古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十八章 潮御崎神社・古記録その四十七

2013年07月31日 06時54分33秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第十二ページ、上の五~六行目

 

解読 様之義不罷成候与申候。然共是非共祝仕

    度候者、臺所之勝手ニ而酒始戻申様ニ与申

読み 様の義罷り成らず候と申し候。然れども、是非共祝い仕り

    度く候わば、台所の勝手にて酒始め戻し申す様にと申し

 

解説 「左様之義」・・・その様な事は。 「不罷成候与申候」・・・罷りならず(させない)と申し渡した。 「然共」・・・然れども。 「是非共」の次は「祝」と言う字を書き誤ったのか、特に「イワイ」と振り仮名を付けています。 「仕度候者」・・・祝い仕り度く候わば。どうしてもお祝いをしたいのであれば。この「候者」も本来なら、「候ハゝ」と書くところですが、この書き方は二回目です。 「臺所之勝手ニ而」・・・台所の勝手口で。「臺」は「台」の旧字体です。 「酒始戻申様ニ与」・・・「始戻申」の意味が判りません。強いて言えば、台所で宴会を始めて、済んだら元通り片付けて神主へ場を戻す様にと言う意味か。 


第十八章 潮御崎神社・古記録その四十六

2013年07月30日 06時15分21秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第十二ページ、上の三~四行目

解読 十八日ニ参的拝之始申候。御神酒杯持参リ仕

    我等面座敷ニ而祝仕度与申候得共、中々左(様之)

読み 十八日に参り、的之を拝み始め申し候。御神酒杯持参り仕

    我等面座敷にて祝い仕りたしと申し候えども、中々左様の

 

解説 「十八日」の次は「参」・・・形で覚える字。「十八日に参り」・・・十八日に来て。 「的拝之始」・・・「的拝み始め」と習いましたが、私流の解釈で、「的これを拝み始め」と読んでおきます。前行に「納之」とありましたが、こういう場合の「之」は語調を調えるための言葉で、敢えて読まなくてもよいとされているケースかも知れません。 「御神酒」・・・おみき。 「杯」・・・さかずき。 次も難解ですが、「持参リ仕」・・・持ち参り仕り。持って来て。 「我等面座敷」・・・私の表座敷。神主の家の客間。「面」の字は、町史その他では「西」と読んでいますが、ここは先生の読み通り「面」としておきます。「面」は「表」。 「祝仕度与」・・・祝い仕り度しと。神主の正面の座敷で祝いをしたいと。 「申候得共」・・・言って来たが。 「中々左様の義」・・・とてもとてもその様な事は。


第十八章 潮御崎神社・古記録その四十五

2013年07月29日 07時28分51秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第十二ページ、上の一~二行目

解読 之的与申我等壱人的之祝義致的納申

    候間、其刻参納之申様ニ与申候得者其□

読み の的と申し、我等一人的の祝儀致し、的納め申し

    候間、其の刻参り之を納め申す様にと申し候えば、其の□

 

解説 「之的与申」・・・の的と申し。「与」は「と」です。あまりにも回数が多いので、以後説明は省略します。 次は「我等壱人」・・・「我」は超難解文字。前ページに引き続き出ました。この場合の我等は、「我々」ではなく、「私一人」です。 「的之祝義致し」・・・的の祝いの儀式を行い。 「的納申候間」・・・的を納める(収納する)ので。 「其刻参」・・・其の時来て。 「納之申様ニ与」・・・之を納め申す様にと。【ここは私流の解釈です。】「参」の次の字は、串本町史も「参拝」と読んでいますが、「拝」は次行でも出て来て、明らかに別の字に見えます。 「申候得者」・・・言ったら。申し述べたら。 「其」の次は消えていますが、町史では、「其後」と読んでいます。


第十八章 潮御崎神社・古記録その四十四

2013年07月28日 05時34分54秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第十一ページ、上の七~八行目

 

解読 ニ而左様之無例義不罷成候与申候得共、達而

    色々与申候処其儀ニ而候ハゝ、正月十八日ハ納

読み にて左様の例無き義罷り成らず候と申し候えども、達て

    色々と申し候処、其の儀にて候わば、正月十八日は納め

 

解説 「左様之無例義」・・・左様の例無き義。その様な前例の無い事は。 「不罷成候与」・・・罷り成らず候と。罷り成らんと。出来ないと。 「申候得共」・・・言ったけれども。回答したけれども。 「達而」・・・断って『たって』。「達」は当て字です。強いて『しいて』。 「色々与申候処」・・・色々と言ってくるので。 「其儀に而候ハゝ」・・・神社とすれば、三ヶ浦がそれほどしたいのなら。 「正月」・・・「正」のくずしも覚えましょう。 最後は「納」。


第十八章 潮御崎神社・古記録その四十三

2013年07月27日 07時42分50秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第十一ページ、上の五~六行目

 

解読 萬事肝煎申候間、正月的祝を被下候様ニ与

    願申候。我等先祖申候者、的者氏子之祝義

読み 万事肝煎り申し候あいだ、正月的祝いを下され候様にと

    願い申し候。我等先祖申し候は、的は氏子の祝儀

 

解説 「萬事」・・・『ばんじ』すべての事。 「肝煎申候間」・・・世話をするので。 「正月的祝を」・・・正月のお的祝い行事を。 「被下候様に与」・・・下され候様にと。「被下」の次の短い縦棒は「候」。最後の「与」は変体仮名の「と」です。「文意」・・・三ヶ浦が言って来た内容は、「私達が御崎の事すべて世話をするので、正月のお的の祝い行事を主催させてくれる様にと願って来ました。 「我等先祖」・・・「我」は四行目にも出ましたが難しい崩し字です。御崎神社の先祖。 「申候者」・・・申し候は。私達の先祖が答えて言ったのは。 「的者」・・・的は。お的の行事は。 「氏子の祝義」・・・神社の氏子達の祝いの儀式。