私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

詩と音楽(あるいは歌詞と曲)

2010年06月28日 | ポピュラー
先日、NHK-BSの「100年インタビュー」という番組に谷川俊太郎さんが出演していました。
皆さんご存じの現代を代表する詩人です。

その中で、詩作について「借り物の言葉を並べて体裁を整えてもつまんない。自分の中のもうろうとしたモノから言葉が生まれてくるのを待っている」という表現が印象に残りました。

また、「言葉は音楽に勝てないと思う」と意外なことをおっしゃいました。
言葉は意味を限定するが、音楽は限定しない(受け手の自由度が高い)という意味らしい。
言葉のプロである詩人がこう思っているなんて・・・。

これとは別に、「言葉と音楽」について考えさせられた番組がありました。
佐野元春さんが司会を務めて今をときめくソングライターをインタビューする「佐野元春のザ・ソングライターズ」(NHK-BS)がそれです。
今まで登場したアーティストは、小田和正、さだまさし、松本隆、など錚々たるメンバー。
7月から始まる第二部のトップバッターはミスチルの桜井さん。

以前、ポピュラーソングは「まず歌詞ありき」で、訴えたい内容を歌詞にしてそれに曲を後付けするモノ、と思い込んでいた私。
しかし、もう15年以上前になるでしょうか、小田さんが属していたオフコースのアルバム制作を追った番組の中で、彼が曲作りを先に行い、後から歌詞を乗せるという手法を取っていることを知り驚きました。今回の小田さんのインタビューでも、言葉にならないところは「ラ~ラ~」(「言葉にできない」)とかになっているから、聞き手が埋めて欲しい、と解説(?)していました。

これは特殊な例だろうな、とまだ思っていたところに、ミスチルの桜井さんも「曲が先で歌詞は後で苦労しながらつける」と告白していました。
フ~ン、そうなんだ。
確かに、ミスチルの歌詞は曲に乗り切れていない印象があり、私の中では違和感がありましたが。

たぶん、サザン・オールスターズの桑田さんも曲が先だろうなあ。
一方「まず歌詞ありき」であろう、さだまさしや中島みゆきのようなソングライターもいますね。
結局、人それぞれと云うことになりそうです(苦笑)。

音楽は時間と空間を超越します。

西洋のクラシック音楽は時代を超えて普遍性を獲得していますし、ラジオの短波放送で遠くの国から聞こえてくる異国の音楽にも郷愁を覚える私です。アフリカ・アジアのジューズ・ハープ(口琴)やフィンランドのカンテレ、ルーマニアのパンパイプなどは強く印象に残っています。

また、シンセサイザー奏者である喜多郎の音楽は現在生きている私にも訴えますし、多分1000年前の日本人が聴いても心に沁みてくるのではないかと感じています。さらに彼の楽曲は、アメリカのグラミー賞候補にも何度もなってます。

一方、言葉は時間を超越できますが、空間は飛び越えられそうにない。

日本は「言霊の国」であり、1000年以上前に編纂された万葉集の歌は私が読んで聞いても頷ける秀歌が多い。
でも、外国人には「翻訳」という作業が必要となります。
そういえば、リービ英雄さんが訳した書籍が岩波新書「英語でよむ万葉集」として出版されていますね。

やはり、グローバルという意味では音楽の方がすぐれた作品であり手法なのかなあ・・・。
いやいや、トータルには「音楽」で、委細は「言霊」という別便にて、といったところでしょうか。