CYCLINGFAN!!

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自転車並みの速度という表現の違和感

2024-08-30 09:39:21 | 自転車
 「“自転車並み”の速度で北上中…九州に上陸した強い台風10号」が大変な被害を出しながら九州から四国方面へとノロノロと進んでいます。台風が来る度に良く耳にする“自転車並み”の速度という表現にずっと違和感を覚えています。
 この天気予報で使用される“自転車並み”の速度というのは「時速10kmから時速20km」程度を想定しているようなのですが、おそらくこんな表現を使うのは日本だけではないのかと思ってしまいます。

 私のようにロードバイクに乗っている者には「時速10kmから時速20km」というのは自転車の速度では無いからです。この速度は「自転車=ママチャリ」という日本人の感覚から来ているように思います。正確に時速15kmほどの速度で言うべきところをあえて「“自転車並み”の速度」と表現するのは自転車が速度の遅い乗り物だという前提があるからでしょう。
 これは明らかに時代遅れの自転車後進国だということをこの国が宣言しているようなものだと私は感じています。それが自転車は速度が遅いので歩道を走っても良いという悪習の元凶になっていると思われるからです。
 これが「原付バイクが歩道を走っても良い」となったら大反対するに違いありません。原付バイクの制限速度は30kmなので、ロードバイクの速度とほとんど変わらないのです。下りではエンジンブレーキの無いロードバイクの方がスピードが出ます。欧米では自転車が遅い乗り物という考え方自体がありませんので、決してこうした表現を使うことは無いはずです。
 この国でも自転車に青切符が適用される時代に入っているというのに、こうした表現を気象庁やマスコミが使っているのは時代遅れと言わざるを得ないでしょう。技術の進化でママチャリだって20km以上の速度が出ますし、ちょっとした下りなら25km~30km近い速度が出てしまう。まして電動アシストの時代に入り自転車は楽に速度が出せる乗り物へと変貌していることを忘れてはいけません。
 自転車はあくまでも車両なので車道を走るのは当たり前と欧米では考えられているのに、この国では自転車が車道を走るのは危険だと感じている人が大半でしょう。今回の道交法改正で自転車の青切符導入だけがクローズアップされて報道されていますが、実は第18条「左側寄り通行等」の第3項が重要なのです。
 この第3項には「車両は、当該車両と同一方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道または自転車道を通行しているものを除く)の右側を通過する場合において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。しかも、罰則規定も設けられているのですが、これが意外にも報道されていないのです。
 この車から自転車を守るという法律が周知されれば、自転車は安心して車道を走ることができるのですが、これは昭和35年以来ずっと改められてこなかった最大の改正点だと思います。自転車は速度が遅い乗り物という錯覚を生む「自転車並みの速度」という表現は不適切だと思います。
 




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