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* 第64回・脱原発市民ウォーク in 滋賀 のご案内 *
* 2017年12月16日(土)午後1時半:JR膳所駅前広場 集合 *
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※膳所駅は工事中ですので、いつもの広場の奥、陸橋の近くの広場に集合します。
■公式の会議でまかり通る関電の主張:
「大飯原発で大事故が起きても外部に放出される放射性物質の量は
福島第一原発事故時の3000分の1に過ぎない」 ■
みなさんもご承知のように大飯原発3号機と4号機の再稼動が迫っています。このため去る11月23日に大飯原発から30キロ圏内にある(滋賀県)高島市朽木地区で原子力規制庁や関電などによる説明会が行われ、また11月28日は県庁で県主催による「平成29年度第2回滋賀県原子力安全対策連絡協議会」が開催され、主に大飯原発再稼働の伴う原子力防災をテーマにして関係者による説明が行われました。
この協議会は内閣府、原子力規制庁、資源エネルギー庁等の国の機関、関電、日本原電、県の原子力防災専門会議委員、県下の各自治体の原子力防災担当者ら数十人が一堂に会した、大飯原発再稼動を主なテーマとした滋賀県の原子力防災についての公式の一番重要な会議であり、その意味で会議の席上での国の機関や電力事業者の発言はすべて公式の発言であるということができます(この協議会については京都新聞や毎日新聞などが報じています)
私は昨年に引き続き今年もこの連絡協議会を傍聴しました。会議は約2時間少々、途切れることなく次から次に国の機関や電力会社の代表者が、当日配布された資料とスライドを用いて説明していきました。大量の資料に立て続けの説明、私はその場では説明の多くを理解するにいたらなかったのですが、印象に残った事柄を以下に若干記しておきます。
新聞報道では、《三日月知事はこの同じ日に行った記者会見で「多重防護体制構築が道半ばで、再稼働を容認できる環境にない」との見解を改めて示し、会議の中でも幹部が同趣旨の発言をした》したとされています(毎日新聞)。しかし、県の代表者(防災危機管理監、議長役)は確かに「再稼働を容認できる環境にない」と知事の言った通りのことを発言していたものの、私の印象では、発言はそれほど強い調子のものではなく、一応伝えておくという程度のものに過ぎず、国の関係者に意見や返答を求めることも行わず、極めて消極的な態度に終始していました。国の機関と関電の関係者はこの県側の発言に何の反応も示しませんでした。無視されたと言ってもよいでしょう。国と電力関係者が一堂に顔をそろえたせっかくの貴重な機会でしたから、三日月知事は記者会見で発言するだけではなく、自らこの会議に出席して、政府と関電の関係者に対して直接、正式に、もっと明確に再稼働反対の態度を伝えるべきであったのではないでしょうか、それが知事の責任ではないでしょうか。
もうひとつ強く印象に残り、このようなことを放置しておいてよいのかと感じたことは関電の代表者が、資料を用いて「万一、大飯原発3号機、4号機で福島第一原発のような大事故が起きても、外部に放出される放射性物質(セシウム137)の量は福島での事故で放出された量の3000分の1に過ぎない」と説明したことです。同じ説明が高島市朽木地区での説明会で行われたとされていますが、この説明、配布資料を用いた簡単な説明に留まっており、何を根拠にしたものであるか十分な説明はありませんでした。
誰が考えてもこれはにわかには信じ難い説明です。しかし、この関電の説明に対する質問や反論、意見は、県の専門委員の一人である京大の准教授がシステム上の問題点を指摘した発言だけでした。他の数十人もの出席者からの発言は皆無でした。この説明は大飯原発の再稼働を正当化するための関電側の重要な根拠のひとつにされているのではないかと思われるため、公の席上でのこのようは発言を放置しておくわけにはいかないのではないかと私は強く感じました。
2017年11月28日の滋賀県原子力防災計画連絡者会議で関電が配布した資料
このコピーの右上の端に「10」と記された図とその説明文をご覧ください。この図には大飯原発の3号機と4号機の従来の装置と安全確保のために新たに設置された装置が示されています。図左下の×印が付されている三つの装置(格納容器スプレイポンプ、高圧注入ポンプ、余熱除去ポンプ)は従来から設置されている装置であり、これらの三つの装置に×印が付されているのは、大事故時にこれらの装置が機能を喪失したと仮定する、ということを意味しているのであろうと推測されます。
一方、楕円形で囲まれている三つの装置(図左側の「可搬式代替低圧注水ポンプ」と「恒設代替低圧注水ポンプ」、図右上の「大容量ポンプ」とこれに接続されている「格納容器再循環ユニット」)は、これまでなかった新たに安全確保のために設置された装置であり、これらの装置は大事故時にも機能喪失することなく正常に機能を発揮したという前提に立っているものと推測されます。
おそらく関電は、上記のような前提あるいは仮定に立って、福島第一原発なみの大事故が起きて、従来の冷却装置などが機能を喪失しても、新たに設置した上記の装置(図中で楕円形で囲まれている装置)が作動して格納容器内の冷却を行うことができるため、多少の放射能が外部に放出されることがあるにしても、福島第一原発の事故のときのように大量の放射能が放出され大参事に至ることはない、と考えているのではないかと推測されます。
この「10」と記された図の説明文に次のような記載があります。
《重大事故時に環境に放出されるセシウム137の放射能量は約5.2TBqと、審査ガイドで示された100TBqを下回り、また福島第一原子力発電所での放出推定値16000TBq(1~3号炉合計)の約3000分の1》(注:TBq=テラベクレル。1テラ=10の12乗倍=1兆倍)
この一文、なぜ5.2テラベクレルに留まるのかの、どのような計算によるものなのか、その科学的根拠についての説明がまったくありません。しかし、この5.2テラベクレルという数値に基づいて次のような説明が付されています。
《5.2TBqのセシウム137が放出された場合、約5km圏外の空間線量率は0.03μSv/h以下となり、原子力災害対策指針で定める一時移転基準(OIL2:20μSv/h)を下回るため、一時移転は不要と考えられ、屋内退避によって十分放射線被ばくのリスクを低減できると考えられる》(注:福島原発事故での約5キロ圏外の線量は最大91μSv/hであったとされており、この福島での数値の3000分の1は0.03μSv/hになるという計算です)。
上記の関電による福島原発事故の3000分の1の放射能しか放出されないとする説明の科学的な根拠が示されていないため、私は滋賀県の原子力防災担当者に電話して、この資料についての説明を求めましたが、県の担当者もほとんど理解していない模様であり、関電に問い合わせるとのことでした。その後、「関電から説明があり60ページほどの文書が送られてきた」との返事がありました。県の担当者の言によれば、関電はおおむね次のように説明していたと伝えてきたとのことでした。
「資料に示した値、5.2テラベクレルというのは大事故が起きても格納容器が破壊されなかった場合を想定しての数字である。格納容器が破壊された場合に備えて別の安全対策も用意している」
関電による説明のより具体的な科学的根拠はよく分かりません。しかしながら、このような事故による被害予測は前提を変えればその結果も大きく変わるものであり、かつ絶対的な正しい予測というものはあり得ないということを考えるならば、この関電による予測は要するにある一つの前提条件に基づいた一つに予測結果に過ぎず、その他のいろいろな予測結果も考え得ると理解すべきです。それにもかかわらず、都合の良い一つの被害予測だけを取り上げて、あたかもこれ以外の結果はあり得ないと思い込ませるような説明を公の場で喧伝するという関電のやり方はとうてい公正であるとは言えません。このため、滋賀県の知事を含む関係者がこのような関電の主張の片棒を担ぐようなことがあってはならず、県は疑問点については徹底的に説明を求めるべきです。この会議を傍聴して、県がもっともっと積極的に再稼動問題に関与し取り組むことが必要とされていると痛感しました。
2017年12月8日
《脱発市民ウォークin滋賀》の呼びかけ人の一人:池田 進
電話/FAX:077-522-5415
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<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> 12月の予定 →
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