コンフォート系ロードバイクについての考察（2）

　タイムを競うプロの世界ではライバルより0.1秒でも速く走ることが全てですから、単に乗り心地の良いバイクが求められることはありません。そういう意味では2チームにバイクを提供しながら結果を残せなかったPINALLEROはショックだったのではないでしょうか？ツール・ド・フランスではボアッソン・ハーゲンの活躍、ブエルタ・ア・エスパーニャでは表彰台の2位・3位を獲得したDOGMA2の成功とは対照的な結果となってしまった訳ですから・・・だからといってKOBH60.1が悪いバイクと考えるのは早計でしょう。というのも、プロにとって良いバイクが必ずしもアマチュアやホビーライダーにとって良いバイクになるとは限らないからです。

　今年のパリ・ルーベを征したのはCERVELOのR3でした。CERVELOには空力重視の「S」と快適さ重視の「R」、TT用の「P」という三つのシリーズがありますが、昨年の世界チャンピオンであり、今年のツール・ド・フランスでも大活躍したトル・フースホフトは「R」シリーズを好んで使用しているということです。また、2008年にツール・ド・フランスを征したカルロス・サストレのバイクもこの「R」シリーズでした。こうしたことから「R」シリーズがコンフォート系というイメージが沸き辛いのですが、メーカーの分類からすると間違いなくコンフォート系のロードバイクなのです。他メーカーのようにアップライトなジオメトリーは採用していませんが、パリ・ルーベでも実証されたようにラフコンディションにも強く、太いタイヤと泥のためにクリアランスが必要な場合を考慮してあり、700×28Cのタイヤを履かせることも可能な設計になっているのです。この名車はULTEGRA仕様で546,000円、SRAM RIVAL仕様なら441,000円となっています。1ランク下のRSならRIVAL仕様で365,000円、105使用なら357,000円で手に入れられます。「R」シリーズの最大の特徴は何と言ってもスーパースリムシートステーですが、あの細さを考えると取り扱いには細心の注意が必要かもしれません・・・

　サクソバンク、アスタナ、HTCと3チームにバイクを提供しているSPECIALIZEDはパリ・ルーベ用に開発されたその名もROUBAIX SL3を投入。勿論、S-WORKSモデルです。昨年までこのバイクで2連覇を達成していたカンチェラーラはTREK MADON6.9 SLで3連覇を逃してしまいました。S-WORKSモデルには手が出せませんが、ULTEGRA仕様のROUBAIX SL3 EXPERTが400,000円、105仕様のROUBAIX COMPは320,000円、ROUBAIX ELITEなら260,000円で手に入れることができます。