古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十一章 濱着口上書・その七十九・同様

2012年07月31日 05時48分08秒 | 古文書の初歩

 

 

 

濱着口上書第二十二ページ、上の画像の五行目~六行目

解読 同様出帆仕候得共、出帆後何連へ乗行候とも

    不奉存候。御糺ニ付、有躰申上候。以上。

読み 同様出帆仕りそうら得ども、出帆後何れへ乗り行き候とも

    存じ奉らず候。お糺しに付き、有りてい申し上げ候。以上。

解説 「同様」・・・これはそれ程難しくはありません。 「候得共」・・・「仕」の次の点が「候」で「そうらえども」と読み、前後をつなぐ慣用句です。「出帆致しましたが。」 「何連へ」・・・いずれへ」。「連」は変体仮名「れ」。「連」下に小さく「へ」が見えます。 「乗行」・・・これも簡単な字ですが、読むのは難しい。「行」の次の点が「候」。 「とも」は前行最後の「とも」に比べればはっきり書いています。 「不奉存候」・・・下から返って「存じ奉らず候」。「不」は否定・打ち消し。 「御糺」・・・「御」は簡略化しています。 「ニ付」・・・「ニ而」とも似ていますが、二行目にも出ました。 「有躰」・・・『ありてい』と読みます。ありのまま。「躰」は旧字体で、現在の「体」。


第十一章 濱着口上書・その七十八・炊ニ

2012年07月30日 06時47分12秒 | 古文書の初歩

 

 

 

濱着口上書第二十二ページ、上の画像の三行目~四行目

解読 炊ニ至迄上陸等仕らせ不申候付、舩中不正等之

    品曾以無御座尤類舩尾州舩・壹州舩両艘とも

読み 炊に至る迄上陸など仕らせ申さず候に付き、船中不正等の

    品曾て以て御座無く、尤も類船尾州船壱州船両艘とも

解説 「炊」・・・かしき。炊事担当の船員。新人の仕事は、かしきから始まりました。最下級船員。 次は「至迄」・・・至るまで。 「不申」・・・申さず。この次は「候付」。 「舩中不正」の「正」が難しい。 次は「等之品」・・・「不正などの事。」「品『しな』は事情、事柄、この場合は「事」と訳しました。 「曽以」・・・嘗て以て。『かってもって』。次の「御座無く」を強調する言葉で、絶対に。いささかの不正もしていない事の強調。 「無」と「座」のあいだに小さく「御」があります。 「類舩」の「類」が難解です。ちょっと読めません。同じ様に遭難した船。 「尾州」・・・尾張の国、今の愛知県の一部。尾州舩とは尾張の国の船。 「壱州」・・・「壱岐の国」。現在長崎県に属する離島「壱岐島」は江戸時代一つの国(藩)でした。壱州舩とは壱岐の国の船のこと。 「両艘」・・・二艘の船。 「艘」の左の字はよく分かりませんが、「とも」と読んでいます。

 

    


第十一章 濱着口上書・その七十七・御不審

2012年07月29日 06時42分02秒 | 古文書の初歩

 

 

 

濱着口上書第二十二ページ、上の画像の一行目~二行目

解読 御不審ニ被為思召御尤奉存候。右滞船中ハ

    日々東風吹ニ而無據滞舟仕候得共、水主

読み ご不審に思し召させられご尤もに存じ奉り候。右滞船中は

    日々東風吹きにて拠ん所なく滞舟仕り候えども、水主

解説 「御不審」・・・ここの「御」はまともなくずし字です。 「被為思召」・・・「被」は受け身の「られ」。「為」は使役の「させ」。「思召」も分かりにくいですが、「思し召させられ」と読みます。 「御尤」・・・この「御」は省略形。 「奉存」・・・存じ奉り。 次の右下斜めの点は「候」です。 「東風吹ニ而」・・・東風吹きにて。つまり逆風、アゲインスト。 「無據」・・・返って読み、よんどころ無く。やむなく。仕方なく。


第十一章 濱着口上書・その七十六・候儀

2012年07月28日 06時02分46秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

濱着口上書第二十一ページ、上の画像の最終行

解読 候儀、相違無御座、九木浦ニ而数日滞舩之儀

読み 候儀、相違御座無く、九木浦にて数日滞船の儀

解説 「候」か「御」かよく似た字が続きますが、ここは「候儀」。 次は「相違無御座」・・・「違」の字が難しい。「達」に見えます。「無」の次ぎに小さく「御」があります。下から返って「御座無く」と読みます。 「九木浦」の次は半分消えていますが、「ニ而」で「にて」。 「数日滞船之儀」・・・ここも文字が小さくごちゃごちゃと書いています。


第十一章 濱着口上書・その七十五・御見

2012年07月27日 06時56分25秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

濱着口上書第二十一ページ、上の画像の五行目~六行目

解読 御見およぼひ候之由ニ而、漕ぎ舟数艘役人衆も

    御乗組萬端御手配被成下、漕助ら連入津仕

読み 御見およぼい候の由にて、漕ぎ舟数艘役人衆も

    御乗り組み万端お手配成し下され、漕ぎ助けられ入津仕り

解説 「御見およぼひ候」・・・招き印しが見届けられた。「ほ」は「本」の変体仮名です。「ひ」の次は「候之由ニ而」。候の由にて。「およぼふ」と言う言葉は現代では使う事は有りませんが、「及ぶ」に助詞の「ふ」のついた動詞。 「役人衆」の次は半分消えていますが「も」。 六行目の最初は「御」。続いて「乗り組み」。 次ぎも難しいですが、「萬端」・・・『ばんたん』・・・全てに亘って。抜かりなく。 「御手配」・・・「御」の崩し字がこの二行で三回出ました。それぞれ微妙に形が異なります。「手」も「年」とよく似た字になります。 「被成下」・・・下から返って「成し下され」。 「助ら連」・・・助けられ。「連」は「れ」。 「入津仕」・・・入津『にゅうしん』仕り。下部になると、一行に収める為ごちゃごちゃと小さい文字になります。