確かにヨナス・ヴィンゲゴーはチーム内の最大のライバルでした。ただ、彼も初めからエースだった訳ではないのです。『魚屋』とも綽名されたヴィンゲゴーはかつて練習生だった時代には水産加工場で働いていたこともある苦労人のようです。2021年のツールが最初のグランツールで、その時はログリッジのアシストのひとりに過ぎなかったのです。
勿論、ヴィンゲゴーはログリッジの背中を見て育った選手のひとりです。母国の後輩ポガチャルといいヴィンゲゴーといいログリッジに憧れていた若手が、あっという間に自分を追い越してマイヨジョーヌを獲得して行ったのですから、ログリッジの心境は推し量るのも難しいと思っています。
ポガチャルについては「彼とは友達ですし、彼が今、成し遂げていることは本当にすごいことです。信じられないほどのレベルですから、僕たちは彼をどうやって倒すかを考えるのではなく、自分たちをどう改善できるかを考えています。彼はもう20歳というような年齢ではありませんが、まだ若いですし、彼が持っている楽しさが最大の強みだと思います。それが自転車レースに対する姿勢を支えているんです。もちろん、パフォーマンスやパワーなどの数値も素晴らしいですが、楽しむという部分が彼の本当の強さだと思います」と応えているのです。友情を越えてリスペクトさえ感じさせるコメントでした。
ただ、本人も決して諦めている訳ではなく、今季から加入したレッドブル・ボーラ・ハンスグローエというチームをヴィスマのようなグランツールでも勝てるチームにすることにシフトしているように見えます。
「僕たち(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はグランツールに勝つことに慣れているチームではありませんし、毎年必ず1つは勝てるわけではありません。だから、時間が必要です。皆が一歩ずつ進んでいく必要があります。僕も年を重ねていますが、まだ学んでいる最中で、これからも学び続けます。今年は何か新しいことを取り入れ、少しでも成長できればと思っています。」と口にしていました。35歳のログリッジが「まだ学んでいる最中で、これからも学び続けます」というのですから、チームの若手には良い刺激になるはずです。
ツールの結果については、「最終的にどうなるか見てみる必要がありますが、今年のツールの総合トップ3、タデイ、ヨナス、レムコに対して、僕たちがあまり遅れをとっていないことは確かです」と振り返っているのですが、その言葉はブエルタの総合優勝で証明されています。個人としては大きな差でも、チームとしてなら何とか出来るというのが、ヴィスマで育ったログリッジらしい考え方でしょう。
レッドブルが新たにスポンサーに付いたこともあり、レムコに対してビッグマネーでオファーを出したという噂もあります。ただ、レムコはクイックステップと来シーズンまでの契約があるので、来季の移籍はありませんが、ログリッジが現役でいる間に若い有力選手が加入すれば、将来的にはマイヨジョーヌを着用する選手が現れる可能性は十分にあると考えています。
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