GWも終わった5月の休日。
今日も天気が良いし、中山道を走ろう!
ただ今までと違うのは、今日からは東海道編や美濃路編同様、「家から遠ざかる」形になること。
向かった先は最寄りのバス停!
ここから市営バスに乗車、名古屋市営地下鉄鶴舞線「原」駅に出る。
毎朝の通勤経路そのまんまなんだけど…(泣)(2009年現在)
購入したのは、名古屋市民には重宝されている「ドニチエコ切符」。
名前の通り、土日祝日に限り(それ以外に毎月8日もOK)、名古屋市営の地下鉄・バス乗り放題で600円のお得な切符やね。
よくよく考えてみると、名古屋市民でありながら、東海道から始まった旧街道ランでの地下鉄利用ははじめてじゃね~か?
まぁね、通勤経路との重複はなるべく避けたいと、意図してた部分もあったけどさ。
原駅前のターミナルは、もう飽きるほど見てるから、何にも感慨はない。
地下鉄鶴舞線に乗車、毎朝、名城線に乗り換える「八事」駅、今日は素通り。
いかに鉄チャンといえど、景色も特徴もない地下鉄、しかも毎朝乗ってるから、こんなものは興味の対象ではないね。
地上に出てすぐ、鶴舞線の終着駅、「上小田井」駅。
大半の電車がここで終点なんだけど、一部はそのまま名鉄犬山線に乗り入れている。
ただ、平日の通勤時間帯をのぞき、「相互乗入」は全て普通。
時間かかるんだよ。
よってここで金山・名古屋方面からやってきた、急行に乗り換えた方が便利やね。
犬山駅で各務原線の電車に乗換、前回のゴール「市民公園前」駅に到着。
時計は11時を過ぎている。
実は名鉄各務原線に並走する線路がもう1本あるんだけどね。
こちらはJR高山本線。
残念ながら、市民公園前に駅はないけれど。
そもそも中山道、名古屋人的には、中央本線(西線)や国道19号に沿うイメージが強いからね、「高山本線」が登場したことに不思議さを感じたりする。
きっと、岐阜~美濃太田間は、中山道を意識して敷設されたんだろうね。
名鉄各務原線とともに、しばらくは中山道のお伴となる。
まずは公園内を散策がてら、図書館へ。
鉄道関係の本も多く、特に大好きな「種村直樹」氏関連の本には思わず時間を忘れそうになる。
1時間以上、粘ってしまった。
でもこのままじゃ、何しに来たのかわからないよね。
借りるわけにもいかんしね~、後ろ髪引かれる思いだけど、今日のトレーニングを始めよう!
公園内を突っ切って「門前町2」の交差点に出る。
ここから東に向かって走るんだね。
左手には交番があり、その背後には、何やら無機質な某電話会社のビルがあるのが目印だ。
各務原市役所を通過し、若干殺風景な街中をひたすら走る。
今日も、前半戦はこんな感じで、中山道らしさはあまり期待できないことはわかってるからさ。
道がやや右にゆるやかにカーブし始めたところに、右手に「竹林寺」がある。
その真ん前、道路の左側に、細々と「六軒一里塚跡」の標柱が建っていた。
すぐに右側後方から、大きなバイパス(国道21号)が近づいてくる。
しばらく見なかった国道21号線、久しぶりに合流だ。
交通量はかなりの量だけど、歩道も整備され、走りやすくはなっている。
ちなみに21号の向こう側には、何やらだだっ広い工場のようなものが広がっているけれど、これは航空自衛隊各務原基地。
さっき乗ってきた名鉄各務原線の上を陸橋で渡ると、そこが「三柿野」駅だ。
左右両側には、自衛隊基地と繋がるような感じで、川崎重工業の工場が広がっている。
完全に工場地帯の真ん中を走る感じで、旧街道らしさは全くないから、ちょっと不安にはなるけれど、資料を再確認すれば、ここが中山道であることは間違いないらしい。
走ることに専念!
ひたすら国道ランだ。
左手に高山本線「各務原」駅、右に名鉄の「名電各務原」駅。
鉄チャン的には少し面白い構図ではあるけどね。
旧街道ランとしては、立ち止まるような場所はどこにもない。
こんな国道わきを延々と走るためだけに、わざわざ名古屋から…。
俺もアホやな。
でもそんなアホな自分が大好きだけど。
合流点からでも3km以上走ったかな?
とにかくここまで「らしき」ところが何もないまま、某電話会社の鵜沼ビルが左に現れた。
これが目印代わりになるけど、すぐ先の交差点(鵜沼羽場町」で道は二手に分岐する。
21号バイパスは右にカーブ、車的にはこっちが幹線だけど、中山道は直進。
やっとここで21号から離れたよ。
急に静かな郊外の生活道路の雰囲気となった。
左手には何やら丸い形の小山が。
「空安寺」、そして隣接する衣装塚古墳、ということらしい。
微妙に曲がりくねる道に、街道の匂いをわずかに感じる。
信号のある小さな交差点に出た。
左側に、古い道標があり、「中山道鵜沼宿」と書かれている。
文字通り、ここから鵜沼宿に入ったらしい。
この鵜沼宿も、宿場としては小規模だったというのもあって、知名度はイマイチなんだけどさ、あちこちに古い建物が点在し、意外に旧街道の雰囲気を残しているんだね。
左手に二宮神社と脇本陣跡。
さらに少し進むと、これまた見事な旧宅が。
旧武藤家住宅。
現在は、「鵜沼宿町屋館」として、資料館となっているらしい。
のぞいてみたい気持ちは山々なんだけどね、ここは一発、決めゼリフ!
「今、トレーニング中だから!」
21号バイパスを横断し、さらに直進すると、100mちょっとで、信号のある五叉路に出る。
ややこしいけど、ここは道標に従い、少し狭い左側の道を選択し、直進する。
ちなみに道標には、「これよりうとう峠、左」。
まぁ、誤って右選んだら、国道出ちゃうから、分かるけどね。
300m少々進むと、さらに二手に分岐。
思わずそのまままっすぐ進んでしまいそうだけど。
良く見ると、真ん中にお地蔵さんが建っている。
ここは急激に左に曲がり、坂道を上がっていくのが正解のようだ。
ここから一気に高度を上げることになるらしい。
道標にあった通り、これから「うとう峠」を越えるのさ。
かつてはこんもりした山中の道だったんだろうけど、名古屋通勤圏はここまで広がってるんだね。
両側は明らかに新興住宅地の様相で、土地区画整理されたであろう、住宅街の中を、奇跡的に?残ったような1本の旧道、といった感じで、坂を登っていく。
きっと開発の際にも、この道が中山道であることを意識したんやろうな、いや、そうと信じたい!
何せ、東海道runでは、藤枝市で、土地区画整理事業には苦々しい思いをさせられたもんな~。(旧東海道編23参照)
何やら正面に大きな池が見えてきた。
案内板もなく、何やら不安な気持ちで、池の前で右折。
つまり池を左に見る感じやね。
正面は森になっていて、T字路になってるから、そこを左折。
要するに、池に沿って走るわけなんだけど。
さらに走ると、バス停が現れ、左手にはこれまた突然に大きな団地が現れた。
この辺り、「自然」と「開発」が混在している感じだ。
右側は、何やら大きな森林公園のようだ。
公園の中を右斜めに、森の中に入っていくクロカン道がある。
案内板もあり、どうやらこれが中山道らしい。
この広大な自然公園は、「日本ラインうぬまの森」として、整備されている。
公園内には、自然散策路が張り巡らされており、その一部が「旧中山道」になっているという仕組みだ。
散策路に入ってすぐ、「うとう峠一里塚」。
両側が現存しているらしいが、何せ一気に山の中。
周囲の木々に溶け込みすぎて、良く見ないとどれが一里塚なのか、判然としない。
しばらくは完全に「うぬまの森」の中を、クロカンしている状況。
わずかに石畳も残っている。
公園の案内板に従って、結構なトレーニングだ。
ちょっと寄り道して、展望台に寄って見ると、これから先走ることになるであろう、太田宿方面の遠景が、素晴らしい!
いつしか「うとう峠」を超え、下り坂に入る。
相変わらず散策路は続く。
マイナスイオンたっぷりの木立の中を降りていく。
気持ちいいなぁ。
中山道の看板に従い、さらに降りて行くと、公園を出たところに小さな川(水路?)があり、トンネルになっている。
一見、ここで行き止まりのような錯覚に陥るけれど、これまた注視すると、水路の脇に歩道が設けられてあり、トンネルを潜るようになっている。
そしてこのトンネルで、JR高山本線と国道21号の下を通るらしい。
トンネルを出て、階段を駆け上がると…!
何と、21号沿いの、ドライブインの駐車場に出た。
右手には、悠然と木曽川が流れている。
これ、反対側、江戸から走る(歩く)方には、分かりにくいやろうなぁ!
まさかドライブインの敷地(駐車場)を横切って、その先の階段を下りるなんて、念入りにリサーチしておかないと、厳しいかもな。
しかも歩道が反対側(左側)しかないし、横断歩道も見当たらないため、注意しながらササッと反対側に渡る。
しばらくは21号を走るだけ。
すぐに行政区域が変わり、「坂祝(さかほぎ)町」に入った。
左にJR高山本線、右は木曽川。
景色は悪くないけど、国道runはちょっと退屈だ。
でも左の絶壁?には「中山道」と大書された看板が出ていて、一応この道が中山道であることが主張されている。
左手頭上の山の中に、「岩屋観音」と呼ばれる名刹があって、旗(のぼり?)が立っているのが見える。
案内に従って、駆け上がる。
登りきると視界が開け、なかなかの眺めだ。
ここから見える木曽川、この辺りでは「日本ライン」と呼ばれ、川下りもある名勝だ。
思わず足を止め、見入ってしまった。
降りたところから再び、21号を進む。
「勝山西」の信号に出た。
左に目を向けると、山の上に小さな櫓のようなものがかすかに見える。
山の名前は「城山」で、櫓らしきものは、「猿啄城跡」らしいんだけど。
興味は大いにあるけれど、あの山の上まで行くのはちょっとしんどいな。
それに登り口もどこからなのかわからない。
リサーチしておけば良かった。
ってことで、そのままスルーし、21号を先へ進む。
この辺りから、右手木曽川沿いが堤防になり、その土手の上に素敵な遊歩道が整備されていて、この21号と並走する形になっている。
多分、厳格に解釈すれば、この21号こそ、中山道なんだろうけど、残念ながら旧街道を偲ぶものは皆無だからね。
ここは遊歩道を走った方が安全だし、何よりも一段高いところを走るため、景色も良くて気持ち良い。
ちなみに、遊歩道には「日本ラインロマンチック街道」の名が付けられているらしい。
遊歩道を約800m。
下の21号を見下ろすと、「取組」という変わった名前の交差点がある。
中山道的には、このまま遊歩道を走れば良いのだけど。
この先の行程も考慮し、少し余力を残しつつ、今日はこの辺りをゴールにしておこう。
というわけで、ここで遊歩道を駆け下り、信号を渡ってそのまま直進!
すると300mほどで、JR高山本線「坂祝」駅に到着。(冒頭写真)
時計はまもなく16時になろうとしている。
実走距離、今日は18kmぐらいかな?
何といっても中盤に、かなりのクロカン要素があって、しかも寄り道もしちゃってるしね。
さて、坂祝駅。
坂祝町の玄関口、といえば聞こえは良いけれど、JR高山本線の、普通しか停車しない無人駅だ。
駅前には商店もコンビニもない。
高山本線といえば、岐阜駅と富山駅を結ぶ、単線非電化のローカル線ながら、観光路線のイメージが強く、沿線には、下呂温泉や飛騨高山などの観光地も数多い。
ただその大半は、特急「ワイドビューひだ」号を利用するケースがほとんどだ。
コスモタイガーも墓参で高山へ行く際は、「ワイドビューひだ」か、東海北陸道の高速バスがほとんどで、じっくりと普通列車に乗ったのは、過去に1回しか記憶にない。
そんな高山本線の中に、忘れ去られたかのように存在するのが坂祝駅。
停車する列車の本数は、残念ながら?概ね30分に1本程度あるため、最近流行り?の「秘境駅」の仲間入りはちょっと難しいけれど。
ただ、静かな集落の中に存在し、自分だけがひっそりと小さな駅舎で過ごすひとときは、「プチ秘境駅」の雰囲気が漂っていて、素敵な空間だ。
列車到着直前に、地元の女性1人が駆け込んできたけれど、それまでは駅舎でぼんやり過ごした。
さて、普通列車に乗る。
ディーゼルカー特有のエンジン音に身を任せ…、と言いたいところだけど、ついさっき走って超えた「うとう峠」をあっけなくトンネルで超え、わずか6分程度で、すぐ隣の鵜沼駅に到着、ここで下車。
今日通った、鵜沼宿の最寄り駅だったりするんだけど。
ここは、鉄道マニア的には、有名な?駅だよね
この鵜沼駅、名鉄の新鵜沼駅と隣接し、連絡通路で繋がっている。
かつてここに連絡線が繋がっていて、名鉄の名物急行「北アルプス」号(その後、特急に格上げ)が、ここから高山本線に乗り入れて、高山や富山まで走っていた。
すでにその連絡線は撤去されているけれど。
コスモタイガーにとって、幼いころから何度も利用した、思い出の列車だ。
現在のJR「ワイドビューひだ」号のような大回りで岐阜駅は通らず、名鉄犬山線経由でショートカットし、そのまま連絡線からJRに切り替わるのは楽しかったなぁ。
全盛期には、富山からさらに富山地方鉄道にも乗入れ、立山駅まで運行され、何と3社の線路をつないでいた貴重な急行だったのだ。
さらに名鉄的には、この新鵜沼駅は、拠点駅の一つ。
ここから名古屋方面は「犬山線」、各務原・岐阜方面が「各務原線」と位置付けられている。
連絡通路を通って、新鵜沼駅に出て、「犬山線」の急行に乗車、上小田井駅へ。
ここからは、朝、来たときの逆やね。
地下鉄鶴舞線に乗換、帰宅した。
ちなみに、今日も財布にやさしい行程で、ドニチエコで600円(自宅~上小田井往復)、上小田井~市民公園前650円(名鉄/ユリカ利用)、坂祝~鵜沼180円(JR)、新鵜沼~上小田井490円(名鉄/ユリカ利用)。
合計は、ユリカ利用分含めても、わずか1,740円。
日が長くなってきて、今日も明るいうちに帰宅できたことを喜ぶコスモタイガー。
「中山道の険しさ」をリアル体験するのは、まだまだ先の話なのであった。