私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

オーディオショップでスピーカー談議

2012年09月29日 | オーディオ
 10年以上前から、たまに足が向く地元のオーディオ・ショップがあります。
 「エレックス」という名前です。
 新品より中古がメインで、スピーカー中心にオリジナル商品も自作している、マニアックなお店。

 数ヶ月前に店舗移転のハガキが来ていたのですが、本日ようやくその気になり覗いてみました。
 店舗移転の経緯を尋ねると、前オーナーが亡くなったためとのこと。
 以前は高層アパートの1階でしたが、現在は大きなプレハブ造りでガレージ・ショップという雰囲気です。
 
 戸を開けて中に入ると、おびただしい数のオーディオ機器が雑然と並んでいます。
 中央には大きな木製ホーンが重なるスピーカーシステムが鎮座していました。

 あれ? 嗜好が変わったのかな?

 以前はアルミ無垢のスリムなスピーカーがメインで「抜けのよい音」を目指していると前オーナーが熱く語ってくれたものでした。
 その昔のスピーカーは端によけられ、なんと値札がついて売りに出されており、一抹の寂しさを感じました。

 さて、巨大なホーンを従えたスピーカーを試聴させてもらいました。
 うん、すごく素直でストレートな音。
 こもるでもなく、大げさに広げるでもなく、聴いていて飽きない疲れない音。

 特徴を解説してもらいました。
 まず、各スピーカーユニットの位置に注目。
 ウーファー、スコーカー、ツィーターは微妙に前後にずれて配置されています。
 音の位相がずれてまとまりがなくなりそうなものですが、これを最新技術が支えているとのこと。
 デジタル・チャンネル・デバイダーという機器が、位相を調節してピタリと合わせてくれるらしいのです。
 昔のアナログ機器の時代には不可能だったと説明されました。

 それから ホーン型のメリット。
 「音圧を強くするには大きな口径が必要だが、口径が大きくなるほどコーン部の強度が低下する。強度を保ちつつ音圧を強くするには、口径をそこそこにしてホーンで増幅という形式が有利に働く。」
 とのこと。

 最近、ネット上で見つけたJBLの古いスピーカーが気になっています。
 その型番は「4425」。1985年発売で今は廃番となり、4428→ 4429と進化して現在に至ります。
 4425はスタジオモニターの位置づけで、30cmのウーファーとバイラジアル・ホーンを備えたシステム。
 「音は荒いけど音圧で勝負」タイプで、ジャズがジャズらしく聞こえるJBLの名作と評され、今でも愛好家がたくさんいます。
 一方、クラシック系の弦楽器を繊細に表現するのは苦手です。

 久しぶりにお店へ行く気持ちになったのは、25年前のスピーカーは買いか?という疑問に答えが欲しかったからかもしれません。
 現オーナーに意見を聞いてみました。
 すると想定外の答えが返ってきました。

 レコードを再生する目的がメインのスピーカーと、デジタル録音時代のスピーカーは、別のスピーカーと考えた方がよい、とのこと。以下に要点を記します;

 レコード時代の録音は、低音部は弱く、高音部は強くが原則だった。
 これは低音をないがしろにしているわけではなく、低音部の情報量を多くするとレコードの溝を掘るときに深く蛇行し、再生時に針が滑ってトレースが難しくなると云う技術上の理由から。
 なので、低音部は抑えめにして録音し、再生するときに「フォノイコライザー」で増幅・調整してスピーカーに信号を送る羽目になった。
 当時のスピーカーは、1000Hz以上の中高音部、つまり情報が詰まっているところをキレイに再生できるよう作られた。
 なぜって、低音部にお金をかけても、元々情報量が少ないからよい音にはなり得ない。
 実際にスピーカーの駆動力に直結する裏面の磁石は、ウーファーよりスコーカーの方が強力なものが使用された。
 CD時代となり、そのような機器の欠点がなくなると、すべての周波数をフラットに録音・再生できるようになった。その時代のスピーカーは、低音部も手抜きがされないようになった。
 よく「レコードの方が音が柔らかく豊かだった、CDはなぜあんな硬い音がするんだ。」という声を耳にするが、あれは情報量の少ないぼやけた低音部に耳が慣れてしまったからだ。


 と、こんな解説でした。
 だから昔のスピーカーにこだわって中古品を買うよりは、近年の技術を詰め込んで開発された新しいスピーカーの方がよいでしょう、とアドバイスされました。

 御意!

 他にもスピーカー関係の蘊蓄を聴いてきました;

スピーカーに箱は要らない。
 スピーカーのコーンは電圧で前後に振動して音を出す仕組みだが、一番ストレスなく自由に動けるのは前後の空気圧が同じ時。
 しかし、箱に取り付けると内圧がどうしても高くなるので、前に動きやすいが後ろに戻りにくいという欠点を抱えてしまう。なので、箱をなくした、板にスピーカーユニットを取り付けるだけの方がよい音が出る。
 さらには、スピーカーユニットの裏面には当然ながら金具と磁石がついており、これも前後の空気圧に差を作ることになりコーンの振動にとっては邪魔になる。
 この欠点を解決したのが「シーメンス社の鉄仮面」という愛称で知られるスピーカーユニット。前面についている金具は保護のためではなく、前後の空気圧を均等にするための装備。

ユニットを複数並べると位相の関係で高音域が出なくなる
 複数(3つ以上)のウーファーを並べているトールボーイ型スピーカーを見かけるが、低音域は周波数が低く波長が長いので同調してパワーアップする一方で、高音域は周波数が高く波長が短いので同調しにくくお互いに打ち消し合ってしまう傾向がある。なので性能のよいツィーターが必要となる。


 このようなお話を、珈琲をすすりながら、音楽を聴きながら拝聴し、楽しい午後となりました。
 昔のオリジナルスピーカーのスカッと抜けのよい音もよかったなあ、買っちゃおうかなあ・・・。

Cidalia Moreira(シダリア・モレイラ)

2012年09月27日 | ワールド
 NHK-BS「旅のチカラ」で小野リサさんが登場しました。
 言わずと知れた、日系ブラジル人のボサノヴァ歌手。デビューしたときのことを覚えていますが、随分年月が経ちました。

 内容は、ボサノヴァ歌手のリサさんがポルトガルのファドにトライする、というもの。
 ブラジルは植民地時代の影響でポルトガル語が共通語であることは皆さんご存じのことと思います。
 ボサノヴァはラテン音楽とジャズがフュージョンした音楽で、軽やかなイメージがあります。
 一方、ファドは「サウダージ(郷愁)」を情感豊かに歌う’濃い’イメージ。
 同じ言語を使う民族が、各々育ててきた庶民の歌ですね。
 さて、リサさんはどうファドを歌いこなすのか・・・。

 番組の中で何人かのプロのファド歌手が登場しました。
 その中の一人である、CIDALIA MOREIRAさんは私のイメージするファドの王道を行く歌手。
 CDは手に入りにくいけど、YouTube で視聴することができました:

Meu primeiro Amor
Cidália Moreira
CIDÀLIA MOREIRA - Mosteiro de Alcobaça
CIDÁLIA MOREIRA - FADO "Só á noite"
CIDALIA MOREIRA - FADO "Primeiro amor"

 う~ん、聴いているとアマリア・ロドリゲスが聴きたくなってきます・・・

15-Barco Negro - Amália Rodrigues live in Cannes 1962
Amália Rodrigues, "Barco Negro"
Amália Rodrigues - Canção do mar
30-Amália Rodrigues-live in Brasil in the sisties-" Triste Sina "-Fado-World Music
Amália Rodrigues - Gaivota (1970)
22-Amália Rodrigues,"Nem as paredes confesso".
Amália - Foi Deus
218-Amália Rodrigues Live in Japan (1986) Concerto inteiro.

 さて、ポルトガルとブラジルの間には大西洋があります。
 そこの小さな島ガーボヴェルデ出身の歌手、セザリア・エヴォラさんも私のお気に入り。
 「モルナ」と呼ばれる、ラテンとファドをフュージョンした、軽やかなリズムに乗って郷愁(「サウタージ」ではなく「ソダーヂ」)を歌う絶妙なスタンスが心地よい。
※ 彼女は昨年末70歳でその生涯を閉じました。

Hommage Césaria Evora.
Cesaria Evora & Bonga - Sodade
Cesaria Évora - Cesaria
Cesaria Evora Live in Paris 2001 DVD Rip
Cesaria Evora Live at Zenith 1
Cesaria Evora Live at Zenith 2
Cesaria Evora Live at Zenith 3
Cesaria Evora Live at Zenith 4

 ・・・肝心のリサさんのファドは・・・ちょっと?でした。

MP3で聴く Earth, Wind & Fire

2012年09月25日 | ポピュラー
 このMP3-CDもネット通販で購入したロシア製です。
 1970年代から2000年代に至るまでのアルバムを含む、合計100曲超を数週間かけてカーステレオで聴き切りました。

 初期はサウンド中心の印象でフリージャズ系に聞こえたり、ホーンセクションが目立ったり。
 やはり大ヒットした「太陽神」(All 'N All)がポピュラー音楽的にバランスのとれた作品ですね。
 大ヒットした「宇宙のファンタジー」を歌うモーリスホワイトのファルセット・ヴォイスが耳に心地よく入ってきます。アポロ計画も盛り上がっていた頃で、宇宙への憧れをうまく楽曲に取り入れた名曲です。

 アルバムジャケットは長岡秀星氏が担当して話題になりました。私好みの古代エジプトをモチーフにしたイラストです。その後長岡氏はシンセサイザー奏者である喜太郎のアルバムジャケットも手がけ、私のお気に入りのアーティストでした。

 その後は電子音を導入したり現代化を図りますが、音楽のインパクトは今ひとつ。
 やはり彼らが一番輝いていたのは1970年代後半でしょうか。

レオポルド・ストコフスキー

2012年09月23日 | クラシック
 ストコフスキーの1950年代の録音を最近よく見かける廉価なボックス・セットで聴きました。
 リマスタリングしていると思われますが、まあ音質はそれなり。
 でもかえってその霧がかかったような鄙びた響きに懐かしさがこみ上げてきました。中学生の頃、叔母からもらった分厚いSP盤(78回転)を繰り返し聴いた記憶が甦ってきたのです。

 ストコフスキーはフィラデルフィア管弦楽団を育てたことで有名ですが、クラシック音楽をポピュラー化した功労者でもあります。
 ディズニー映画の「ファンタジア」の音楽も担当しました。
 器楽曲をオーケストラ用にアレンジし、やや過剰とも取れる演出で人々の心をつかみました。その指揮振りはカクカクしてロボットのようにも見えました。
 彼は長寿(1882 - 1977)で、確か100歳まで契約したというニュースが流れたことがありました。残念ながら、その後程なくしてなくなりましたが。

 一時は夢中になり、その過剰な演出に辟易して離れ、そして今回数十年振りにまた耳にすると、まあ悪くない印象です。なにしろわかりやすい。
 ゆったりと彼の音楽に浸りました。もう60年以上前の演奏なのに、すうっと体に入ってくるのが不思議です。

 昔はSPレコードの雑音の中から浮かび上がる音楽に夢を膨らませたものですが、現在は YouTube で動くストコフスキーを見ることができます。よい世の中になりました。

Bach: Toccata and Fugue in D minor - Stokowski conducts
Tchaikovsky "Romeo and Juliet" - Stokowski conducts
Leopold Stokowski Japan Philharmonic Orchestra 1965
Enesco "Romanian Rhapsody" - Stokowski conducts
Beethoven 7th Symphony (finale) -- Stokowski in Hungary

ギター購入・初体験記

2012年09月21日 | アコースティック
 高校生の息子が突然「誕生日のプレゼントはギターがいい」と宣いました。
 えっ、受験生なのになんてことを・・・と思いつつ、部活が終了して手持ちぶさたの彼を見ていると何か気晴らしになるものも必要かと考え、購入することに相成りました(親バカ)。

 しかし、私はギターを弾けませんし、当然買ったこともありません。
 ネットで色々調べてみました。
 まず、「アコギ」「購入」で Google検索すると、たくさんヒットする中で以下のHPが役に立ちました:

□ 「失敗しないアコギ購入講座
□ 「アコースティックギターを購入する
□ 「楽器を買ってみよう!For 初心者~アコギ編~
□ 「アコースティックギター博士

 というわけで、予備知識を詰め込んでいざ地元の楽器店へ。
 そこでは女性店員さんが相手をしてくれて色々教えてもらいました。初心者用として1~3万円台のギターを勧められました。色々なメーカーの中で、とくに「Headway」はコストパフォーマンスがよいので一押しとのこと。

★ 「Headway Guiter 工場訪問レポート

 「素人が聞いて1万円、5万円、10万円のギターの音の違いってわかりますか?」と質問すると、
 「う~ん、それほど変わりませんよ」とのこと。
 この店ではギターの音を直接聞かせてはもらえませんでした。

 数日後、隣町のショッピングモールに入っている全国チェーンの島村楽器も覗いてみました。
 そこでは「James」というオリジナルブランドのギターを勧められました。
 形は同じですが値段が違うものが何種類も並べてあり、安いものから高いものまで実際に店員さんがつま弾いて聞かせてくれました。初心者の私にも触らせてくれました(どう扱ってよいかわからず、汗)。ほかにもTakamineの長渕剛モデルとか、はてはTaylerの15万円のギターまで。

 すると、驚いたことに私にも歴然と音の違いがわかったのです。

 素人ながら音の印象を記してみます。
 安いギターは弦の直接音でメリハリをつけているけど、筐体の響きが死んでいて音の深みがありません。
 値段が高くなるほど、弦と筐体の響きのバランスが絶妙になってくるのが理解できました。
 筐体の素材と造りで響きが異なってくるとのこと。
 「値段が違っても音はそうは変わらない」との地元楽器店の店員さんの説明は、ちょっと・・・。
 それから、ギターの形の違いにより音が変わってくることもわかりました。 

★ 「ギターの種類、形、木材について

 ずん胴の「ドレッドノート型」は低音が豊かに響きますが、安いものではしまりがない感じがします。「フォークギター型」はシェイプした筐体は抱えやすいのですが、響きはドレッドノートに劣ります。「カッタウェイ型」はより筐体が絞られるので値段が高くないと響きません。
 
 というわけで、実際に息子を連れて島村楽器へGo。
 全くの初心者の彼にも、ギターを持たせてつま弾かせてくれました(James中心)。
 そして彼は「うん、これだ」と納得したギターを見つけました。

★ 「James JM750 VBS

 フォークギター型でJamesとしては上から2番目の位置づけ。
 弦もよく鳴るし、筐体の響きもまあまあでバランスのよいモデル。これだけの音が出れば、しばらく飽きることはないと思われました。
 初心者用としては少々値が張りますが、まあ3年も使い倒せば元は取れると見込んでの購入です。

 その後、教則DVDを見ながら毎晩ジャカジャカ弾いています。
 うん、結構いい音がします・・・まだ「音楽」には聞こえませんが。