とはいえ、これはあくまでもスポーツクライミングを知っている人間の感想です。確かに今回のオリンピックで初めてスポーツクライミングという競技を目にした人にとっては小柄な森選手がかわいそうという感情が生まれたことも確かです。
単にジャンプしても手が届かなかったことは事実なので、不公平と見た人が感じても仕方が無いのかもしれません。ただ、バスケットボールのリングの高さやバレーボールのネットの高さを不公平という人はいないでしょう。それはバスケットやバレーは世界に認知されたスポーツだからです。
スポーツクライミングは歴史も新しい競技で、オリンピック種目となったのも前回の東京大会からなので、パリで初めて目にした人も多かったのではないでしょうか?国際スポーツクライミング連盟(IFSC)はここまで意識してはいなかったと思っています。元々、単にジャンプしてホールドを掴むという前提でセッティングされていないのですから。
ただ、こうした意見がSNS上で噴出したことを受けてIFSCは今後の普及活動をどうしていくのでしょう。やはり誰にでも分かる説明が必要だったと思っています。登山と異なり、街中でも気軽に楽しめるスポーツクライミングの人気は年々高まり、競技人口は60万人を越えているのです。世界ランクを見ても女子リードでは森選手が1位ですし、男子はボルダリングとリードで安楽選手が1位なので、もう少しスポーツクライミングのルールを知ってもらう努力は不可欠だと思っています。
サイクルロードレースもそうなのですが、なかなかTVで観る機会の無いスポーツはマニアックな感じになってしまいます。地上波での放送こそありおませんが、今はJスポーツでオンデマンド配信もあります。スポーツクライミングも同様です。有料にはなってしまいますが、観たい人は競技を観ることはできる時代に生きているのです。
競技ではありませんが、今夜放送の「さんま御殿」に森選手が出演するそうです。こうしてメダルを逃した選手でも地上波TVに出演することで、スポーツクライミングという競技に注目が集まることは嬉しいことだと思っています。どうやら第1課題の印象に関する質問があるようで、森選手がどんな表情で何と答えるのか、今から楽しみです。
ボルダリングが苦手で複合ではメダルに手が届かなかった森選手ですが、攀じ登る力が発揮できるリードでは圧倒的な世界1位と本当に凄いアスリートなので、これからも彼女の登坂力からは目が離せません。来月にはワールドカップのスロベニアとチェコ大会があります。
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