大会を「病欠」したのは初めてだ。今月の初旬、急に陽気が良くなった日に大汗かいてプレイした後、いやに寒気がするなと思ったら、アウト。原因はまあその前にひどいストレスにさらされる状況になって、免疫力が落ちたためだろう(だから風邪だけでなく口内炎や吹き出物まで出る始末)。風邪自体近年は滅多にひかなくなっていたのだが、一度ひくといくらリカバリしようとしてもだめで、かつ長引く体質であり、そのピークが今週だったわけだ。
木曜日は辛うじて練習したのだが、もちろん普段より強度は軽めの内容。それでもやはり球威もとよりミスヒットや反応速度、体勢の立て直しにはっきりと影響が出ていた。
それでも日曜日の試合のためにゲーム形式をこなす必要があるため翌日金曜日午後に2時間の練習マッチをアポイント。それまでにできるだけ回復させようとしっかり食べて寝たのだが…
体温を上げて免疫力のアップと病原体の弱体化という理屈にはかなっているのだが、過剰な高体温は同時に消化を助ける菌も殺すわけで…朝から体に力が入らない状態に。
それでもバイクで1時間半ほどかけて行ったところにいた相手は、闘志と体力は満々だが、シコリ重視の微妙なショットの持ち主。最近はもうしっかり打てる人としかやっていなかったのに加え、体力が落ちた状態でリズムに欠け伸びの無いボールの相手をするのはアップ時から憂鬱。
案の定一生懸命振っているつもりでも一向にちゃんとしたショットにならない。まあ振る前にちゃんとヒットポイントに入れない。で、そのうちとんでもないフレームショットが始まる始末。
もうすっかり帰りたくなった1セット目が終わった頃には、おまけに手にマメをつくってしまった。仕方ないのでBLXからn 6.1のフレームに縦横ナイロンを緩めに張った柔らかな組み合わせにチェンジ。打ち方も硬いセットのようにボールを潰すのではなく、飛びはラケットに任せてコースを狙う強打しないフラット気味のショット、そのかわりヒットの直前までしっかりコースを隠す。バックはスライスオンリーでディフェンス重視にドロップ含む前後左右の配球で揺さぶりをかけ、チャンスボールは高い打点のフォアで決めるというパターンに。年配の上手な連中がよく見せる多分一番オーソドックスなスタイルである。
これはうまくいった。相手はリズムカルに飛んでくる強いボールには結構対処できるのだが、自分からペースをつくることはできない。だからサービスもリスクを抑えた球威で充分、ラリーではこちらからは強打しなくとも、相手がくれる時間を使ってヒットのリズムとコースを予測しにくくしてやるのだ。そして滞空時間の短い(跳ねも少ない)フラット系のショットによってさらに相手の時間が奪える。バックのスライスも本来ならもっと攻撃的に使えるはずなのだが、踏み込んでライジング気味に捉えることができないので、時間稼ぎ重視と、ドロップを多めに使って揺さぶるに留まってしまった。
そんな感じで一方的なセットになってしまったが、終盤には、さすがに足が攣り始め、サービスでラケットを担ぐのも難儀になってしまっていた。
結局無理したこともあり肝心の試合がパーになってしまったのだが、体調が悪いとき、さらに相性が悪いタイプとあたった時の対処法が見つかったのは収穫だった。
体調が悪ければスピードやタイミング、リズムも変わる。まず自分のショットの球威と精度は確実に落ちる。(体力がある人間でない限り)スイングスピードがガクンと落ちる。落ちれば、ポリエステル系ストリングを使ってボールを瞬間的に潰す打ち方はできなくなる。相手のボール以前に、自分のラケットに打ち負けるのでは意味がない。体に問題があるときは楽に飛ばせて柔らかなセットをスペアに用意しておいた方がいい。
悪天候時同様、理想論や「べき」論を捨てて、自分ができることを探す。それもいきなり戦略に行くのではなく、まずフットワーク、各ショット等構成要素毎のその時のキャパを見積もって、どう戦うか決める。「うまく打てないな~」と思いながら打っているうちに試合が終わってしまう。
コンパクトなスイングにすることで、ショットの予測を困難にするのはやはり試合に強い連中の基本。体力筋力に充分自信があるのでなければ、大きなスイングで球威を追求するより、どれくらい早めに構えて素早く振り抜けるかどうかを優先した方がいい。
体力が落ちているときは足も動かなくなるが、重心も上がる。移動して高めの球を叩く、ハイボレーやスマッシュの精度が結構落ちるので、普段より腰を落とすことに注意して打つ方がいい。
「相手が何をくれるか」考える。ハードに打ってくるなら(球威をくれるなら)カウンターが使いやすいし、ゆるく打ってくるなら(時間をくれるなら)タイミングをずらしたり、コースで攻めやすい。また、体力があるときなら前へ詰める攻撃のチャンスも増える。
でも久々に「俺がシングルス強くなりたいから相手からできるだけたくさんもらいたい。だけど相手には何もあげたくない。」人種に遭ったよ。こういう空しい連中の相手するのは病気してなくてもいつもより疲れます。