去年、足を骨折し、長い時間自転車に乗れなかった時のことを思い出します。骨折は初めてではありませんが、回復までにこれほど時間がかかったのは初めての経験でした。それが、装具が外れ仕事に復帰した直後に、ただ、歩いていただけなのに激しい筋肉痛が私を襲ったのです。それが、正直嬉しかったことを良く覚えています。痛みを喜ぶなんてと思われるかもしれませんが、これは骨折の痛みではなく筋肉痛なんだという実感が強かったからだと思っています。身体を動かせている証なのだという実感でした。
「痛み」や「苦しみ」が生きていることを実感させてくれるというのは良くあることだと思います。勿論、癒すことの出来ない「痛み」や「苦悩」があることも知っています。だからこそ、この時の筋肉痛は生きていることを実感させてくれたのだと思います。
これまで、筋肉痛は苦痛の種でしかありませんでした。特に歳を重ねる毎になかなか抜けてくれないと不満にさえ感じていたのです。ただ、改めて考えてみるとこの痛みは命に係わるものではないこと、身体が動かせている結果なのだと気づかされたのです。生きて身体が動かせることの喜びでした。
人生100年といわれる時代に医療や介護に頼らずに全うすることは難しいと感じています。2021年の厚労省のデータでは2019年の日本人の平均寿命は男性で81.41歳、女性は87.45歳となっていて、2001年から右肩上がりで伸び続けているようです。一概に平均寿命が長ければ長いほど良いと言うことは出来ません。誰もが寿命を迎えるまで健康でいられるとは限らないからです。
近年、平均寿命とセットで「健康寿命」という言葉がよく使われるようになっていますが、これは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指しています。つまり、平均寿命と健康寿命の差は何らかの支援や介護を必要としながら暮らす期間で、その長さは男性で約8.7年、女性で約12.1年となっています。健康寿命を延ばし、自立した老後を送るためには、早い段階からの努力が不可欠なのです。