私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

オーディオケーブルにおける「エージング」とは?

2013年07月30日 | オーディオ
 オーディオ用語で「エージング」というモノがあります。
 日本語にすると「年を取ること」ですが、ここではオーディオ機器が使い込むことによってよい音を出すようになることを意味しています。
 
 昔から「エージングとは何ぞや?」と疑問に思っていました。
 機械的には何が起きているんだろう。

 あるとき、オーディオ評論家の菅野沖彦氏の文章を目にしました;
「スピーカーのエージングとはコーンの緩やかな劣化である。使い込むうちにほどよい硬さになるが、その状態がずっと続くわけではなくいずれ柔らかすぎて音に締まりがなくなると予想される」
 と言うような意味のことが書いてあり、大いに頷いた私。

 では、オーディオケーブルのエージングとは?
 金属の電線の集まりですから、それが1ヶ月単位で柔らかくなるとは考えにくい・・・。

 先日、オーディオで使用しているUSBケーブルを FURUTECH GT2 から AUDIOQUEST Diamond へグレードアップしました。DBS(ダイ・エレクトリック・バイアス・システム)という、ケーブル外郭に電気を通し外部ノイズを遮断する機構が売り。高価な品につきなかなか思い切れなかったのですが、ショップの以下のアドバイスに期待して購入を決めました;

「USBケーブルを「AUDIOQUEST USB/Diamond」へ変更することで音に開放感と美しく伸びやかな表情を与えます。楽音の分離感・音色の艶等、表情が活き活きがすることでより艶めかしい表現力をお楽しみ下さいませ。」

 届いてセッティングして聴いてみると、確かに音の解像度が増したと感じる一方で、エッジが立つというかメリハリが付きすぎて耳に刺さる印象もあり、長時間聴く気になれません。購入元に問い合わせると「最初はきつい音ですが200時間くらいエージングすれば豊かな音になります」と説明され、よい機会と捉えて「ケーブルのエージングって、何が起きているんですか?」と以前からの疑問をぶつけてみました。

 回答は以下の通り;

「率直に申し上げますと、何が起こっているかまでは解りかねます。ただ、実際に通電し、エージングを行ったケーブルと行なっていないケーブルとでは表現力に大きな違いがございます。エージングを行なっていないケーブルは表情が固く、表現もぎこちない状態です。エージングを行うことで表情がほぐれ、活き活きとした表現力を発揮します。
 スピーカーユニットのように目に見えるものではないですが、ケーブルもエージングによってその表現力は大きく向上します。」

 ウ~ン、結局「わからない」ということですね。
 知り合いのオーディオ通にも同じ質問をしてみたところ、こんなコメントが返ってきました;

「エージングとは劣化なのですが線材や部品は劣化した事によって音も馴染んできます。半導体・トランジスタ等も劣化しますが劣化する事によって聴感的に好ましい結果がなるケースが多いです。革のソファも新品当初は硬いですが使ってるうちに柔らかくなり、座り心地が良くなるのと同じような感じです。」

 わ、わかりやすい!

 ホワイトハウスコックスのコードバン製の財布が、使い込むほどに光沢を帯びて飴色へ変化していくイメージに近いのかもしれません。

坂本龍一教授による講義「ドラム&ベース」(NHK-スコラ)

2013年07月29日 | シンセサイザー
 NHKで坂本龍一氏が主宰していた音楽啓蒙番組「スコラ」。
 そこで放映されたピーター・バラカン氏、元YMOメンバーの細野晴臣氏、高橋幸広氏を交えた対談集「ドラム&ベース」を YouTube で見つけました。
 まことに興味深い内容です:

1.ドラム、ベースの役割とその発展
2.ドラムの魅力と心地よいリズム
3.ベースが作るリズムと旋律
4.グルーブのないリズムの追求
5.機械と人間のリズムの融合

 現在のジャズ、ロックバンドのスタンダードな構成楽器となっているリズムセクションの成り立ちと歴史を知るには格好の教材ですね。

「シャーデー ブリング・ミー・ホーム・ライブ 2011」

2013年07月28日 | オーディオ
 1980年代前半にシャーデーがデビューした頃のことをよく覚えています。
 私は大学生で、アメリカンチャートを追う日々を送っていました。小林克也さんの「ベストヒットUSA」はお気に入りかつ貴重な情報源であり毎回欠かさず見ていました。途切れたこともありますが現在も存在する長寿番組です。


 さてシャーデーですが、ミステリアス&ジャジーなヴォーカルで「大人のモノクロ世界」を見事に表現した楽曲に魅せられました。大人の世界に憧れる年だったので(笑)。
 レンタルレコード店でレコードを借りてカセットテープにダビングし、ウォークマン(カセットです)で飽きるほど聞き込みました。「Diamond Life」「Promise」が好きだったなあ。
 聴いていると引き込まれて別世界にトリップできるのです。

 彼女は寡作なので近年活動しているのかどうか不明でしたが、久しぶりにアルバムを発表して健在ぶりを世に示してくれました。
 そんなシャーデーの2011年のライブがWOWWOWで放映されました。
 1959年生まれですから、当時52歳。
 若かりし頃は華奢な体と厚い唇が印象的でアジアン・ビューティならぬアフリカン・ビューティを体現していましたが、熟女となった今はグラマラスボディ。しかし体の線が崩れていないのが不思議です・・・プロとして体型を維持すべく努力しているのでしょう。
 曲の雰囲気を広げる演出が好ましく、シャーデーの世界を見事に表現していました。
 ブラボー!


「洋楽年鑑 シャーデー ブリング・ミー・ホーム・ライブ 2011」2013年5月11日[WOWOWライブ]

 10年ぶりのアルバム『ソルジャー・オブ・ラヴ』を発表したシャーデーのワールド・ツアー。80万人以上を動員し、その創造性の高いステージに観客を熱狂させたステージの模様をWOWOWで放送。
 ストイックに洗練されたアーバン・サウンドと深くブルーな響きあふれる歌で圧倒的な支持を得るシャーデーの最新ライブ。シャーデーは、大ヒット曲「スムース・オペレーター」を含む1984年のデビュー・アルバム『ダイアモンド・ライフ』で見事グラミー賞の最優秀新人賞に輝き、以降も90年代、2000年代、2010年代のすべてのディケイドにおいてグラミー・ウィナーとなった数少ない実力派アーティスト。30年近いキャリアでオリジナル・アルバムは6枚と寡作ながら、すべての作品が全米チャートのトップ10にランク・インという記録も持っている。
 今回お届けするライブは、10年ぶりとなった最新アルバム『ソルジャー・オブ・ラヴ』のリリース後、11年4月にスタートしたワールド・ツアーからのもの。同ツアーでは自身の動員記録を更新し、健在ぶりを印象づけたシャーデー。余計な演出を削ぎ落とし演劇的な演出が話題を集めた。その深く哀感あふれるボーカルをたっぷり味わいたい。


<YouTube>
Sade - The Best Of Sade(動画なし)
シャーデー '84 スムース・オペレーター Sade Smooth Operator
Sade Live - The Sweetest Taboo
シャーデー '84 ユア・ラヴ・イズ・キング Sade Your Love Is King
Love is Stronger than Pride/ Sade Adu(訳詩付)

Accuphase E-460 復活

2013年07月23日 | オーディオ
 修理に出していた E-460 が戻ってきました。
 Accuphase さん、お世話になりました。

 さて、E-460 が入院中にもかすかに焦げたような異臭が部屋に残ることが気になりました。クンクン鼻を鳴らしながら探すと、オーディオ独立電源の壁コンセントあたりが怪しい。
 早速電気屋さんに来ていただき、その具合を確認してもらいました。
 というのも、春に独立電源の工事をしてもらった際、原因不明の停電が何回か観察された経緯があったからです。再現性がないので様子を見ることになりましたが、私の頭の片隅に引っかかっていました。
 で、実際に見てもらうと「問題なし」。
 念のため壁コンセント器具を交換してくれましたが、取り出したモノに焼け焦げた跡などの異常は皆無。

 う~ん、気のせいか・・・。

 その後、戻ってきた E-460 をセッティングして聴いてみると、元の音が復活しました。
 ただ、壁コンセントは交換前はホスピタルグレード(パナソニック電工 WN 1318)だったものが、汎用のモノにレベルダウンしたためか、以前感じたような「目の覚めるようなサウンド」感が乏しくなったような気がします。

 この状態でしばらく聞き込み、パソコンへのCD取り込み作業を再開しました。
 
 長時間聴いていると、また別の聴感・印象が生まれてきました。
 E-460+2S-305 では確かに解像度・音場の広がり感は私的には申し分なし。
 しかしケーブルに気を遣っても(USBケーブルも新調しました)やはり硬い高音部は完全には解消できません。
 1950年以前の昔の録音では耳に刺さる感じで聴くに堪えないし、最近の優秀録音で高音を売りにしているソースでは鼓膜を攻撃されているような気さえしてきます。
 一方の低音の量感は過剰傾向で、総合的には「音のキャラが立ちすぎている」という表現が合いそうです。
 
 何とかならないものか・・・。

 そこでふと思い出したのが、真空管アンプ。
 半分冬眠していたCAVの真空管アンプ(T-88)に繋いで聴いてみると、同じスピーカーかと疑うほど音が柔らかくなりました。低音の量感もバランスよし。
 ただし、解像度が少し犠牲になっているかなあ。
 おとなしめの柔らかさより、艶っぽい柔らかさが欲しいんだけど・・・なかなか思い通りにはいかないモノですね。

 というわけで、現在のラインアップは以下の通り:
・MacPro ー(AUDIOQUEST USB/Diamond)ー Esoteric SA-50 ー ー CAV T-88 ー(Acrolink 7N-S1400III)ー 2S-305


<追記>
 USBケーブルを新調したので、もう一つあるスピーカー「ELECTA AMATOR」に繋いで聴いてみました。
 「!」
 ・・・なんだかいい音がしています。
 音の切れと言うより、音楽の充実感が増した感じ。
 2S-305のように高音が耳に刺さる印象は皆無、低音域の質感・量感も必要にして十分です。
 いつまでも聴いていたい感じ・・・この感覚は貴重です。
 2S-305を何とかうまくならせないものか、と手探りして周辺機器を揃えた結果、皮肉にも ELECTA AMATOR の優秀さを再認識させられる羽目になりました(苦笑)。


ローランド・カーク

2013年07月15日 | ジャズ
 WOWWOWで放映されたフランスでのライブ「ローランド・カーク ライブ・イン・フランス 1972 」を視聴しました。

 


 私にとっては「溢れ出る涙」のジャケットが印象的で、サックスを3本同時に咥えて吹くという曲芸もどきの芸風と決めつけて食わず嫌いになったまま現在に至ってきました。



 ライブ映像では、3本のサックスどころか、他にも様々な管楽器を演奏し、時には小さな笛を鼻の穴に入れてまで吹いているのを見てビックリ。
 彼は生まれつきの弱視で2歳の時に失明に至っています。
 たくさんの音を奏でることに集中して、見てくれは気にしていなかったのでしょう。

 ただ、「一人で複数の音を奏でる」ことは「一つの音を追求する」と相反するベクトル。
 私はマイルス・デイビスのように自分の音を追求して沈黙さえも音楽にしてしまうプレイの方が好きだなあ。

 カークは「循環呼吸」(口から息を吹くのと同時に鼻から息を吸って息継ぎ無しで長時間管楽器を演奏するテクニック)の実践者でもあり、確かに頬を膨らましたり凹ませたりしながら音が途切れることなく演奏していました。