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コスモタイガー漂走記~旧中山道編(21)

2014-05-30 | 旧中山道run!!

いざ、中山道へ!
今日もコスモタイガーは、10:10発の松本行普通列車に乗り込んでいる。
ここまでお世話になった「青空フリー」も、今日が最後かな?

青空フリー切符は、今日の出発駅「奈良井」の1つ先、「木曽平沢」までがフリー区間。
帰路は確実にフリー区間を飛び出すことになり、その部分だけ別途支払いになるからね。

11:30過ぎに、コスモタイガーは奈良井駅に降り立った。
今日は前回やり残した、奈良井宿散策から始めよう。

奈良井宿は、京都から来ると、木曽路最後の宿場町。
南西から北東へと続く大きな宿場町なんだけど、JRの駅は、その北東端に位置しているため、京側へ戻る形で、南西に歩く。

で、実は駅前の道は厳密には中山道じゃない。
少し戻ったところから、左の崖に上がっていく未舗装のトレイル道、これが旧中山道らしい。
現在は残念ながら途中で行き止まりらしく、観光客も入って来ず、この一角だけがひっそりとしている。
見事な杉並木となっており、「二百地蔵杉並木」と称するらしい。(冒頭写真)

先へ少し進むと、名前の通り、お地蔵さんがたくさん並んでいる。
で、リサーチ通り、道はここで行き止まり。

戻ってさらに宿場の中心へ。
隅から隅まで約1kmあるとされる奈良井宿、両側には江戸の街並みが保存され、土産物屋や民宿が並んでいる。
妻籠宿同様、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。(旧中山道編15参照)
今じゃすっかり有名になった奈良井宿、観光客もかなり多い。

「越後屋」
かつての旅籠で、今でも現役の民宿として利用できる。

「伊勢屋」
旧脇本陣で、こちらも現在は民宿。

そして重要文化財の「手塚家住宅」は、上問屋の跡で、中は資料館になっているらしい。
当然見たい気持ち山々だけど、見所満載の奈良井宿、1つ1つ丁寧に見学していたら、ここだけで1日が終わってしまうからね。

写真を撮ったり、途中でみたらしを頬張ったりしながら、南西の端、「鎮神社」に到着。
1時間弱の超駆け足ながら、これにて観光終了。

今日のトレーニングの無事を祈願し、この神社を本日のスタートとする。
といっても、ここから駅までは、前回と重複だけどね。
観光客の行き交う中を颯爽と?走るのも、前回と同じだけど。

ただ、前回のような慌ただしさはなく、ゆっくり宿場町の雰囲気を感じながら走る。
越後屋の前を再度通り、左手奥にある大宝寺も気になるけどね。
ここにも「マリア地蔵」がある。
これまた、隠れキリシタンに関係することは、間違いないけれど、構わず素通り。

左右ともに綺麗な宿場町を駆け抜け、さっきの崖道(杉並木)をやり過ごし、そのまま直進して、再び奈良井駅前に。
現在は、このまま駅前を通るしかないのだ。

そのまま線路沿いに進むこと約400m、右にカーブして踏切を渡る。
しばらくまた線路に沿って走り、再び右にカーブし、中央本線と離れると、今度は川を渡って、国19にぶつかる。

もっとも、本来の中山道は、ここをカーブせず、正面の体育館に向かって直進していたらしい。
現在では、行き止まりになり、その先は消失ということらしいから、資料に従い、いったん国道に出るのが無難なようだ。

地元の案内板は、ここから左の散策道に入るよう、指示しているけど、構わずしばらくは国19を走る。
「平沢南」の信号で、分岐を左に。

正面に踏切が見える。
この踏切の少し手前辺りから、旧中山道、ということになるようだ。

踏切を越えると、すぐに平沢集落に入る。
一気に旧街道オーラ全開の、楽しい空間となった。

宿場町ではないけれど、漆器の産地として古くから栄えた集落で、お隣の奈良井宿同様、重要伝統的建造物群保存地区に指定され、当時の町並が今も残る。
むしろ、観光客が少ない分、こっちの方が素敵かも。

旧街道から約50m、右に入った所にあるのが「木曽平沢」駅。
今日は素通りだけど、青空フリーは、この駅までが「フリー区間」になっているわけだね。

さて、町並みに戻る。
道の両側には、伝統ある漆器屋さんが軒を並べている。
もっとゆっくり見て歩きたいなぁ。

いかんいかん、トレーニング中だ!
雰囲気だけを楽しみながら、足だけはちゃんと進めないとね。

正面に諏訪神社が見えてくると、平沢集落の町並みは終わり。
で、その諏訪神社の境内を突っ切るのが中山道らしい。

突っ切った先にあるのが、塩尻市役所楢川(ならかわ)支所、かつての楢川村役場。
この前を走る県道257、実はさっき平沢集落を走ってた道なわけだけど、この県道で支所前を通過。

のどかな山村風景を楽しみつつ、道なりに走る。
右手に大きな駐車場付の建物が現れた。

「道の駅ならかわ」。
折角の休憩ポイントだけど、幸い給水も間に合ってるからね、素通りする。
とはいえ、1つのチェックポイントではある。

間違えやすいのは、その前に左に分岐する道がある。
つい癖で、そっちを選んでしまいそうだけど、ここは素直に道なりに進み、「平沢北」の信号で、国19にぶつかるのが正解らしい。

それよりも、国道を500mほど進んだところから、右に分岐する狭い道。
こっちこそ、まさに中山道だ!

「長瀬」という集落らしい。
特段、見所はないけれど、国道と中央本線に挟まれ、雰囲気ある静かな集落は、走ってても楽しい。
といっても、僅かな区間で、集落を抜けると、再び国19に吸収されるけど。

またしばらくは国道runだ。

中央本線の下を潜り、すぐに川を渡る。
「贄川(にえかわ)」というらしい。

すぐに右に分岐するのが中山道。
田んぼの中に「押込一里塚跡」の碑が見える。

ここからがちょっとややこしい。
思わず気持ち良く快適な道をそのまま進んでしまいそうだけど、資料によれば、実はこの一里塚跡脇の狭路に入っていく。

民家の間を縫うように走り、やがてアスファルト道は行き止まり。
…と思いきや、ほとんど獣道と化した踏み跡がかすかに続いている。

両側は樹木に覆われ、鬱蒼とした森の中、視界は全く利かない。
半信半疑、そして恐る恐る、先へ行く。
大丈夫か?

途中、怪しげな階段もあったりするけれど、丁寧に資料を見ながら、足を進める。
踏み跡がかすかに左に曲がり、やがて国19沿いの高い崖の上に出た。

車の側からすれば、我々を見上げることになる。
19号に沿って設置された土砂崩れ防止用の塀の上を、人が走る形で、結構目立つし、何やら恥ずかしい構図だ。
しかも「走ってる」からさ、野生のサルと間違われたりして。

でもここ、間違いなく「中山道」のようだ。
まぁ、「旅の恥はかき捨て」ってことやね。

降りたところが、「木曽路民芸館」を兼ねた漆器店の駐車場になっていて、そこからは19号を走る。

400mほど先で、中央本線がトンネルから出てきて、右側に寄り添う。
この辺りで中山道は、線路の反対側に出ることになっていたらしいけれど、現在、中央本線により破壊され、そんな道は存在しない。

仕方なくそのまま直進。
しばらく先に線路を渡る跨線橋があるから、それを利用し、そのまま狭い道を直進すると、突き当たったT字路で、いかにも旧街道然とした、静かな道に出る。
ここで本当の中山道に再び巡り合った。

何だか突然な感じだけど、この辺り、すでに贄川宿に入っているようだ。
残念ながら、お決まりの本陣や脇本陣は残っていないけれど、余分な音のほとんどしない静かな集落の町並みは、地味ながらも気持ち良く走れる風景だ。

その中でもわずかに目立ってるのが、旧深沢家住宅で、かつての商家さん。
現在、重要文化財になっている。

贄川宿は小さな宿場だったらしく、あっと言う間に家並みは途切れる。
そのすぐ先、道が左折しつつあるところの正面にある、可愛らしい木造建築が。

これが「贄川関所」やね。
木曽福島ほど大きくはないけれど、ここも資料館として復元・整備されている。

でも、毎度のことながら、トレーニング優先ね。
ぶっちゃけ、東海道の新居関も、箱根の関も、おおかたやってることは一緒なわけで。
ここまで来ると、資料館うんぬんより、道そのものに価値を見出してるからね~。

このまま直進し、坂を下りていき、中央本線を斜めに横切る形が正式な中山道らしいけれど、当然無理な話。
ここは関所前の道を左に行き、とりあえず19号に出る。

そのまま国道を走ると、すぐに中央本線贄川駅前に出る。
ここも普通しか停車しない静かな駅で、相変わらず人影が無さそうだ。

贄川駅前を通過してすぐ!
左に激しく登っていく分岐道がある。

あまり街道の雰囲気を感じないから、少し躊躇して迷ってしまったけど、リサーチによればこれが間違いなく中山道らしい。

駆け上がると、右に国19と中央本線を見下ろした、抜群の風景となる。
所々、紅葉しているところが、また素敵だなぁ。

T字路を右へ。
周囲は、農家が静かに佇むだけの集落で、案内板もなく、不安になる。

やがて下りになり、道は左にカーブするけれど、ガードレールの切れ間から降りていく獣道?がある。
リサーチニよれば、これが中山道らしい。

ここを下りると再び19号。
そしてすぐのところに、無茶苦茶判りにくい、というより、なんじゃこりゃ、というところにあるのが、「若神子一里塚跡」。

19号沿いに「一里塚跡はこの上です」と控えめな看板が出ており、見上げると、左崖の上に、案内板が立っている。
こりゃ、あらかじめリサーチしておかないと絶対に見つけられそうにない史跡だ。

再び左に分岐。
右に小さな集会所があり、かすかに街道であることを教えてくれる。
地元の方しか通らないため、交通量も少なく、この辺りは快適なランが続く。

19号に再び吸収され、しばらく走ると、「鶯着(おうちゃく)寺」。
これが目印で、ここを左に分岐し、100mほどでまたすぐに合流。

しばらくは国道runだけど、この辺りの国19、空が広くて明るく、視界的にも素敵な風景が続く。

「桜沢」という名の集落に入ったようだ。
今度は左側。
「明治天皇御休所」の碑。
かつての茶屋本陣、つまり、旅人がお茶する場所だったんだね。

この茶屋本陣が目印で、100mほど先で右に上る細い分岐道があるから、ここを登る。
ここも例のごとく、未舗装の悪路で、雑草もかなり生えており、走りにくい。

ほとんど獣道状態で、ホントに、これ、中山道?と思ってしまう。
周囲に人の気配もなく、少し下を走る国19に、たまに車が通り過ぎるのみだ。

ペースはガタ落ち、草をかき分けながら進むと、やがて左に急カーブ。
鋭角に曲がり、国19に再び降り立つ。

その降り立ったところにあるのが、「これより木曽路」の大きな碑。
そう、江戸からだとここから木曽路。
つまり、コスモタイガーにとって、これにて木曽路終了!

もっともこの碑、そんな説明書きはないけれど、この国道沿いに移設されたんじゃないの?
さっきの鋭角は不自然で、あの獣道はもっと自然な形でそのまま直進していただろうし、当然、境界を示す碑は、その道沿いに建てられたはず。

いずれにせよ、これにて木曽路制覇!
近江路・美濃路・木曽路。
6つのうち、3つを走破!(旧中山道編0参照)
ここからはいよいよ中山道最大の難関、信濃路だ!
国名でいうと、木曽の国から、信濃の国に入るという説明になる。

頭上には、「標高812m」の表示もある。
東海道の箱根峠とそんなに違わない高さにいるってことやね。

さぁ、国19を進もう。すぐに橋を渡る。
名前はそのまんま、「境橋」。

しばらくは国19をひた走る。
右に中央本線が寄り添う。
標高も徐々に下がり、気のせいか、信濃路になって急に空気が変わった気がする。

1.5kmぐらいかな?
気持ち良く走ってると、うっかり直進してしまいそうだけど、左右両側に、アスファルト道が分岐している。
右は、この国道19号の旧道に値するらしく、結構広いけど、左に降りていく道は狭そうだ。

小さな案内板を確認し、左の狭い道の方を選択、グルッとカーブし、国19の下を潜る。
インターチェンジを降りるような感覚だ。

すぐにさっき右に分岐した方の、少し広い道に合流。
ここからはこの道が中山道でもあるらしく、そのまま旧国道に沿って走る。
現在では、県道254号線、ということになっているようだ。

日出塩の集落に入ったようで、左右に民家が現れた。
旧国道ということで、たま~に地元の車両が通行する程度で、ひっそりとしている。

おっとっと!
右側、思わず見落としそうだけど、「→日出塩駅」の看板が出ている。
覗いてみると、一瞬、民家の裏庭?と思うぐらい、ひっそりと佇む無人駅で、面白そうだ。
それに、信濃路に入って最初の駅、というのも興味深いし、何となく気持ちの上で1つの区切りになる。

当初のリサーチでは、約5km先の洗馬駅まで頑張るつもりだったんだけどね。
次のターニングポイント、下諏訪宿(下諏訪駅)までのバランスも考えても、その方が良いんだけど。

実走距離は、ここまでで16~17kmで、まだ余力は充分あるけれど、時計は16時近く、日が傾きかけている。

と、まぁ言い訳はそれぐらい。
早い話、誘惑に負けた!
今日はここをゴールとする。

当然、鈍行しか停車しないため、利用客も少ない。
給水と着替えを済ませ、ホームに入ると、めずらしく!先客がいた。
残念ながら美女ではなく、60前後のおっさんだけど。

格好からして明らかに地元民ではない。
もしかして中山道がらみの旅なのか?
と思っていたら、相手は俺に「同好の士」のオーラでも感じたのか、親しげに話しかけてきた。

どうやらコスモタイガーとは逆コース、「江戸」から中山道を歩いてきたらしい。
そして今日はここをゴールにして、この先の奈良井宿で泊る由。

でもさ、おっさん、「同好の士」じゃないからね!
こっちは真面目なトレーニングの一環!として、「たまたま」中山道を走ってるだけだから!(ハイハイ)

といいつつ、話に乗っかってしまったりする。
カッコよく言えば、情報交換というやつだ。
「この先のコースはどんな感じ?」なんて聞いてくるから、「間違いなく、今まであなたの歩かれてきたコースよりは楽ですよ」と答えておいた。

電車がやってきた。
車内で「木曽平沢」までの飛び出し分を清算し、あとは「青空フリー」の旅。

晩秋の日は短い。
中津川駅で乗り換える頃には、すでに辺りは暗くなっていた。
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