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Supersix EVOの山岳賞の意味(2)

2024-07-26 13:34:12 | ロードバイク
 転機は第19ステージにやって来ました。最大標高が2802mのボネット峠を越え、1級山岳イゾラ2000にフィニッシュするクイーンステージで総合優勝争いを繰り広げるポガチャルとヴィンゲゴーを尻目に、一つ目の超級山岳ヴァルス峠(距離18.8km/平均5.7%/標高)に入り、UAEチームエミレーツが牽引するメイン集団からカラパスが飛び出して先頭に合流するのです。

 最初の逃げに乗れなかったカラパスはチームメイトの助けを借り、何とか先頭に合流すると、最初の超級をトップで通過し20ポイントを獲得、続く最難関ボネット峠に入ると、逃げ集団も崩壊し始める中、カラパスは粘ってポイントが倍になるボネットの頂上も先頭で通過し、さらに40ポイントを加算しヴァーチャルで山岳賞を獲得してしまうのです。ボネットの麓では4分以上のタイム差があったとはいえ、3強がアタックを始めればひとたまりもないタイム差なのです。

 しっかり計算しながらクレバーに走ったカラパスはイゾラ2000での総合優勝争いが勃発する展開でもしっかりと3強に次ぐ4位でゴールし101ポイントで山岳賞ジャージを自力で手に入れたのです。ステージ1勝も遠かったEFにとって山岳賞ジャージの獲得は本当に大きなことでした。カラパスを獲得しスペシャルなゴールドに塗られたSupersix EVOを与えたEFの決断の答えが出たことになるからです。
 総合争いがボネットでは起きないというカラパスの判断があり、明らかに山岳賞を狙いに行った結果でした。ただ、山岳賞は手にするのも大変ですが、厳しい山岳ステージは翌日も続きます。3強相手に山岳賞ジャージを守るには、次の日も逃げて頂上でのポイントを取り続ける必要があったのです。

 第20ステージはスタートからアタック合戦が続き、最初の2級は逃げに乗っていたマスがトップ通過するものの、カラパスは落ち着いて追いかけ、続く1級の登りで逃げ集団に追いつきます。登坂距離が20.7kmと長い1級山岳テュリニをトップ通過、続く1級山岳コルミアーヌ(距離7.5km/平均7.1%)もトップ通過して、ようやくカラパスは山岳賞を確定させることができたのです。
 しかも、3分弱のタイム差で最後のクイヨール峠に入ったカラパスですが、後方では総合トップ3が動き出します。最初に仕掛けたのは総合3位のエヴェネプール、次にヴィンゲゴーが仕掛けポガチャルを引き連れ先頭のカラパスに迫ります。残り800mまでは懸命にトップの二人に食らいつきますが、ポガチャルとヴィンゲゴーでは相手が悪過ぎました。

 最後のスプリントでヴィンゲゴーを退けツール5勝目を飾ったポガチャルに注目が集まった後方ではカラパスが23秒遅れの3位でフィニッシュ。3強の一角エヴェネプールは30秒後方の4位でした。ここまでの登りゴールで3強の間に入ったのはヨルゲンソンにサイモン・イエーツとカラパスだけでした。
 アルプス2連戦で本来の強さを見せたカラパス。EFには勿論、彼の母国エクアドルにも初のマイヨ・アポア・ルージュという勲章をもたらすことになったのです。オリンピックチャンピオンなのだから当たり前といってしまうのは簡単ですが、ワンデイレースのオリンピックとは違い3週間のステージレースで特別ジャージを手にするのは容易ではないのです。実際にオリンピックの金メダリストでマイヨ・アポアを獲得しているのは北京五輪の勝者サムエル・サンチェス以来のことなのです。
 

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