私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

宇多田ヒカルの“切なさ”のルーツ

2016年09月25日 | ヴォーカル
 宇多田ヒカルは希有なアーティストです。
 歌が上手いとか下手とかのレベルを超え、唯一無二の世界を造っていると思います。
 1998年の「Automatic」で登場した際、衝撃を受けました(日本中?)。

 先日、NHKで宇多田ヒカルの番組を見ました。
 6年間の音楽活動休止を経ての復帰記念番組のようです。
 その間、母の死に向かい合い、結婚して子どもをもうけたという“人間活動”に費やしました。
 少し頬のこけた表情が、お母さんの藤圭子さんにだんだん似てきましたね。



 糸井重里さんとのインタビューや井上陽水さんがコメントがデビュー当時から彼女がまとっていた“切なさ”のルーツを解き明かしてくれました。
 それは「アウトサイダー」。
 彼女はアメリカ生まれの日本人。
 日本でもアメリカでも異邦人としてみられがちで、世間になじめない。
 そこから生まれる苦しさ、切なさ・・・。
 
 なるほど。
 それが、増幅された歌に、聞き手が反応して時代の寵児になったのですね。

 復帰後の歌は、その切なさを卒業し、体からわき上がる母への思慕や子どもを得た生命力が素直に表現されるようになりました。
 成長過程が見えるアーティストというのは、後世に残ります。

SONGSスペシャル 宇多田ヒカル  ~人間・宇多田ヒカル 今「母」を歌う~
 1998年12月発表のデビューシングルがダブルミリオンを記録。わずか15歳にして一躍トップアーティストの仲間入りを果たした宇多田ヒカル。ファーストアルバム「First Love」がCDセールス日本記録を樹立して以降、アルバムはすべてチャート1位を獲得。さらに2007年にはシングル「Flavor Of Life」がダウンロード世界記録を樹立するなど、まさに日本を代表するトップアーティストとして活躍を続けていた。しかし、2010年、突然ホームページ上で“人間活動”を宣言し、活動を一時休止。それからは日本を離れ、表立った音楽活動は、ほとんど行ってこなかった。
 そんな彼女が今年、およそ6年ぶりにアーティスト活動を本格的に再開。4月にNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌「花束を君に」を発表し、9月には、およそ8年半ぶりとなる待望のオリジナルアルバム発表が予定されている。「SONGSスペシャル」では、その最新アルバムに収録される楽曲の中から3曲を初披露。10月1日に最終回を迎える『とと姉ちゃん』主題歌「花束を君に」も、この番組でテレビ初披露という貴重なパフォーマンスとなり、番組のナレーションも『とと姉ちゃん』主演の高畑充希が務めた。
 また番組では、糸井重里と宇多田ヒカルが初対談。活動休止に至った経緯や、<初めて日常というものを手にした>という休止中の出来事、そして現在の創作活動に至るまで、たっぷりと話を聞いた。対談では<今までになく率直で、今までになく肉体的になった>という新しい曲たちのコンセプトにも言及。そこには3年前に亡くなった母親、藤圭子への強い思い、そして去年、生まれた第一子の存在があった。
 さらに番組中盤では宇多田ヒカル歴代の代表曲を振り返るトークコーナーも。当時の映像も交えながら、自らの歌詞や歌声について語り、創作の変遷を辿った。なんと井上陽水からも「宇多田ヒカルの魅力を語る」コメントVTRが届き、一夜限りの特別なトークとなった。
 デビュー以降、ずっと孤独と寄り添いながら、強がる少女を演じながら、音楽シーンのトップを走り続けてきた彼女が、6年の人間活動を経て、手にしたものとは何なのか?今の宇多田ヒカルにしか歌えない歌、今の宇多田ヒカルにしか語れないことが、たっぷりと詰まった50分となった。

鼓童ワン・アース・ツアー2016「螺旋」

2016年09月12日 | コンサート
 2016.9.11夜、館林市文化会館に和太鼓集団「鼓童」が来たので、夫婦で出かけました。



 長男が大学の和太鼓部に所属しており、何度かそのパフォーマンスを目にしたことがあります。
 「プロの太鼓とどこが違うのか?」
 と素朴な疑問を持ち、今回の公演を聴くに至りました。

 会場は開演前から人だかりで、知り合いの顔もチラホラ。
 開場後も、観客席は9割以上埋まっていました。

 公演は20分の休憩をはさんで約2時間。

 第一部は、やや抑え気味のプレイです。
 「太鼓って、音階・旋律がないから単調」
 「聞いていても情景が浮かばない」
 などと、やや斜に構えた感想が頭に浮かびました(^^;)。
 小太鼓の一糸乱れぬ急速連打に驚愕。

 第二部は通奏低音のようなリズムの中に微妙な揺らぎを含み、時にエネルギーがほとばしるパフォーマンスを堪能しました。
 歌を入れたり、篠笛を入れたり、芸に広がりも。
 「規則正しいリズムの連続、太鼓の音って気持ちいいんだ」
 と素直に体が喜びました。
 あ、これが太鼓の魅力なんですね(^^)。

 太古の昔から単調なリズムを反復して徐々に盛り上がる音楽は宗教のトランス状態誘導に用いられてきた、そんなことが頭に浮かびました。
 イスラム教のスーフィズムしかり。
 ジャズ界の帝王、マイルス・デイビスの晩年もしかり。
 
 大学和太鼓部と違うと感じたところ。
・リズムが複雑 ・・・どうやって覚えるんだろう?
・個人パフォーマンスにスポットライトが当たる ・・・ジャズのソロのよう。
・大きな太鼓を使う ・・・高そう。
 等々。

ジャズ・ハーモニカの巨匠、 トゥーツ・シールマンス氏死去

2016年09月06日 | ジャズ
 またもやジャズ界の巨人が亡くなりました。
 ジャズ界にハーモニカという楽器を持ち込み確立したトゥーツ・シールマンス。



 私は彼とビル・エヴァンスとの競演盤「Affinity」が大好きで、数十年来、1音で彼とわかる温かい音色に聴き入ったものです。

■ トゥーツ・シールマンス氏死去=伝説的ハーモニカ奏者
(2016/08/22:JIJI.com)
 トゥーツ・シールマンス氏(本名ジャンバティスト・シールマンス=ベルギーのジャズ・ハーモニカ奏者)ベルギーのメディアによると、22日死去、94歳。けがのため入院中だった。
 ブリュッセル生まれ。3歳でアコーディオンを始める。1950年にクラリネット奏者のベニー・グッドマンの欧州ツアーに参加し、国際的にも知られる存在となった。
 その後は米国に拠点を移し、マイルス・デイビス、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ジョエルら幅広いジャンルの音楽家と共演。ジャズ界の「伝説的なハーモニカ奏者」として不動の評価を得た。子供向け米テレビ番組「セサミ・ストリート」のテーマ曲でもハーモニカを演奏した。


 今はYoutubeで視聴できるので便利な時代になりました(^^)。