私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

マッコイ・タイナーのピアノに浸る

2019年08月11日 | ジャズ
 今年の夏のドライブのBGMは、マッコイ・タイナーを流すことが多くなりました。
 タイナーといえば、一般的に“コルトレーンを支えたリズムセクション”としてのピアニスト。
 でも、私が惹かれるのは、コルトレーン抜きの録音です。

 中でもお気に入りは、「Impulse!」レーベルから出ている2枚;

Nights Of Ballads And Blues


McCoy Tyner Plays Ellington


 肩に力が入っておらず、リラックスしたジャズです。
 自然体なんです。

 “黒い情念”と呼ばれるマル・ウォルドロンほど感情に流されず、
 レイ・ブライアントほど土臭くない。

 彼の体の中を流れる血が、そのまま表現されているような気さえしてきます。
 陽の当たる熱いジャズではなく、暗闇に仄暗い炎が揺らめいているような。

 私にとって“ちょうどいい”のです。
 なぜなんだろう。
 

MP3で聴くリー・モーガン

2018年03月25日 | ジャズ
 リー・モーガンの作品あるいは酸化したセッションを網羅したロシア製MP3-CDを車で聴いています。

 始まりは1956年。
 う〜ん、この頃は凡庸なトランペッター。
 セッションを内輪で楽しんでいるような印象にとどまります。

 それが、1958年の「Volume3」から「ハッ」とするほど変わるのです。
 注目された「アイ・リメンバー・クリフォード」はやはり秀逸。
 一皮むけて、メリハリのきいた吹き出し、スマート&スタイリッシュな節回し。
 とにかく「カッコイイ!」んです!

 「Candy」「The Cooker」「Here's Lee Morgan」あたりが一つのピークですかね。
 「クリフォード・ブラウンが若くして亡くなり、その代わりに颯爽と登場してきたのがリー・モーガン」
 という文章を読んだことがありますが、まさにそんな感じです。

 1960年代に入るとポップな路線にずれて、私の好みから外れていきます。
 「The Sidewinder」は「ジャズ・ロック」と呼ばれて大ヒットしましたけどね。

 私はやはり1958年のジャズが好きです。
 とくにマイルス・デイビスの「1958 MILES」というアルバムがお気に入り。
 このアルバムの中の「Stella by Starlight」がたまりません。
 夜間ドライブでこの曲を聴く度に頭が冴え渡り、「孤独も悪くない」と感じたものです。
 
 ジャズの歴史を簡単になぞりますと・・・
 南北戦争の鼓笛隊から払い下げられた楽器を手にした黒人達がアフリカの音楽を思い出しながら演奏し始めたのがジャズの始まり。
 結婚式や葬式の時など、生活の音楽として日常的に演奏されていました。
 それがダンス音楽として普及したのが1930年代。
 ベニー・グッドマンの時代ですね。
 小編成のコンボで演奏するようになった1940年代。
 自己表現を求めて熱いセッションを繰り返し腕を磨いた1950年代。
 そして芸術のレベルまで引き上げたのが1950年代後半のマイルス。

 彼の暗闇を引き裂く冴えたミュートプレイは時代を超える音楽だと思います。
 ほの暗い中に張り詰めた空気を感じます。
 どんな時代だったんだろう。
 
 リー・モーガンは33歳の若さで恋人に銃殺されてしまいました。
 最近、映画(「私が殺したリー・モーガン」)になったようです。

 YouTube で「動くリー・モーガン」を見ることができます。
 よい時代になりました。

□ 「I Remember Clifford by Art Blakey and The Jazz Messengers (feat. Lee Morgan)」(ちょっと雑音が気になりますね)
□ 「Moanin' - Lee Morgan
□ 「Lee Morgan Trumpet Solos Volume 2
□ 「Art Blakey & The Jazz Messengers - A Night In Tunisia

ジャズ・ハーモニカの巨匠、 トゥーツ・シールマンス氏死去

2016年09月06日 | ジャズ
 またもやジャズ界の巨人が亡くなりました。
 ジャズ界にハーモニカという楽器を持ち込み確立したトゥーツ・シールマンス。



 私は彼とビル・エヴァンスとの競演盤「Affinity」が大好きで、数十年来、1音で彼とわかる温かい音色に聴き入ったものです。

■ トゥーツ・シールマンス氏死去=伝説的ハーモニカ奏者
(2016/08/22:JIJI.com)
 トゥーツ・シールマンス氏(本名ジャンバティスト・シールマンス=ベルギーのジャズ・ハーモニカ奏者)ベルギーのメディアによると、22日死去、94歳。けがのため入院中だった。
 ブリュッセル生まれ。3歳でアコーディオンを始める。1950年にクラリネット奏者のベニー・グッドマンの欧州ツアーに参加し、国際的にも知られる存在となった。
 その後は米国に拠点を移し、マイルス・デイビス、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ジョエルら幅広いジャンルの音楽家と共演。ジャズ界の「伝説的なハーモニカ奏者」として不動の評価を得た。子供向け米テレビ番組「セサミ・ストリート」のテーマ曲でもハーモニカを演奏した。


 今はYoutubeで視聴できるので便利な時代になりました(^^)。

ブラボー!

2016年04月13日 | ジャズ
 最近、TV露出も多い上原ひろみ。
 ジャズの本場、アメリカでの快挙です!

■ 上原ひろみさん 米チャート1位…ジャズアルバム部門
毎日新聞2016年4月12日
 米国の音楽ヒットチャートで知られるビルボードは12日、ジャズピアニスト上原ひろみさん(37)の最新アルバム「SPARK」が週間ジャズアルバム部門で1位を獲得したと発表した。
 チャートは4月23日付。日本での所属レコード会社の担当者は「日本人がビルボードの部門チャートで1位になるのは異例」としている。
 上原さんは浜松市出身。1999年に米国のバークリー音楽院に入学し、在学中の2003年にアルバム「Another Mind」で世界デビューした。


 バークリー音楽院と言えば、秋吉敏子にはじまり、渡辺貞夫、小曽根眞など蒼々たるメンバーが留学したジャズの殿堂ですね。

ローランド・カーク

2013年07月15日 | ジャズ
 WOWWOWで放映されたフランスでのライブ「ローランド・カーク ライブ・イン・フランス 1972 」を視聴しました。

 


 私にとっては「溢れ出る涙」のジャケットが印象的で、サックスを3本同時に咥えて吹くという曲芸もどきの芸風と決めつけて食わず嫌いになったまま現在に至ってきました。



 ライブ映像では、3本のサックスどころか、他にも様々な管楽器を演奏し、時には小さな笛を鼻の穴に入れてまで吹いているのを見てビックリ。
 彼は生まれつきの弱視で2歳の時に失明に至っています。
 たくさんの音を奏でることに集中して、見てくれは気にしていなかったのでしょう。

 ただ、「一人で複数の音を奏でる」ことは「一つの音を追求する」と相反するベクトル。
 私はマイルス・デイビスのように自分の音を追求して沈黙さえも音楽にしてしまうプレイの方が好きだなあ。

 カークは「循環呼吸」(口から息を吹くのと同時に鼻から息を吸って息継ぎ無しで長時間管楽器を演奏するテクニック)の実践者でもあり、確かに頬を膨らましたり凹ませたりしながら音が途切れることなく演奏していました。