古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第八章 レイディ・ワシントン号・その二十五

2011年10月31日 09時01分53秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第九ページ(上の写真)

解読   (番舩)等付置可申様ニとの儀、去ル三日出之御廻状

      同四日申刻来着拝見、委細ハ承知仕、早

      速浦々へも申通、湊口番舩等之儀ハ先達而より

読み方 等つけ置き申すべき様にとの儀、去る三日出の御廻状

      同四日申刻来着、拝見、委細は承知仕り、早速

      浦々へも申し通し、湊口番船等の儀は、先だってより

解説    「ホ」の様な字は「等」の崩し字です。 「付置」・・・つけ置き。「置」も極端な崩しです。 「様」も極端です。辛うじて、文意で読む字です。 「来着」・・・「着」も難しいですが、前に出ました。 「承知」の「承」は縦に長く、この人の癖でしょう。前出の「筆」も長く書いていた様に。 「早速」の「早」も極端。 「番舩」の「番」は前出。 「ホ之儀」の次ぎに小さく「ハ」が有ります。 「先達而」の次ぎに小さく「より」が有ります。いずれもこの写真ではほとんど見えませんが。

       

 


第八章 レイディ・ワシントン号・その二十四

2011年10月30日 09時42分28秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第八ページ(上の写真の五行目六行目)

解読  (中西)理左衛門より御注進申上候由ニ付、右者何之

           浦へ漂着之程も難計候間、湊口番舩

読み方  (中西)理左衛門より御注進申し上げ候由に付き、右は何れの

     浦へ漂着の程も計り難く候あいだ、湊口番船

解説   「理左衛門」・・・りざえもん。 「より」は合成字。 「御注進」・・・何度も出ました。「御」は極端な崩しです。 「右者」・・・右は。「者」は変体仮名「は」。 「何之」・・・いずれの。 「漂着」・・・この文章では、漂流と漂着の二種の言葉を使っています。この「着」も難解。 「程」は旁がほとんど読めませんが、文意で読む。 「難計」・・・「計」も極端です。「はかりがたく」。定型句として覚えましょう。 次の「候」は極端に小さく、「間」は何とか分かります。 「湊口」・・・この「湊」は始めてです。 「番舩」・・・「番」は「遠見番」の「番」と同じです。


第八章 レイディ・ワシントン号・その二十三

2011年10月29日 08時59分26秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第八ページ(上の写真の四行目、五行目)

解読  『唐舩躰の』舩其後、西風少し吹出候故歟、弐艘とも

    出帆、下も筋江乗下り候との儀、中西

読み方 『唐舩体の』船その後、西風少し吹き出し候故か、二艘とも

    出帆、しも筋へ乗り下り候との儀、中西

解説   「其後」・・・「其」という字の極端な崩しです。 「吹出候故歟」・・・「故歟」は前ページ一行目で出ました。こちらの方がまともに多少近いと言えます。 「弐艘」の次は「しも」に見えますが、「とも」です。 「下も筋」・・・「下」の次は「毛」の変体仮名「も」です。次は「筋」前に出ました。 「下も筋」は西からの風を受けて東方向へ向かう事。   「江」は「へ」。 「乗り下り」・・・船で東方向へ行く。 「との」・・・この「と」は前行よりマシです。


第八章 レイディ・ワシントン号・その二十二

2011年10月28日 08時55分16秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第八ページ(上の写真の一行目~二行目)

解読  先達而被仰聞候、口熊野古座組黒嶋

    沖ニ日和待汐懸り致罷有候唐ら舩躰之

読み方 先だって仰せ聞かされ候、口熊野古座組黒嶋

    沖に日和待ち、汐懸かり致し罷りあり候、から船ていの

解説  「先達而」・・・「先だって」。慣用句です。 「被仰聞」・・・下から返って「仰せ聞かされ」。「仰」の文字が長く、二文字に見えます。「聞」の崩しも何度も出ました。形で覚える字です。 「口熊野」・・・「奥熊野」に対する地域名で、周参見代官所管内の「周参見」「江田」「古座」「三尾川」「四番」の五組の総称。 「黒嶋」・・・和歌山県南部の古座川河口約一キロ沖の小島。現在は「九龍島」と書きます。 「日和待」・・・「待」は簡単な文字ですが、崩し方は難しく、何度出て来ても読みにくい字です。形で覚える字。 「汐懸り」・・・既出ですが、「懸」もこれだけでは読めません。「汐」とセットで読む。形で覚える字。 「罷有候」・・・この字も難しく、文章の流れから読む、形で覚える字です。 「唐ら舩躰之」・・・何度も出ました。 

この章も、内容はあまり大した事はないのですが、同じような文字が何度も出て来るので、古文書の学習としては適当ですから、少し難解ですが繰り返しお付き合いください。本章の表題は「レディ・ワシントン号」としていますが、当時は勿論船名も国名も分からず、本文では名前など全く出てきません。『念のため』。


第八章 レディ・ワシントン号・その二十一

2011年10月27日 09時27分21秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第七ページ(上の写真の七行目以下)

解読  右之趣、夫々遠見番江早々御申通可被下候。以上。

    仍之申入候。恐々謹言      稲葉七左衛門

        四月四日     西川松蔵殿

読み方 右の趣それぞれ遠見番へ、早々御申し通し下さるべく候。 以上。

    これに依って申し入れ候。 恐々謹言。  稲葉七左衛門

        四月四日     西川松蔵殿

解説  「趣」『おもむき』はこの章で既に出ました。最も崩した方です。 「遠見番」・・・沖合に不審な船等が見えないか、望遠鏡で高台から見張る役目の役人。 「御申通」・・・「早々」の次ぎに「御」が有ります。 「可被下候」・・・「可」は分かりますが、「被下候」はよく分かりません。先生はこう読みました。 「以上」も分かりにくいですが、「定型句」として頭に入れておきましょう。 最終行のはじめは、読むのは困難ですが、定型句の「仍之」・・・これに依って。 「申入」の次は「候」。 結びの挨拶は、「恐々謹言」。定型句『決まり文句』ですから、形で覚えて下さい。