私の故郷で昨日大雪が降った。まだ降り続いているらしい。
70数年ぶりの大雪で45センチほど積もったそうだ。
子供の頃こんな雪はしょっちゅう降っていたような気がする。
ところが実際は降ってはいないのだ。子供の頃は何でも大きく見えた。
家の前の通りも、家の庭も、小学校の校庭も、家の座敷も皆広く大きく見えた。
雪が降ったら物置から橇(そり)を出してきて近くの崖に行き橇滑りをした。
その崖も大きく急で高く聳え立っていた。足がすくむほどだった。
校舎の裏に雪を集めてその上に水を撒いて即製のスケートリンクを造った。
それすらも大きな広いリンクだった様に思えた。そんな筈無いのに。
今はそれを確かめようもない。家はとうに無くなり駐車場になっている。
家の前の道はバスがすれ違いが苦労するほど狭い道だった。
崖は崩されて宅地に造成された。小学校は解体されて高等学校に建て替えられた。
それらは皆何となく小さいジオラマの様だ。
今度の大雪で全部埋っているのだろうか。まさか?
近江の里も10センチほど雪が積もった。
炬燵の中で、帰り住むことのない故郷のことをひとり思っていた。
座敷童子でした