分かりますか」と尋ねられれば、「分かりません」と答える場面も。「あなたの気持ちは分かります」などは相手の心に響かず、嫌な思いをさせるから。親しい関係なら抱き締めるだけでもよく、誠実な態度が大事です。

立ち直る力

 死別の悲しみから回復に要する時間は人それぞれです。周囲は四十九日とか一周忌とかで「そろそろ元気に」と考えがちですが、本人の思いを確認しましょう。5年や10年以上かかる遺族もいます。

 悲しみはなくなりません。ただし、人間の心は成長し、その悲しみを包み込みながら新たな人生を歩むことができる――それが“立ち直る力”であると考えています。
 夫から最期に「待っているからな」と言われ、その意味を考え悩んでいた婦人。星空を眺めて宇宙の広さを感じ、どこかで生まれ変わった夫と今も精神的につながっていると思えたそうです。
 再び生きようとする意志が確立した時、その人への“遺族ケア”はゴールを迎えたといえるでしょう。

 おおにし・ひでき 1986年、横浜市立大学医学部卒業。神奈川県立がんセンター精神科部長などを経て、2007年から埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授に。博士(医学)。がん患者と家族の精神的なケアを専門とする、精神腫瘍医として奮闘。日本サイコオンコロジー学会理事、日本臨床死生学会常任理事なども務める。著書多数。


早くケガを治して仕事に復帰したいから、自宅で大人しくしている。

それにしても、基本給があるところに転職をしてよかったよ。

前職場のように、完全なる日給月給制だと収入がゼロだからねぇ。

…ということで、今日は半月以上も溜まってしまった聖教新聞をほぼ読破。

明日からは、数年分も未整理な写真を処理していかないとね。

ハードディスクがクラッシュしたら、思い出もパンクしちゃうから。

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