古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第三十章 乍恐口上書附 其の三

2014年09月30日 04時06分16秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

乍恐口上書附」第一頁、上の五~六行目

 

解読 印形付之書附御達可申上旨、御見分

    役人衆より御申聞之趣承知仕候。元来

読み 印形付きの書き附けお達し申し上ぐべき旨、御見分

    役人衆よりお申し聞かせの趣承知仕り候。元来

 

解説 「印形付之書附御達可申上旨」・・・印鑑を押した書類で通達するべき旨。 「印」と「書」の二文字が難しい。 「御見分役人衆より」・・・検査に来た御役人様から。「見分」と「衆」が難しいです。何れも形で覚える字。 「御申聞之趣」・・・申された趣旨。「聞」も簡単に読める字では有りません。「聞かす」と読みます。「趣」も難解文字です。趣旨。内容。 「承知仕候」・・・ここは比較的易しい。 最後は「元来」・・・もともと。


第三十章 乍恐口上書附 其の二

2014年09月29日 05時32分48秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乍恐口上書附」第一頁、上の本文の三~四行目

 

解読 用水余り水取候積ニ而新溝掘継奉願候由

    然處元田人共何等差支之品等無之哉

読み 用水余り水取り候積もりにて、新溝掘り継ぎ願い奉り候由

    然る処、元田人ども何等差し支えの品等これ無きや

解説 「用水」・・・大井堰用水。大井堰から取水する潅漑用水。「用水」・・・崩し方は形で覚える。 「余り水」・・・この三行目は用紙の継ぎ目になっているので、途切れた字があります。このページには、「水」の字が三回出ますので、よく見て下さい。 続いて読みにくい字は、「取候積ニ而」・・・(余り水を)取る積もりで。 次の四文字も読みにくいですが、「新溝掘継」と書いています。余り水を取水する為の新溝を掘り継ぐ工事。 継ぎも読むのは難しいですが、「奉願候由」・・・願い奉り候由。新しい溝を掘り継ぐ工事を願い出たとの事。 「然處」・・・然る処。所が。 「元田人」・・・元々堰の水を使っていた百姓。 「何ホ」・・・「何等」・・・なんら。何も。 「差支之品等」・・・差し支える事情など。「ホ」の様な「等」の崩しが二回続けて出ています。「品」も難解文字です。 「無之哉」・・・これ無き哉。「哉」は形で覚えるほかありませんが、疑問を表す助詞です。「無いか」 


第三十章 乍恐口上書附 其の一

2014年09月28日 06時53分06秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乍恐口上書附」第一頁、上の表題部と一~二行目

 

解読  一、當村後地うゐ之儀、元来井戸釣揚

      水而巳ニ而、田人共難儀仕候ニ附、大井関

読み 一つ、当村後地ういの儀、元来井戸釣り揚げ

    水のみにて、田人ども難儀仕り候に附き、大井関

解説 「乍恐」・・・恐れながら。 「口上書附」・・・口頭で言う事を文書にしたもの。 「一」・・・「一つ」と読む。この様な文書を「ひとつ書き」と言います。 「當村」・・・「當」は「当」の旧字体。 「後地うゐ」・・・田並上村の地名。「うゐ」=「うい」。川や山に挟まれた細長い地形の土地のこと。 「之儀」・・・後地ういと言う所は。 「井戸釣り揚げ水」・・・井戸から汲み上げる水。 「水」の形に注意。 次の四文字は薄くて読むのは困難ですが、「而巳ニ而」と書いています。「のみにて」と読みます。古文書特有の言葉です。 「田人共」・・・百姓ども。 「難儀」・・・「儀」が難しい。 「大井関」・・・大井と言う所の関。「関」は「堰」のこと。川の水流を堰き止めて、潅漑用水として利用するもの。「関」の字も難しい。  

 


第二十九章 拝仕御米之事 其の八

2014年09月27日 06時34分19秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第二頁、上の七行目以下宛名まで

 

解読 (連印)拝借状依而如件。

    安政四年         田并上村庄屋  常吉

      巳九月         同所 肝煎   常蔵

           浦 儀才次殿

読み  (連印)拝借状依って件『くだん』の如し。 以下読み省略。

解説 「拝借状」・・・印鑑を並べて捺印した借用証。「拝」の崩し方に注意。 「依而」・・・「依って」と読む。「而」はかすれていて読めませんが、慣用語の流れで読みます。 「如件」・・・くだんの如し。「件」は『くだん』と読みます。前に書いた事柄。「件」は『くだり』が本当の読み方ですが、読みやすい様に音便化した読み方です。 「依而如件」・・・依ってくだんの如し。そんな訳で、右に書いた通りで御座います。「如」も読める字ではありませんが、慣用語になっているので、流れで読みます。 「田并上村」・・・田並上村。 「常」の崩し字も難解。ここでは二つ続いています。 「安政四年」の「政」も、「四」も難しい。 「浦儀才次殿」・・・江田組大庄屋。「次」も「殿」も超難解文字です。全体に、本文の文字は崩し過ぎが多い感じです。


第二十九章 拝仕御米之事 其の七

2014年09月26日 05時16分08秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第二頁、上の五~六行目

 

解読 年賦年限之間王き書之通り毎年十月中

    無遅滞取立急度上納可仕候。為後日連印

読み 年賦年限の間、わき書の通り毎年十月中

    遅滞無く取り立て屹度上納仕るべく候。後日の為連印

解説 「年賦年限之間」・・・年賦でお借りした年数のあいだ。「年」の字が二つ続きますが、崩した形は異なります。この辺が古文書の難しい所です。 「王き書之通り」・・・「王」は変体仮名の「わ」です。脇書きの通り。脇に書いている通り。「書」も難しい。「出」の字によく似ています。縦の棒は「之」の崩しです。 「毎年」も読みにくいですが、よく見ていると、その様に見えて来ます。 「無遅滞取立」・・・これも読むのは困難。『ちたいなくとりたて』。 「急度」・・・『きっと』。屹度。 「上納可仕候」・・・上納仕るべく候。必ず納付致します。 「為後日」・・・慣用句で、「後日の為」、後日揉め事の無い様に。 「連印」・・・印鑑を並べて捺印して。