2022年4月4日
【主張】国連安保理改革 国際世論形成へ日本が貢献を
国際秩序の根幹を成す法規範は、国家の「武力による威嚇または武力の行使」を禁止した国連憲章2条4項である。これに違反し、他国を侵略した国を止めるための強力な権限を有しているのが国連安全保障理事会(安保理)だ。
安保理は、侵略を行った国に対して、軍事的措置を含む制裁の実施を「決定」できる唯一の国連機関である。安保理の決定には法的拘束力があるため、国連加盟国は従わなければならない。侵略の暴挙を国際社会全体で食い止めるための体制を築き上げるのが、安保理の役割である。
ところが、ウクライナを侵略しているロシアに対して、安保理は何もできずにいる。ロシアは拒否権を持つ安保理の常任理事国であり、安保理が決定を下すのを妨害できるためだ。
常任理事国が自ら国連憲章に違反し、国際秩序を破壊し始めたら、安保理は手も足も出ないようでは意味がない。安保理が機能不全に陥らないための機関改革を本格的に進めるべきだ。
日本は、安保理改革に向けた議論を主導してほしい。岸田文雄首相も、安保理改革への取り組みを、これまで以上に進めたいとの意向を示している。
ただ、安保理の機能強化に向けた議論は、1993年に国連の作業部会が設置されてから始まっているが、改革は1ミリも進んでいないというのが実情だ。
重要なのは安保理の常任理事国も巻き込み、議論を盛り上げていくことだ。
例えば、常任理事国であるフランスは、スイスやフィンランド、サウジアラビア、ルワンダなど中小の27カ国で構成される「安保理の説明責任・一貫性・透明性を求めるグループ」(ACT)と連携し、民間人の集団殺害が行われている事態などを終わらせるための安保理の決定では、常任理事国の拒否権の行使を禁じるべきだと提案している。この提案を支持する国連加盟国は少なくない。
日本もこうした動きと連携しながら、安保理改革に向けた国際世論を形成していってもらいたい。
聖教新聞に加え、4月と5月は公明新聞を追加購読。
この『主張』のコラム、鋭いねぇ。
常任理事国が拒否権を行使すれば、何でもできちゃうんじゃないかと危惧していたことが、現実になってしまったんだもんなぁ。
機能不全に陥っている国連安保理。
でも何とかしないと犠牲者は増え続けてしまうよ!