爺さんの独り言

雑木林から街中に帰ってきた爺さん

故郷の廃家

2012年10月21日 | 日記
 帰りたいとは思わない故郷でも帰らざるを得ない時がある。10数年ぶりで故郷に帰って来た。生まれ育った家は、誰も住んでいない家になっていた。母はこの家に嫁に来た。そして、4人の子供を産んだ。長男を21歳の時に、次男を24歳の時に。長女を27歳で。その下の3男は生まれて数週間でこの世を去った。

  

 今は認知症がかなり進んでいるが、しっかり者でやさしい母であった。萩原朔太郎の詩が心に浮かぶ。

   "時はたそがれ 母よ 私の乳母車を押せ
         泣きぬれる 夕陽に向かって りんりんと 私の乳母車を押せ”

 90歳近くになって、東京の長男のところに来る迄住んでいた小さな家の庭も荒れている。この家で住んでいたのが期間的には一番長かった。『母よ、ここに帰りたいか?』

   

 しかし、母の記憶に残っているのは子供の頃過ごした家とその周辺のことが多いようだ。

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする