私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

MP3で聴く「スティーリー・ダン」

2012年03月30日 |  My Favorite Artist
 ロシア製のMP3ディスクを入手しました。スティーリー・ダンの曲が80曲以上入っています。
 毎日の通勤の約40分間、約2週間かけてカーステレオで最後まで聴き続けました。

 スティーリー・ダンの曲の特徴は、妥協のない硬質でストイックなサウンドです。
 彼らのビデオを見たことがありますが、マニアックなほど緻密な音楽を追求しています。
 その証拠に、音源のリマスターやSACDが出るたびに「本来目指した音が聴ける」と話題になります。

 私が持つイメージは・・・

  自然環境より都市環境。
  木造より鉄筋コンクリート。
  ピュアモルツよりアサヒ・スーパードライ。
  鉛筆で云えば、HBより2H。


 決して嫌いではないのですが、好きというわけでもありません。
 中性的で「色」や「ぬくもり」「うるおい」が無いのですよねえ。

 今回、そのサウンドにどっぷりつかっても、やはりイメージは変わりませんでした。
 合わないのは趣向なのか、年齢によるものなのか・・・。

「ネットワーク・オーディオ」事始め

2012年03月27日 | オーディオ
 オーディオの話がつづきます。

 私は「オーディオシステムは大きくて重いほど良い音がする」と洗脳された世代で、現在のシステムもアンプ約20kg、CDプレーヤー約15kg、スピーカー約40kgと重量級です。
 しかし寄る年波には勝てず、移動するとき大変なので(スピーカーを二階に運び上げた際に腰を痛めました)、何とか軽量化できないものかと思案しつつ、年月が過ぎ去っていきました。

 そして今回、システムの入れ替えを検討する中で「ネットワークオーディオ」なる言葉に出会いました。
 ま、一言で云えば「パソコンを組み込んだオーディオシステム」ですね。
 パソコンやiPodにCDをリッピングしたデータを手持ちのオーディオシステムで聴く方法(PCオーディオ)、ネットワーク・オーディオという機器を購入してネットワークを組んで配信される音楽データを楽しむ方法(ネットワークオーディオ)に分けられるようです。
 イメージとしては「CDというメディアが必要なくなるシステム」という側面がインパクトあるかな。

 なんの、驚くことはない、今から5年ほど前にすでに私は似たようなことを実践していたのでした。
 ただ「ネットワークオーディオ」という用語は知りませんでしたが・・・。

 待合室のBGMを考えるときに、手持ちの膨大なCDを生かそうと考えたのが最初でした。
 当時も「ミュージック・サーバー」なるものが存在していました。車のオーディオシステムでCDを読み込んでストックする、アレですね。

 検討の結果、購入したのはBOSEの「Life-Style 」(高かった~)。
 サーバーにCDを入れまくりました。
 しかし、いざBGMとして流してみると、う~ん、今ひとつ待合室に似つかわしくないかなあ。
 迫力がありすぎたり、センチメンタルだったり、ボーカル入りもちょっと。
 やはりBGMにはシンプルな曲、ピアノやギターのソロが気持ちが落ち着いてよさそうです。オルゴールの音色も気持ちが落ち着きますね。

 そしていろんなCDを物色して集めました。
 う~ん、ここでも壁にぶつかります。CDアルバムは起承転結があって、必ずと言っていいほど盛り上がるサビの部分が用意されています。
 一方、BGMでは盛り上がりは必要ありません。
 心地よい音楽がエンドレスで流れることが大切なのです。

 そこで目を付けたのが「インターネットラジオ」。
 Macのパソコン経由、iTunes を使用し聴くことのできる世界から発信される専門チャンネルが多数あります。
 ひとつ器械を追加購入し、パソコンとUSBを介して接続、その器械をBOSEのミュージックサーバーに繋げて設定OK。
 ソロピアノ、ソロギターのチャンネルを探し出すと・・・ありましたありました。
 シンプルで心地よいアコースティックサウンドがエンドレスで流れる・・・これぞ理想のBGM。

 私のお気に入りは以下の二つ:
□ Whisperings: Solo Piano Radio
□ CALMRADIO.COM - SOLO PIANO & GUITAR

 イメージはウィンダム・ヒルというレーベルで、特に後者はギタリスト兼ウィンダム・ヒル創始者のウィリアム・アッカーマンのギターが時々流れるので嬉し懐かし。
 結局、集めたCDを尻目に、インターネットラジオから流れる音楽をBGMとすることで落ち着いたのでした。

※ 現在は2011年3月11日の東日本大震災後は節電目的で使用を控えています。

 では、手持ちの重量級オーディオシステムで「PCオーディオ」をはじめるにはどうしたらよいか?
 実は最適のアイテムをアップル社が用意してくれていたのでした。
 
 その名は「AirMac Express」。
 無線を利用する機器で、パソコンと繋げなくてもいろいろ遊べるシロモノです。
 私が注目したのはオーディオ機能である「Airplay」。
 AirMac Express をコンセントに指し、それと手持ちのオーディオアンプをRCA接続で繋げるとスピーカーから音が出るらしいのです。
 リッピングしたCDも、インターネットラジオも聴き放題!
 上手く処理すれば、壁を埋め尽くしているCDを片付けられる可能性もあります。

 早速購入して試してみたくなりました。


「大人のための新オーディオ鑑賞術」 by たくき よしみつ

2012年03月26日 | オーディオ
副題:デジタルとアナログを両立させた新発想
著者:たくき よしみつ
講談社ブルーバックス、2009年発行

オーディオ熱がまたくすぶり始めたので、手元にあった本を読んでみました。
著者の名前に見覚えがあるなあ、と思ったら以前読んだ「デジカメに1000万画素は必要ない」の著者と一緒でした。

はて、この人の専門分野は如何に?
経歴を見ると「小説家・作曲家」とあります。
若かりし頃ビクターからレコードデビューしているし、スバル文学賞の受賞歴もある、一方著書には「狛犬かがみ」なんて私好みのマニア本もある・・・マルチな人なんですね。
現時点では「物書き」さん、といったところでしょうか。

本の内容は、オーディオ入門/啓蒙本とはちょっと異なり、現在のオーディオ界に何が起こっているのか、を解説しています。
とともに、iPodから始まったMP3文化に触れ、パソコンを組み込んだネットワークオーディオにも言及しています。

オーディオに関していろんな用語が飛び交う昨今、知識の整理に役立ちました。
これからの自分自身のオーディオシステムの構築はどうあるべきか、も考えさせられ、指針を示してくれたような気もします。

文学賞を取った方だけあって、文章がわかりやすく読みやすいのが特徴でもあります。
「講談社ブルーバックス」というと「科学啓蒙書」という堅いイメージが強くちょっと構えて読む印象がありますが、この本は違いました。

メモ
 自分自身の備忘録。

デジタル録音のしくみ
 PCM(PulseCode Modulation)という方法でアナログ信号である音声を数値データ(デジタルデータ)に変換しています。アナログ信号をごく短い間隔で抽出・標本化(サンプリング)し、一定のビット数の整数値として記録するわけです。
 音質は、1秒間に何回数値化するか(サンプリングレート)と、データを何ビットの数値で記録するか(量子化ビット)で決まります。
 一般の音楽CDが採用しているCD-DA(Compact Disc Digital Audio)という規格は、サンプリング周波数:44.1kHz、量子化ビット数:16bit・・・というPCM録音です。これはWindowsではWAV、MacOSではAIFFという無圧縮の音声ファイルに該当します。
 CDは20Hz以下と20kHz以上を切り捨てて記録していますので、CDの実用再生周波数は20Hz~20kHzになります。

圧縮ファイルの種類
 音楽CDの元データを圧縮し、ファイルサイズを極力小さくして配信・保存する方法が研究されてきました。
 最初にスタンダードになったのはMP3という圧縮規格です。
 その後、マイクロソフトがWMA形式を提唱し、Windowsに標準搭載しているマルチメディアソフトである Windows Media Player の標準形式として推進しました。
 ドルビーラボラトリーズが開発したAACという規格も勢力を広げました。AACはアップル社の音楽再生ソフトであるiTunesをはじめ、一世を風靡した携帯音楽プレーヤーiPod、さらにはゲームマシンのプレイステーション3やBlue-ray Disc、携帯電話端末などに採用されています。
 ソニーはMDにATRACという圧縮方法を採用していました。これは今でも、MDだけでなく一部のソニー系携帯プレーヤーや再生ソフト、HDD内蔵コンポステレオなどで生き残っています。
 その他、かつてはネットストリーミングの標準になりかけていたRealAudio、MP3を超えると言われるOggVorbisなどが、よく使われている圧縮形式です。

どの圧縮ファイル形式が音が良いか
 ビットレートが128kbps以上であれば、どの形式でも不満はそれほどでないと思います。
 圧縮ファイルの形式が問題になったのは、ブロードバンドや大容量記憶装置が出てくる前のことです。64kbps未満のビットレートだと、圧縮形式による音質の差はとても大きく、WMAはMP3よりはるかにまともな音になりました。
 しかし、高速ブロードバンド、大容量メディアによって高ビットレートが使えるようになった今は、圧縮形式の性能について深く悩むことはないと思います。
 
圧縮すると音質が落ちるか
 CDのビットレートは1411.2kbpsですから、bitレート128kbpsの圧縮ファイルと比べると11倍の違いがあります。11分の1以下までに圧縮してまともな音になるのかと心配してしまいますが、実際に聴き比べれば「あんまり変わらないねえ」という人がほとんどでしょう。
 音声ファイルの圧縮は、情報を均一に間引くわけではなく、人間が判別できないであろうと思われる情報のみを集中的に間引いています。
 また、11分の1以下に圧縮というのは、圧縮後のファイルの容量であって、再生するときは元の音に近い形に戻して(デコードして)聞かせますので、情報量が11分の1になった音を聴いているわけではありません。
 128kbpsの圧縮ファイルと無圧縮ファイルの差は、高級なヘッドフォンや再生装置で聞けばある程度わかります。
 特に残響音や音の艶にさが出ます。シンバルの余韻が粗くなったり、エコー成分が汚く聞こえたりします。クラシック音楽のように、余韻や「間」を重視した音楽では、このさはかなり気になるかもしれません。
 でも、性能の悪いオーディオ装置で流して、BGM変わりにぼーっと聞いている分には気づかない程度の差です。
 これが倍の256kbpsのビットレートになると、高級な再生装置を使っても、無圧縮の音との音質の差はほとんどわからなくなってきます

WMA陣営とAAC陣営の仁義なき戦い
 圧縮ファイル形式は、企業によるユーザーの「囲い込み」に利用されているのが現状です。
 わかりやすい例で言うと、WMA vs AAC。
 マイクロソフト陣営はWMAを、アップル陣営はAACを推進しています。その結果、Media Player ではAACが、iTunes ではWMAが再生できないという、極めて不便なことになっています。
 日本国内にはWMA形式で音楽ファイルを配信するサイトがいくつもあります。このWMAファイルのほとんどはDRM(Digital Rights Management)と呼ばれるコピー制御機能が付いており、基本的には Media Player でしか再生できないし、他形式に変換もできないという、とんでもないことになっています。
 一方、iTunes が連携している iTunes Store ではAAC形式のファイルを販売しています。AACファイルにもFairPlay と呼ばれるDRM機能があり、FairPlay付きのAACファイルはiTunesやiPod以外では再生できません。
 これに対して、ネットショップ大手のアマゾンコムは「Amazon MP3」という名称で、256kbpsのMP3形式で音楽ファイルを販売しています。MP3は一切のコピー制御がかからないため、再生ソフトや再生機器を選びません。
 現状では、圧縮ファイルで保存するなら、一切のコピー制御機能がつかないMP3形式が良いでしょう。

「非可逆圧縮」と「可逆圧縮(ロスレス圧縮)」
 圧縮ファイルの方式には2通りあります。
 画像形式のJPEGのように、保存するたびに圧縮が繰り返されてデータが劣化するタイプが「非可逆圧縮」。
 一方、画像ファイルのPNGや書庫ファイルのZIPのように、保存するときは圧縮して小さくしますが、使うときは下の情報に欠損なく戻せるものがあり、これが「ロスレス圧縮」です。
 音声ファイル用のロスレス圧縮形式としてアップル社のApple Lossless、マイクロソフトのWMA Lossless、ソニーのAALなどがあります。これらの形式がメーカー主導のものであるのに対して、FLAC、TAK、APEなどは個人技術者によるプロジェクト主導で作られた形式で、無料で開放されています。
 現時点では、最も汎用性が高いと思われるロスレス圧縮形式はFLAC(Free Lossless Audio Codec)です。圧縮率は、生のPCMデータに比べて20~70%、平均すればざっと半分くらい。FLACからMP3など、よりファイルサイズの小さな非可逆圧縮ファイルへの変換も行えますので、元データをFLACで揃えていくのは非常に賢い方法です。
 ただし、iTunesやiPodでは再生できませんので、iTunesを使うのであれば、最初からFLACを諦めたほうが潔いでしょう。
 将来的に考えれば、今iTunesをメインに使っている方が無劣化状態でファイルを保存したいと思うなら、サイズが大きくなるのは我慢して、最初から無圧縮のWAVで保存することをおすすめします。

コピーコントロールCD(CCCD)について
 パソコンなどでオリジナルディスクからのデータ取り込み(リッピング)をできなくさせたCDを指します。
 CCCDは「エラー訂正機能」を逆利用し、CDに埋め込まれているエラー訂正符号を意図的に壊したり、逆にエラー信号を挿入することによってCD-ROMドライブなどで本来の正常な読み取りをできなくさせたものです。
 しかし、音楽再生用プレーヤーでも、エラー訂正が正常にできないために再生音が劣化したり、プレーヤーが誤動作を起こしたりするトラブルが続出しました。2002年にはアップル社を皮切りに、CDプレーヤーを製造しているすべてのメーカーやコンピュータの製造・販売外車が、次々に「CCCDの再生は一切保証しないし、再生を試みた結果、機器が壊れても一切責任をもたない」旨の告知を出しました。
 CCCDはCD規格をわざと壊して作っているわけですから「正常なCD」ではありませんし、CCCDを正しく再生できる専用のプレーヤーは製造されていません。CCCD絡みの訴訟も発生し、現在はCCCDはほぼ市場から姿を消しています。

レコードはCDより音質が良い?
 レコードは原音よりも低域を落とし、高域を持ち上げて録音されているので、再生時にはその逆に高域を落とし、低域を膨らませるイコライザー処理をしています。PHONO入力をもったアンプにはそのための専用イコライザーがついていますが、この部分の品質も問われます。
 製品としてのレコードがCDよりも音が良いと主張するのはそうとう無理がありますが、レコードのもとになったアナログマスターテープの音質がCDよりいい音であることは間違いありません。
 かつて音楽スタジオで使われていたオープンリールテープ録音器では、20kHz以上の超高音もある程度記録できました。また、デジタル録音のように、高域と低域の記録限界がスパっと決められていないので、高域も低域もだらだらと低い山状に伸びていました。おそらく、人間が発明し、普通に使われていた録音器としては、このへんの機械が最も「いい音」を記録できていたことでしょう。だからこそアナログの「マスターテープ」には価値があったのです。

旧メディア(レコード、カセット、CD)をデジタルでバックアップ
 アナログレコードやカセットテープなどにしか残っていない貴重な音源は、早いうちにデジタルデータ化しておくと安心です。
 録音形式は、下の音源がどんなにひどいものであっても、無劣化のWAV形式ですることをお薦めします。そのほうがあとから編集する際にも対応するソフトが多いですし、音質の点でも有利だからです。
 そして、必ず外付けのHDDに保存しましょう。パソコンの乗り換えなどの際に有利です。

オーディオの進化と誤解
 オーディオの入口はマイクであり、出口はスピーカーですが、この入口と出口の製品は、今も昔も完全なアナログ製品であり、「デジタル対応」などということはありえません。
 オーディオにおいてデジタル化されたのは、音を録音して記録・伝達する部分だけです。

「デジタルアンプ」とは?
 「デジタルアンプ」とはデジタル信号の入出力端子を備えるものを指します。CDやMDプレーヤーからデジタル信号のまま入力できるアンプのことをデジタルアンプと呼んでいる、と解釈してもよいでしょう。正確には「デジタル対応アンプ」ですね。
 この種のアンプにはD/Aコンバータ(以下DAC)というものが内蔵されています。DACとはその名のとおり、デジタル信号をアナログの音声信号に変換(コンバート)する部分のことです。
 CDプレーヤーは通常、プレーヤー内部にDACを持っていて、アナログ信号を出力できますが、多くのCDプレーヤーにはデジタル出力端子もついていて、プレーヤー内蔵のDACを通さずに、CDに記録されてデジタル信号をデジタルのまま出力することができます。
 このデジタル信号をデジタル対応アンプのデジタル入力につなげば、デジタル→アナログの変換は、CDプレーヤー側ではなく、アンプ側のDACで行うことになります。
 では、CDプレーヤーからの出力はデジタルとアナログのどちらがよいのでしょうか?
 これはDACの性能に左右されます。
 CDプレーヤー内蔵のDACのほうがデジタルアンプ搭載のDACより優秀であればアナログのほうがよい音がすることになり、逆もまた真なり。

オーディオシステムにおけるアンプの重要性
 オーディオシステムで音を一番大きく変化させるものはスピーカーですが、その次がアンプでしょう。そしてアンプに関しては、部品の質が音質を決定づけますので、価格と音質は概ね比例しています。
 さて、同じ価格のデジタルアンプとアナログアンプはどちらの音が良いでしょうか。
 純粋に部品コストだけを考えれば、DACを持っていない分、アナログアンプの方がアンプ本来の部分にコストをかけられるはずであり、デジタルアンプはDAC込みの値段になるのでアンプ本来へのコストがその分減ります。
 昔は「アンプは重いほどいい」と言われたものですが、これは迷信とばかりは言えません。
 アンプの重さは、電源トランスと筐体の金属部分でかなり決まるものですが、大きくて重い電源トランスは安定した電流を作り出すのに有利なのです。

音楽のデータ管理はデジタルで行い、再生は贅沢なアナログで楽しむ
 ・・・これが著者の考える理想的オーディオライフです。
 CDからリッピングしたデータは、MP3などの劣化圧縮ではなく、無圧縮のWAV形式、あるいは無劣化圧縮のFLAC形式で保存・管理します。保存メディアは2.5インチ外付けHDDを2台。1題はバックアップで同じ内容にしておきます。
 アンプはいろいろな機器をつなぐ必要がなくなったので、プリメインアンプは必要なく、音を増幅するだけの単純なパワーアンプで十分です。
 パソコンとオーディオは無線システムで飛ばします。
 パソコンからはデジタル信号のまま無線で送信し、それを受信側でアナログ変換し、パワーアンプに渡します。これならパワーアンプの直前まではデジタル信号のままですから音質劣化はありませんし、ケーブル決戦の煩わしさからも開放されます。
 このような無線システムとして以下の3つが代表的です;
Blutooth
AirMac Express
REX-Link2
 ①は現時点の速度(バージョン1.2:下り723kbps/上り57.6kbps)ではCDの音声データ(1411.2kbps相当)を圧縮して送信するので受信後のデータは間引かれた状態になり劣化してしまいます。
 ②(54Mbps)と③(4Mbps)では伝送速度が十分なので無劣化圧縮のまま送受信できます。ただし、②では再生ソフトがiTunesに限定されます。
 すでにハイエンドオーディオマニアの間でも、AirMac Expressによるオーディオ環境構築は最も理想的なシステムとして認識されています。
 著者のイチオシはREX-Link2です。
 無線LAN環境が無くでも、USBポートにUSBメモリにそっくりな送信器を差し込むだけですぐに使えるのが最大の強みで、無圧縮ファイルの伝送が可能です。REX-Link2は、Windows XP以上であれば、USBポートに送信器を差し込むだけで自動認識されますので、CD-ROMからドライバをインストールするといった作業も必要ありません。快適に使うにはある程度設定が必要ですが、②のように再生ソフトを限定するということもありません。

オーディオシステムのお国柄
 オーディオ製品は自動車と似ているところがあります。国産車、欧州車、アメ車の味付けは、オーディオ製品にも共通するものがあるように感じるんです。
 日本製品は真面目に作ればとてもいいものができあがるのですが、音楽を楽しく再生する哲学というか、遊び心がかけているものが多い気がします。個性のない優等生ばかりで面白みがないのです。
 そこへ行くと、ヨーロッパの製品は実に個性豊かで、楽しめます。性能は数値じゃないよ、感性の問題だよ、と言っている気がします。
 アメリカ製品にはパワーこそ正義だというポリシーを感じます。ヨーロッパ製品の曖昧で自由な哲学に比べると単純する義気もしますが、パワーアンプや大型スピーカーでは、この単純さが強烈な魅力にもなり得るのですね。


 ・・・その昔、お茶の水のオーディオユニオンに数回通って視聴をさせてもらったことがあります。アンプとCDプレーヤーは結局真面目な音づくりが特徴の日本ブランドであるアキュフェーズに落ち着いたのですが、その際に聴いたワディアのCDプレーヤー、マッキントッシュのアンプ、B&Wのノーチラスというスピーカーの組み合わせで聴いた音があまりにも豊潤であることに驚きました。日本の音が草食系とすれば、アメリカ~ヨーロッパは肉食系と感じ入ったことを記憶しています。


スピーカーのセッティングで音が激変

2012年03月25日 | オーディオ
 前回記したとおり、古くなったオーディオシステムの買い替えを検討中です。
 本来は15年選手のアンプ(アキュフェーズE-406)とCDプレーヤー(同DPー65)が対象でしたが、オーディオショップで今をときめくスピーカー群を試聴したのが運のつき、「やはりスピーカーの交換が一番インパクトあるなあ」と考えが変わってしまいました。

 そして自宅に戻ってみると、我がスピーカーのJBL S3800はどう見てもまだ現役で、買い換えるには勇気が要ります。
 う~ん、困った。

 S3800はさすがにJBLだけあり、ジャズのエネルギー感を再生するには満足しています。
 一方不満点は、低音が膨らみすぎることと、音の定位が今ひとつなのでソロ楽器や室内楽の音像がぼやけることです。
 しかしネットで「スピーカーのセッティング」を調べてみると、私の設置方法はまったくデタラメであったことにいまさら気づきました。

□ 逸品館「スピーカーのセッティング

 その昔、S3800を購入した際に参考にしたブログも再読してみました。

□ ダイナミックオーディオ:つるちゃんのブログ「S3800を聴いてみるね

 すると、いくつかの問題点が判明しました;

1.6畳洋間にはS3800は大きすぎるかもしれない。
2.バスレフ式なので壁から離して設置する必要があるが、ギリギリ壁に近い状態に置いていた。
3.バスレフポートにタオルを丸めて低音の暴れを抑えていたが、もっと追い込めそう。


 などなど。
 部屋を変えるわけにはいかないので、できることをやってみました。
 バスレフポートにタオルをより詰めるだけ詰めて、壁から離して設置する(ほんの10cmですが)と・・・音が激変しました!

 ブーミーな低音が影を潜めて、耳に優しいバランスのとれた響きになったのです。
 思わずニンマリ。
 気持ちいいのでどんどん音量を上げましたが、耳障りな音にならずに快楽度がアップ。
 ここで初めて、アキュフェーズのシステムの実力が発揮されたような気がしました。
 今まで能力を眠らせていて申し訳ない。

 昔からの愛聴盤を引っ張り出して聴きまくりました。
 う~ん、いいですねえ。
 いい音はボリュームを上げて何時までも聴いていたくなります。

 ただ、音像はやはり視聴したTAD E-1 と比べると甘いことは否めません。
 まあ、スピーカーの値段がひと桁違うので比較する方がかわいそうですけど。

 ここでトラブル発生。
 大音量で小一時間聴いていたら・・・なにやら焦げ臭いニオイが・・・アンプかな?
 くんくん鼻を鳴らして嗅ぎまくったら、どうやらコンセント付近に発生源がありそうです。
 これも昔、御茶ノ水のオーディオユニオンでアキュフェーズを購入する際に、勧められて一緒に購入した電源タップ。
 狭い場所で無理に曲げられていたため、断線したのかもしれません。
 ゴメンナサイ。
 

スピーカー(TAD E-1、他)視聴記

2012年03月16日 | オーディオ
 使用しているオーディオシステムが大分古くなってきたので、そろそろ買い換えの時期かな、と最近考え始めました。
 対象はアンプとCDプレーヤー。
 現在はアキュフェーズの「E-406」と「DP-65」を使用中で、双方ゆうに15年選手。
 スピーカーは「JBL S3800」というトールボーイ型です。
 ジャズの再生では満足しているのですが、クラシックのソロ・ヴァイオリンやオーケストラ/室内楽再生は今ひとつかなあ、というのが不満と云えば不満。

 ネットで検索すると、数機種を経て現行では「E460」と「DP-510」あたりが後継機種の様子。
 視聴できるところが近隣にないかと探したところ、なんと地元の電気屋さんでアキュフェーズを扱っていることを発見しました。
 その昔、上京してお茶の水のオーディオユニオンに通ったことが懐かしい・・・。

 早速昨日、自分のお気に入りのCDを携えて電気屋さんへ。
 う~ん、高級オーディオ機器が並んでいて東京のオーディオショップと変わらない雰囲気に圧倒されると共に、いやが上にも期待感がつのりました。

 上記のことを相談すると、「でも音が明らかに変わるのはやっぱりスピーカーですよ」と誘導され、結局最新スピーカーの試聴会に早変わり。
 ちなみに視聴システムのアンプはアキュフェーズのセパレート型の高級機。CDプレーヤーは、なんと目的の「DP-510」。

 そして視聴したスピーカーは、下記4製品;
① 「JBL S4800
② 「ソナス・ファベール CREMONA M
③ 「TAD E-1
④ 「B&W 804 Diamond


 最新スピーカーの再現力に驚くと共に、スピーカーの違いによりこんなにも音楽が異なって聞こえるものかと改めて実感した数時間でした。

 まず、スピーカーの性質として「音場型」と「音像型」に分かれることに気づきました。
 クラッシック音楽の再生を例に取れば、音場型は雰囲気や音の広がり重視で、オーケストラ作品の再生に適しています。
 一方の音像型は、解像度・分解度重視で、ソロ作品に適し、室内楽では演奏者の位置までわかります。

 私が用意したCDは、
□ 「アンドリュー・マンゼ/テレマン・無伴奏バイオリンのための12のファンタジー」
 バロック・ヴァイオリンの少しかすれた響きが人の息遣いのように聞こえるのが魅力。
□ 「ステイシー・ケント/ドリームズヴィル」
 キュート&エレガント! 女性ジャズボーカルの魅力をギュッと凝縮した愛聴盤です。
□ 「ウィリアム・アッカーマン/PASSAGE」
 懐かしいアコースティック・レーベルのウィンダム・ヒル社長によるソロ・ギター。シンプル&ノスタルジックな雰囲気で、彼のギターを聞いていると子供の頃の記憶が呼び覚まされます。
□ 「ジョン・コルトレーン/Ballads」
 云わずと知れた、モダンジャズの名盤中の名盤。
□ 「菊地雅章/LOVE SONG」
 愛称「プーさん」のソロ・ピアノ。分野はジャズですが、印象派に通じる深みがあります。
□ 「長屋和哉/千の熊野」
 鐘を叩いてニコニコ幸せそうな長屋さんの初期の作品。日本より世界で評価されている「和の響き」です。 

 等々。
 実際に視聴してみると・・・自分の求める音がどういうものであるか、改めて気づかせてくれたのでした。
 私が求めるスピーカーは、音場型ではなく音像型だったのです。

①のJBL S4800は自分のシステムでも下位機種のS3800を使用しているので、違和感ないサウンドでした。ジャズのエネルギーが伝わってきて好ましい。しかし個々の音に魅力を感じませんでした。クラシックのソロ楽器は焦点がぼやけて魅力的というには程遠い印象。音の密度・定位が悪く、やはりマンゼのバロック・ヴァイオリンのかそけき息づかいは残念ながら聞こえませんでした。お店で用意してくれた室内楽も各パートが独立せずに塊として聞こえしまう始末。

②のソナス・ファベール クレモナM はクラシックに定評のあるイタリアのブランド。音場型のスピーカーで、音の広がりを優雅に再生してくれました。弦楽器のつややかさはとてもよいのですが、原音再生/分解能は今ひとつで室内楽が塊で聞こえてしまいます。まあ、目指す方向が違うので仕方ありません。

③の TAD E-1 はパイオニア→ エクスクルーシブ(昔憧れたブランド)の流れをくんだ、国産のハイエンド・オーディオ・メーカーです。
 目からウロコが落ちました。今まで聴いたことがないような音が出てきたのです。
 特にウィリアム・アッカーマンのギターがこれほど魅力的に聞こえた経験は皆無。音の密度が桁違いで定位も素晴らしく、手の位置・動きさえ見えてきそう。自分のシステムで聴くと高音がうるさく感じるのですが、あくまでもなめらかに再生してくれます。
 室内楽も各パートの音が分離し、各音のキャラが見事に立っています。決して塊になって押し寄せてきません。ああ、室内楽ってこんなに聴いていて楽しいんだ・・・。
 値段も視聴した中で最高額の200万円! ひと桁違うんじゃ・・・と聞いたらあっさり否定され、ちょっと興奮が冷めてしまいました(笑)。
 欠点というものではないのでしょうが、原音に忠実すぎて、中低音がよく云えばタイトに、悪く云えば痩せて聞こえる傾向がありました。ジャズ愛好家には今ひとつ受けないかも知れません。ピアノはツブツブした音でよいのですが、サックスの音の広がりが減ってしまうのです。
 CDに記録されている情報を裸にしてしまう凄さ(怖さ?)がある驚異のスピーカーです。

④の B&W 804D は今、ベストセラーだそうです。印象は音像型+音場型。一つ一つの音を忠実に再生する一方で、中低音も痩せていない、つまりソロ楽器はもちろん、ジャズのエネルギーもしっかり再生できる逸品です。
 う~ん、いい感じ。
 ただ一つ気になったのは、高音が金属音に近くなる傾向があること(あくまでもTADとの比較ですが)。よく云えば「輝かしい音」と表現できるかも知れません。私にとっては「長時間聴くと疲れそう」な音でした。
 このスピーカーに100万円はとても出せないなあ・・・ただ、アキュフェーズのシステムはB&WとJBLのスピーカーを基準にチューニングされているという噂を聞いたことがあり、捨てがたいのですが。

 以上、簡単な感想を記してみました。

 ソロ楽器を原音に忠実に再生することと、ジャズのエネルギーを伝えることはスピーカーの設計上、真逆の方向であることを理解した午後でした。
 視聴した中で云うと「TAD E-1」の高音と「B&W 804D」の中低音を合わせたスピーカーが理想ですね。両方を満たすスピーカーはなかなか存在せず、数百万円クラスでしか実現しないようです(涙)。
 TADの上位機種に「R-1」というのがあるらしい(価格は高級セダン1台分)。機会があったら是非拝聴したいものです。