21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> の 活動報告、お知らせなど を掲載 ♪
ときどき、トピックも ~☆

脱原発 市民ウォーク in 滋賀 7月の予定

2022-06-18 09:41:44 | 記事
老朽原発このまま廃炉!
 
◆ 第105回 脱原発 市民ウォーク in 滋賀 ◆


2011年5月8日に第一歩を歩み出した脱原発 市民ウォーク in 滋賀は、
2021年12月4日に第100回を迎え、湖東の仲間が<脱原発市民ウォーク in しが近江八幡2021>を
10月30日に始動していただき、以後毎月実施されています。
すばらしい100回記念プレゼントをいただきました。
ともに当面の老朽原発再稼働阻止のみならず、原発全廃に向け、命の限り頑張りましょう!

1450万人の近畿の水源=びわ湖と私たちの未来=子どもたちを守りましょう!
参加無料! 予約不要!


<とき・ところ> 
2022年 7月16日(土)13:30  JR・京阪膳所駅前集合  

★コース = ときめき坂 ~ 元西武大津ショッピングセンター前 ~ 関電滋賀支社前~
       ~ びわ湖畔

☆主 催=21世紀 脱原発市民ウォーク in 滋賀 実行委員会
☆呼びかけ人・・・池田進(原発を知る滋賀連絡会 電話077-522-5415)
         岡田 啓子(ふぇみん@滋賀 電話077-524-5743)
         稲村 守(9条ネット・滋賀 電話080-5713-8629)



老朽美浜3号、高浜1,2号機再稼働NO!


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5.29老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか 2100人の声を関電と政府は聞け!








立憲6野党代表:手前から⇒新社会党・社民党・共産党・れいわ・立憲民主党・緑の党



主催者挨拶の中嶌哲演さん(原子力発電に反対する福井県民会議)



滋賀の運動を代表して岡田啓子さん


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「脱原発 市民ウォーク in 滋賀」 チラシのダウンロードは ⇒ コチラ

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原発のテロ対策は 信頼できるのか(その三)

2022-06-07 13:39:27 | 記事
《第104回 脱原発市民ウォーク in 滋賀のご案内》

去る5月29日、大阪で
老朽化原発の廃炉を求める大きな集会がおこなわれましたので
5月の脱原発市民ウォーク in 滋賀は休みとさせていただきました。

このため次回の第104回脱原発市民ウォークは6月11日(土)におこないます
(JR膳所駅前に13時半に集合)。
どなたでも自由に参加できます。
ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。


■■ 原発のテロ対策は信頼できるのか(その三) ■■
■ 航空機テロ・航空機墜落に関する対策は果たしてどの程度講じられているのか? ■


【不明な点が多く、内容がほとんど公開されていない航空機テロ・航空機墜落への対策】

前回の脱原発市民ウォークの案内において、ロシアによるウクライナ侵攻に際してチェルノブイリなどの原発や関連施設が占拠されたことに関連して、戦闘行為に際して原発や関連施設が標的され実際に砲撃されたりミサイル攻撃を受けたならば、事実上原発は破壊を免れることができないと述べました。自然災害による原発施設の破壊に関する対策は、3・11以後、独立性の高い原子力規制委員会が設置され、新たな規制基準に基づく規制が行われていることや電源喪失が起きるなどの非常時に際してのバックアップ施設である「特重施設」(特定重大事故等対処施設)の設置が義務付けられていることもあって、3・11以前とくらべて一定程度進展が図られていることは確かではないかと考えられます。
しかし、戦闘行為による原発の破壊と同様に最も重大な懸念である航空機テロ・航空機墜落を対象とした対策の場合、果たして現時点で実際にいかなる内容の対策がどの程度で講じられているのかという点に関しては、公開されている情報があまりにも少なく、このため日本、欧州、米国のいずれの原発やその関連施設についても、不明な点が多々存在しています。したがって航空機テロへの対策は部分的には明らかであっても、その全体像を把握することは容易ではありません。このため断片的なことを記すにとどまりますが、これまでに明らかになっている事柄を中心に対策の内容を以下に示すことにします。

【9・11同時多発テロ以後の原発のテロ対策について】


2001年に米国で起きた9.11同時多発テロをきっかけに、欧米各国は原発や使用済み燃料再処理工場などの原発関連施設における警戒態勢を強めており、航空機テロに備えて地対空ミサイルを配備したり、武装した警備員を増員するなど、ものものしい警戒態勢が採られている例も見受けられます。

たとえば、世界最大規模の再処理工場であるフランスのラ・アーグ再処理工場の場合、2002年末に対空ミサイルシステムの中核となる上空監視用レーダーサイトが設置され、射程距離20キロメートル程度の対空ミサイルが配備されたとみられています。仏経済財政産業省の原子力部長は「テロリストの情報を与えることになるため詳細は一切明らかにできない」としながらも「9・11以後、すべての原子力関連施設に対策を講じており心配されるような事態は起きない」と述べていたと報じられています
(中国新聞2003年3月23日:https://www.hiroshimapeacemedia.jp/kikaku/nuclearpower/030323.html

欧米各国は9・11以後様々な対策を講じているものと考えられますが上記のフランスの例でも分かるように、各国の関係機関は、テロ対策の具体的内容や詳細はいずれも明らかにしていないため、航空機テロに関してどのようなテロ対策が実際に講じられているのかは定かではありませんが、以下に知り得た範囲で、欧米と日本における対策について記します。

【欧州諸国における航空機テロ・航空機墜落に関する対策】

(1)9・11以前から航空機の墜落に対する対策が考えられていたドイツ
ドイツ・エコ研究所原子炉安全部門のクリストファー・ピストナ氏は、2016年6月14日に原子力資料情報室が主催した「原子力発電所とテロ」をテーマにした第91回公開研究会において以下のように説明しています(https//cnic.jp/7132 「原子力資料情報室通信」第506号:2016年8月1日)

『1970年代には東西ドイツの対立があり、原発上空の飛行が禁止されているにもかかわらず、軍用の航空機がよく飛んでいたため、1974年から軍用機が原発に衝突した場合について考えるようになっていたが、9・11同時多発テロと福島第一原発の事故を受けて安全性に関する再評価が行われ、1)小型飛行機、2)中型軍用機または中程度の民間航空機、3)大型旅客機の三つの審査基準に基づき、原発への物理的インパクトと航空機燃料が原因となる高温の火災によるインパクトに原発がどのくらい耐えられるかが検討された。その結果、小型軍用機に耐えられないと判断された原発は2011年の原子力法改正に際して閉鎖された。したがって現時点ではドイツのすべての原発は上記の基準2までに合格しているはずだが、中程度の旅客機に耐えられるかどうかは定かではない。耐えられるかどうかは保安管理上の理由でデータが公開されていないので政府機関を信頼するしかない。

また、航空機が衝突したときの原発の堅牢性に関して、1)建物の強度(壁は十分厚いコンクリートで建てられているか)、2)冷却水は緊急時でも十分確保されるか、3)電源の確保は緊急時でも十分守られるかの三つの項目が重視されており、その方法も具体的に設定されており、たとえば建屋を空間的に離すこと、重要な設備を分けること、冷却水の配水管の保護・強化を図ること、二つの独立した多様な電気系統(例えばディーゼル発電機)を空間的に離れている場所に設置することとされている・・・』

この説明から、日本の原発に関して原子力規制委員会が設置することを求めているいわゆる「特重施設」(特定重大事故等対処施設)は上記のようなドイツにおける方策を参考にしたものであろうと推測されます。欧州ではドイツだけでなく航空機激突への対策を講じている国々があり、たとえばフィンランドでも格納容器を二重にした例が知られており(原子力規制委員会の資料「原発を破壊行為から守る対策について」
(siryo7_201704.pdf (sakura.ne.jp)より)、スイスの場合は国内に5基の原発が存在していますが、比較的新しい2基の原発に関してはボーイング707型機(9・11テロに用いられた旅客機と同型機)の衝突を考慮して設計されたとされています(上記の中国新聞の記事より)。

また、ドイツの場合、福島原発事故後に原子炉安全委員会(RSK)は様々な航空機の衝突を想定した安全評価を実施し、評価書をドイツ語と英文で現在も公表しているとされています(上記の原子力規制委員会の資料)。

(2)米国における航空機テロ・航空機墜落に関する対策

米国の原子力規制委員会(NRC)は9・11テロ直後に「原発はそもそも旅客機に衝突に耐える設計にしておらず、過去に想定したこともない」との見解を表明しており、国際原子力機関(IAEA)も「原発を直撃すれば、放射性物質を内部に閉じ込めきれない」としていましたが、全米エネルギー協会(NEI)の見方は異なっており、2002年に、米国電力研究所(EPRI)に委託していた研究成果を公表し「原子炉が多少の損害を被っても放射性物質の外部放出の危険性は少ない」と結論づけていました。その一方、2002年2月に、米国原子力規制委員会は、航空機が激突しても事故を拡大させないことを目的として全電源喪失に備えた対策を義務化し、行政命令としています(これは行政命令の条項から「B5b」を称されています)。この「B5b」に基づいて2006年にまとめられた指導文書によれば、米国内の原発104基を対象に、全電源喪失事故に対応するために持ち運べるバッテリーや圧縮空気のボトルなどの配備、ベント弁や炉心冷却装置を手動で操作する手法の準備などが義務づけられています
(以上はhttps://www.asahi.com/special/10005/TKY201201260723.html:朝日2012年1月27日デジタル版による)。

なお、上記の朝日の記事によれば、これらの米国で義務化された対策に関して、当時、日本の原子力保安院は米国側による説明を受けており、2008年までに研究していたにもかかわらず、電源喪失を現実的な危機と考えず想定外として国内の電力会社に伝えていなかったとされており、これらの対策が採られていたならば、福島第一原発事故による被害の拡大を防げた可能性があると、東電や政府関係者は指摘しているとされています。

米国における原発のテロ対策の現状については、日本原子力研究開発機構(JAEA)が2009年12月に「原子力施設の航空機攻撃に対する米国の対応(2001年9月11日以降)」と題して短いレポートを公表しています。その内容は以下の通りです。
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_14-04-01-34.html

『原子力施設に対する妨害破壊行為を防止するための障壁、侵入対策、出入管理、通報連絡等、統合的なセキュリティ・システム措置が導入されている。加えて、原子力施設の設計で使われる深層防御哲学では、プラントの安全性を確保するために重複した独立システム系統を要求している。原子力エネルギー協会(NEI:原子力エネルギー及び原子力技術産業に関する米国の政策機構)が2002年に紹介した電力研究所(EPRI)のコンピュータ解析では、耐震性、気密性などに関する安全設計基準を考慮すると、航空機攻撃に対して十分な安全性が確保されるとしている。しかし、大型商用旅客機が原子力発電所の設計基礎脅威(DBT)となるとは想定しておらず、プラント設計上特別考慮すべき事象とはなっていなかった。このため2009年2月、原子力規制委員会(NRC)は、原子力設計の新規建設に関しては航空機テロによる直接的攻撃を考慮した環境および公衆の安全性の確保を設計上に求めている』

上記の説明からは、現時点において、大型航空機によるテロ攻撃に対して実際にどのような具体的な対策がどの程度講じられているかは定かではありません。
 ただ、上記の説明において「プラントの安全性を確保するために重複した独立システム系統を要求している」と記されていますが、この「重複した独立システム系統」というのは日本におけるいわゆる「特重施設」のような施設のことを意味しているのではないかと推測されます。しかし、この「独立システム系統」が現時点において、実際に米国の現存する原発にどの程度設置されているかは、またこのシステムの設置がすべての原発に関して義務化されているのかは、定かではありません。

また、米国には約100基の原発が存在しているものの(この他に二カ所で建設中:アメリカ合衆国の原子力発電所 - Wikipediaより)、いずれも上記の2009年2月のNRCによる決定以前に建設されたものであるため、建設中のものは除き、現存する原発はいずれも設計の時点においては大型航空機による直接攻撃は考慮されていないということになります。

米国の場合、9・11以後、原子力関連施設における警備体制、テロリストの入国を阻止するための空港などにおける検査・警備の体制や国内における治安体制が格段に強化されていることは確かであろうと考えられますが、航空機によるテロ、航空機の墜落による被害の防止・軽減のための対策が実際にどの程度具体的に講じられているについては情報がほとんどありません。たとえば、原子炉を守るためのより確実の対策の一つは、欧州で実施されている対策、すなわち原子炉の格納容器を二重に設けることであると考えられますが、米国の原発で実際に欧州におけるこのような対策あるいは原発施設建屋の強度を改善するための類似の対策がどの程度実行されているかは定かではありません。また、米国の場合、上記のようにいわゆる「特重施設」のような施設の設置が求められているとされていますが、その具体的な内容は不明です。

一方、米国における原発のテロ対策に関する評価は以下に示すように必ずしも一様ではありません。たとえば、米テキサス大学が米国防総省の要請に応じて2013年8月にまとめた全米の104基の商用原子炉と研究用原子炉3基に関する報告書は、大がかりなテロ攻撃に対処する防御策が不十分であり核物質の盗難や炉心溶融につながりかねない妨害脅威にさらされ続けているとする結論を下しています。具体的には、太平洋・大西洋沿岸に位置する原発における海上からの攻撃への防御に関する規定が欠落している、NRCや国防総省が作成した防御策は依然として5~6人による攻撃しか想定していない、施設ごとに対策にばらつきがある、原発で働く従業員による妨害行為の懸念への対応を強化する必要がある、テロに対する統一的な防御策を導入すべきである、原発運営企業が対処できないテロ対策の準備には連邦政府が資金援助すべきであるなどと指摘しています。この報告書に対してNRCの報道担当者は「報告書の内容はNRCと政府が同時多発テロ後に打ち出した安全対策の繰り返しであり新味がない」とする声明を発表し、「原子炉のテロ対策などは強化されており、脅威に対する備えは十分に構築されている」と強調していたと報じられています
(CNN:2013年8月18日デジタル版CNN.co.jp : 米原発に大規模テロ対策不在などの警告 規制委は反論 - (1/2)による)。

(3)日本における航空機テロ・航空機墜落に関する対策

日本の場合、原子力規制員会をはじめ政府の関係機関、電力会社などが情報をほとんど公開していないため、航空機テロあるいは航空機の墜落に関する対策の実態は、いわゆる「特重施設」についてきわめて大ざっぱな説明がなされていること以外は、市民にとっては実施的に不明であると言わざるを得ません(特重施設については2022年2月の第102回脱原発市民ウォークの案内に掲載した「原発のテロ対策は信頼できるのか(その一)」で説明しておきました)。

「特重施設」に関しては、2016年6月15日に、原子力規制委員会の田中俊一委員長(当時)は「(テロなどで炉心に著しい損傷が起きた場合に格納容器の破損による放射性物質の著しい放出を抑制するための施設としての)特定事故等対処施設(特重施設)に関して審査を厳密に実施している」と説明したうえで、「テロの問題については、情報公開によってテロの危険性がよけい高まるということもあり、特重施設の審査については非公開でやっている」「(審査を厳密に行っていることについては)お任せいただくしかない」と述べています。また、田中委員長はさらに航空機テロや航空機の墜落に関して、「航空機落下や意図的な衝突によっても原子炉が安全に止まって冷却機能が維持されることについては、(特重施設に関する)基準への適合を求めている。(ただし)どういう飛行機がどのくらいの確度でどのくらいのスピードなどといったことは申し上げられない)としています(日本の原発はテロに対する防御が甘すぎる | 安全保障 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net) 東洋経済1016年6月19日)。

このような日本の実態に関して、前述の2016年6月14日に開催された前述の原子力資料情報室による原発とテロをテーマにした公開研究会において、後藤政志氏(元東芝・原子炉格納容器設計者)は航空機テロ・航空機墜落に関して以下のように述べています。

『問題は航空機衝突の事故は(衝突する)確率でおさえていることであり(一千万分の1回/炉・年以下)(1基の原子炉を1年間稼動させた場合に衝突が生じる確率が一千万分の1以下)、このリスク確率以下であれば評価する必要がないとされていることである。「テロ」の場合はこのような計算はできない。違う方法で計算さいているはずだが、実際にやっているかどうかは疑問』。

また、同氏は上記の研究会において、高浜原発を例に挙げて「高浜1号機と2号機は新規制基準の適合性検査に合格しているのだが、3・4号機と違って、原子炉の上にコンクリートの遮蔽がない。頭は鉄板だけで、航空機の落下もしくは激突には耐えられないと心配されている。ヨーロッパの基準では衝突する航空機の衝撃を緩和するために格納容器を二重にしているのに高浜1・2号機はたった鉄板一枚である」と、日本では原子炉建屋が構造的に脆弱な原子炉が存在していることを述べています。このような構造的に脆弱な原子炉の場合はたとえ特重施設が設置されていても炉心付近が破壊されてしまい何の役にも立たないのではないかと考えられ、高浜1・2号機以外にも構造的に明らかに脆弱な原発が他にも少なからず存在しているのではないかと懸念されます。とくに、意図的であるか否かにかわらず、航空機の墜落という問題が視野に入れられていなかった、早い時期に建設された原発の場合は、このような懸念が存在しているものと考えられます。

一方、これまでに述べたように欧州では格納容器を二重にしている例が見受けられ、また9・11同時多発テロが自国で起きたこともあって米国でもそのような例が存在しているのではないかと推測されますが、日本の場合、9・11以後にあるいは福島原発事故以後に、電力会社が自社の原発の格納容器を二重にしたという例は耳にしたことがありません。また原子力規制員会が格納容器を二重にするよう求めたという例も、あるいは構造的に脆弱な原発に関して構造を強化するための工事などの対策が講じるよう命じたという例も、聞いたことがありません。この意味からも、航空機テロ・航空機墜落に対する対策は欧米に比べて非常に遅れているのではないかと考えざるを得ません。

日本の場合、設計段階から航空機の激突が具体的に考慮されていたことが知られている唯一の例ではないかと思われるのは、青森県六ケ所村の使用済み燃料再処理工場です。六ヶ所村の再処理工場の場合、近くに(約28キロ:マッハ1程度の速度で飛ぶ戦闘機の場合は1分半程度の距離)日本で唯一の米空軍、航空自衛隊、民間空港の三者が使用する三沢飛行場が存在しており、また約10キロ離れたところに対地射撃訓練場があるため、また原発関連の最重要施設であるため、米国のサンディア国立研究所に委託して小型軍用機であるファントムを実際にコンクリート壁に激突させる世界唯一の実験を行いその結果を設計に反映させているとされています(前記の中国新聞2003年3月23日の記事)。
しかしながら、再処理施設周辺上空への航空機の飛行回数は、この施設の建設工事の準備段階におけるアジア航空の調査では年間4万2000回超に達していたとされていること
http://www.shomin-law.com/essayRokkashosaishorikojokokukitsuirakutaisaku.html:核燃料サイクル阻止1万人訴訟の弁護士のサイト)、また実際に三沢基地の米軍戦闘機がトラブルを起こして青森空港に急きょ着陸したなど最近の事故例も実際に存在していること、再処理工場以外に、全国の原発から集められた使用済み燃料の保管施設、ウラン濃縮施設、再処理後に生じる高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、MOX燃料加工施設など通常の原発よりも格段に複雑な構造を有する原子力関連施設であることを考えるならば、戦闘機を激突させる実験を行ったとはいえ、果たして中・大航空機の激突に耐えられるかは多分に疑問ではないかと思われます。

再処理工場に関してはフランスのラ・アーグ再処理工場の場合は対空ミサイルによる航空機テロ・航空機墜落への対策が講じられていることを先に述べましたが、六ヶ所村の再処理工場の場合、上記のように設計段階における対策は講じられているものの、航空機テロをはじめとしたテロへの対策に関して、再処理工場という最重要施設であることを意識した、通常の原発では講じられていない何らかの特別な対策が講じられているかどうかは判然としません。

〈米軍機が頻繁に原発施設付近・上空を飛行している日本〉

以上に述べたように航空機テロ・航空機墜落に関する日本の対策は不明な点だらけなのですが、見落とすことができない特に重要な日本特有の問題は、日本列島上空の狭い空域に、民間航空機、航空自衛隊の軍用機、さらに米軍の軍用機が頻繁に飛行しているということです。先にドイツでは戦後東西ドイツ間の緊張のために頻繁に原発施設上空を軍用機が飛行していたこともあって、早い段階から原発施設への航空機の墜落に対する対策が考えられていたことを記しましたが、日本の場合、実際にこれまでに沖縄をはじめあちこちで現実に米軍の軍用機が墜落したり不時着するなどの事故をしばしば起こしていますが(ベトナム戦争中に米軍の大型爆撃機が嘉手納基地に墜落して付近の住宅などに大きな災害をもたらした大事故、最近では沖縄国際大学への大型ヘリの墜落事故など)、米軍機の飛行に関して特に原発施設との関連で見過ごせないのは、現在でも原発施設の近く、周辺あるいは上空をしばしば米軍の軍用機が飛行しており、時には事故・トラブルを起こしているという事実です。なかには以下に記すように、原発の極めて近くに墜落した例も存在しています。

・伊方原発近くでの米軍ヘリ墜落事故

1988年6月25日の午前10時過ぎ、岩国基地を発進した米海兵隊のヘリコプターCH53が愛媛県の佐田岬半島に墜落しました。墜落地点は同半島に位置する伊方原子力発電所の2号機から直線距離で800メートル、乗員7名全員が死亡。濃霧での有視界飛行中に高度を下げ過ぎたとされていますが、「原発を目標にした濃霧の中の飛行訓練中の事故」である可能性が高いとされています。墜落したヘリの重量は約15トン。事故現場には土地所有者である地元の農民だけでなく、報道陣や国会議員に対しても、「日米安保条約の地位協定による日米合同委員会の合意事項による」との理由で立ち入り禁止とされました。当時、愛媛県と伊方町は、日本政府と在日米軍に対して「原発上空の飛行禁止」を要請しています。その後、国は1999年の日米両政府の合意で米軍機についても「原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を回避する」としていますが、合意は守られていません。
 四国上空は沖縄県の普天間飛行場と山口県の岩国基地の間に位置しており、また在日米軍が日本国内に設定している飛行訓練コースの一つである「オレンジルート」と称されている訓練コースの一部となっています。このため、愛媛県内では2013年3月以降、「欠陥機」との指摘もある新型輸送機オスプレイも相次いで目撃されていますが、伊方原発周辺では以下に示すように米軍機は墜落事故や不時着・緊急着陸という事態を頻繁に起こしています。

・1979年12月31日:八幡浜市内の保内中学校校庭にヘリコプター2機が不時着陸
・1981年3月1日:保内中学校校庭に、攻撃ヘリ(普天間)3機が不時着陸
・1988年6月25日:原発から約1キロの山中に大型輸送ヘリ(普天間)が墜落
・1989年6月12日:西予市野村町の野村ダムの近くの山中にジェット戦闘攻撃機が墜落
・1994年10月14日:高知県の早明浦ダム近くの山中に、ジェット攻撃機が墜落。
乗員2人が死亡
・1999年1月20日:高知県沖の土佐湾にジェット戦闘攻撃機が墜落
・2000年4月18日:伊方町井野浦の海水浴場に攻撃ヘリ1機が不時着。
一緒に飛行していた2機も着陸
・2012年3月12日:松山市の松山空港に、大型輸送ヘリ4機が緊急着陸
(以上は「1988年佐田岬半島米軍ヘリ墜落事故 - Wikipedia」と2013年8月26日付け、 朝日新聞デジタル:原発上空、米軍機は飛ぶな 愛媛県、禁止の法制化求める - ニュース特集 (asahi.com)などによる)

上記のように伊方原発に関してだけでも米軍機による多数の事故・トラブルが起きていることから、国内のすべての原発付近あるいは原発関連施設付近で起きた米軍機による事故・トラブルの件数はかなりの数に達しているものと推測されます。したがって日本の場合は、航空機テロ・航空機墜落に関する対策を講じるに際しては、まず米軍機の墜落や事故に関する対策を念頭に置くことが現実的に必要とされていることは明らかです。

以上、原発に対する航空機テロ・航空機墜落に関する対策がどのように講じられているか、
欧州諸国・米国・日本における状況について簡単に説明しましたが、テロ対策に関する情報が非公開とされている例が大半であるため、断片的な事実を記したに過ぎません。

【まったく不十分な原発のテロ対策に関する情報公開】

これまでにも記しましたが、日本の原子力規制委員会は「テロの問題については、情報公開によってよけいテロの危険性が高まることもあり、非公開で(審査を)やっている、お任せいただくしかない」などとしているため、テロ対策がどれだけ有効かは秘密に包まれたままです。このような実情は大なり小なり日米独などで共通しているのですが、佐藤暁氏(元ゼネラルエレクトリック社原子力事業部)が「米国と比べても日本の行政文書は黒塗り(部分)が多く、きわめて情報公開が乏しい」と指摘していることからも(前述の原子力資料情報室第506号、2016年8月1日などによる)、日本は特に情報の秘匿が著しいということができます。

確かにテロ対策に関する情報の中には公開できない類のものがあるかもしれません。しかしながら、情報の公開がほとんど行われないならば、電力会社が果たしてどの程度安全性向上の対策とそのためのテロ対策に実際に取り組んでいるのか否か、国民は判断を下すことができません。このため情報公開を行わないことが、国民の無関心を招き、そのため場合によっては原発の安全性に対してマイナスに作用することになりかねません。原発を稼働させる限りは、公開することに様々な問題点が存在しているとしても、国・原子力規制委員会は、国民の生命の安全という観点から、できる限り公開に努める義務があることは明らかです。この意味から、私たち市民は今後も原発のテロ対策の実情とその行方について関心を持ち、情報の公開を求めていかなければなりません。

2022年6月7日

《脱原発市民ウォーク in 滋賀》呼びかけ人のひとり:池田 進
 大津市木下町17-41 
 TEL:077-522-5415 
 メールアドレス:ssmcatch@nifty.ne.jp

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脱原発 市民ウォーク in 滋賀 6月の予定(更新版)

2022-06-04 09:41:54 | 記事
老朽原発このまま廃炉!
 
◆ 第104回 脱原発 市民ウォーク in 滋賀 ◆


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2022年 6月11日(土)13:30  JR・京阪膳所駅前集合  

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集会後、御堂筋デモに出発



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