スコアと言うより勝負としてギリギリだった分余計に、生き残れた充実感を見せる主人公に対し、涙とボケで特定読者層への駄目押しを行う緒方くん。
お次はインターバル恒例、また別の特定読者層のための回?となっているが、
「試合の中で自信を持ち続けられる強い精神力を天然で持っているタイプの人は」
「他の人より暗示に掛かりやすいんじゃないかな…って」
というのは、単にヒロインを指しているだけはなく、次の戦いにおけるカギを暗示しているのか?
さて準決勝、奔放なエリートが軍隊式の部活動でビルドアップしてきた神田が相手となった。肉体的に極限まで追い込むことで、「相手の心を折る」ケンカの鉄則を刷り込まれてきた神田は、それを実践すべく最初のポイントから全開で主人公に襲いかかる。小柄ながらスピード&パワーで押してくる相手に対し、盛り返しの組み立てを試行錯誤してゆく主人公。
テニスの実力もさることながら、大応援団を背に受けて押してくる相手に立ち向かうという、さながらデ杯のようなアウェイゲームのケーススタディも予想させるマッチとなっている。一方、多方面からツッコミが入っているだろう「え、いままでの相手はエッグボール打ってなかったの?」については、もちろん漫画としての都合の問題だろう。軽く硬いセッティングが常識化している今日、ハイティーンの最高峰大会でエッグボールにならない方がもはや難しいかもしれない。もちろん女子を中心に、絶対的なヘッドスピードの不足やボールを瞬間的に潰してから後が問題になっているためそれを避けるアプローチを取っている例も少なくないだろうが(逆にヘッドスピードや技術に余裕があれば男子プロ連中のようにテンションを落とすことはある)、この大会だけ見ても少なくとも緒方や荒谷は完全にエッグボールが軸だろう。
それよりも問題は
「神田くんのエッグボールはスイングが速いのが特徴だから 本来打点を合わせるのは難しいはず」
という記述。例えば野球のイチロー氏に聞けば「そりゃあ逆でしょう」と間違いなく言われるだろう。既にさんざん言われていることながら、歴史上屈指のミート力を誇る氏のバッティングはそのスイングスピードがあってこそだからだ。スピードが時間的余裕を生み、時間的余裕が理想的に当てる確率を増してくれることはちょっと考えればわかることだ。言うまでも無く飛んでくる球に対し合わせるように「ラケットを持っていって当てる」のではまともなストロークにならない。さらにエッグボールはトップスピンはかけるにしてもボールを潰さなくてはいけないから「厚い」当たりが必須となる。そして言うまでもないがバランスを崩すような「無茶振りの強打」ではこの大会に出場することもできない。
準決勝は他の試合、特に女子の2試合もそれぞれ興味深い「お題」を与えられ、今までより多めに描かれるようで、表紙が示すように巻末の特別編含め女子の登場が多い巻となっている。で、女性だという噂の作者の方(と担当者)に念のためツッコんでおくと、
「(絶叫系は別としてw)現実でも非現実でも、普段と戦闘モードのギャップが結構激しい方が男にもモテるんやで~」
(まあ、本気でやると男子の存在感が薄くなっちゃうけど…)