21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

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能登半島地震で露呈した 原子力防災計画の欠陥を 置き去りにして原発推進に突き進む 岸田政権

2024-06-18 12:12:05 | 記事
《第122回脱原発市民ウォーク・イン・滋賀のご案内:2024年6月》

雨の季節になりましたが、次回の脱原発市民ウォークを6月22日(土)におこないます
(午後1時半JR膳所駅前広場に集合)。どなたでも自由に自分のスタイルで参加できます。
ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。

■■能登半島地震で露呈した原子力防災計画の欠陥を置き去りにして原発推進に突き進む岸田政権
■■原発再稼働の促進:運転期間20年延長の容認:原発の新増設を盛り込む次期エネルギー基本計画


今年の元旦に起きた能登半島地震では、いたるところで道路が寸断され、家屋・建築物などが倒壊したため、住民が安全な場所に避難することも自宅や自宅以外の建物内に留まることも容易でない事態が生じました。震源地はかつて原発の建設が計画されたことがある能登半島先端の玖珠市であり、志賀町に設けられている北陸電力の志賀原発は、大事故にはいたらなかったものの様々なトラブルに見舞われました。地震によりこのような深刻な事態が生じたため、志賀町が震源地であったならば、あるいは玖珠に原発が設けられていた場合は、大規模な原発事故が起きた際、住民は避難することも屋内に退避することもできない極めて危険な状態に陥りかねないことが明らかになりました。大地震に見舞われ原発の大事故が起きた場合、石川県が講じている原子力防災対策は大きな欠陥を有しており、実効性に極めて乏しいものであること、すなわち原子力防災対策は住民が事故の被害を避けることに役立たないものであることが明らかになりました。

日本の原発の大半は海岸線に沿った地形が険しく道路事情に恵まれない地域に立地されています。このため、原発が立地されている地域が激しい地震に見舞われたならば、大半の地域はこのたびの能登半島地震で起きたのと同じような事態に、すなわち住民は避難も屋内への退避もできない事態に陥る可能性が大きいと考えられます。このことは大地震により原発の大事故が起きたならば、自治体による原子力防災対策がほとんどの場合役に立たず、住民は避難も退避もできず大量の放射能に曝される危険性が極めて大きいことを意味しています。このため、このたびの能登地震は原発防災計画が実効性に著しく欠けるものであることを露呈させ、原発推進の動きに冷や水を浴びせるものとなりました。

この意味から、原発を保有し活用しようとする限りは、本来であれば、政府は自らの責任において、能登地震を機会に、原子力防災計画のあり方に関して徹底的な見直しを行うべきであると考えられます。しかしながら、これまでのところそのような動きは、政府機関にも、大手電力会社にもほとんどありません。また、大地震を経験した石川県や東電の原発が存在している新潟県などいくつかの自治体を除き、原発が立地されている自治体にも具体的動きほとんどありません。原子力防災計画は原発が立地されている自治体が策定するものとされており、国の関係機関(内閣府の原子力防災担当相など)は自治体による計画策定に際して当該の自治体に助言や支援を行うことに留まっています。一方、原子力防災に一番関連が深いはずの原子力規制委員会のこのたびの能登半島地震に関する対応は極めて消極的であり、能登地震で生じた事態に対して、「原発事故が起きた際の退避や避難の時期や期間については今後見直しの検討を行うけれども、(道路の寸断や建物の倒壊などの)自然災害そのものへの対策は規制委員会が対象とすべき範疇には入らない」としているだけであり、能登地震で露呈された、事故がいったん起きたならば場合によっては住民が避難も退避もできない危険な事態が生じる可能性が明らかに存在しているという現行の原子力防災対策の致命的欠陥を是正することに取り組もうとはしていません(このため、東電柏崎苅羽原発が立地されている新潟県の花角英世知事は、原発事故が起きた際の屋内退避のあり方に関して、能登半島他地震の教訓を生かして見直し、道路の改修などに関して新潟県への支援を行うよう、規制委員会の事務局である原子力規制局の長官に要望しています:2024年6月6日東京新聞デジタル版)

このように政府は能登半島地震で露呈した原子力防災対策の深刻な欠陥を無視し放置していますが、一方において、原発推進のための政策を強力に推し進めようとしています。すなわち、1)福島原発事故の後運転が停止れている原発の再稼働を強力に促進すること、2)原則40年とされている原発の運転期間を20年延長することにより運転期間を実質的に60年とすること、3)福島原発の大事故後「原発への依存度を可能な限り最小限に留める」としていたエネルギー基本計画における大原則を投げ捨て次期のエネルギー基本計画に原発の新・増設や建て替えを盛り込むこと、この三つの政策を強力に推し進めようとしています。以下に政府による上記の三つの原発推進政策の現状とその問題点について説明します。すでに皆さんも承知しておられる事柄も多いかと思いますが、原発推進の動きに反対するための一助にしていだければと思います。

Ⅰ:運転休止中の原発の再稼働促進による原発利用の推進

 東日本大震災が起きた時点では国内に54基の原発が存在していましたが、震災後には、大事故を起こした東電福島第一原発と東電福島第二原発の10基に加えて、7つの原子力発電所の11基の原子炉が廃炉とされることが決まっており、このため現存する再稼働の対象となる原発は33基となっています。この33基という数値は、原子力規制委員会による再稼働の審査に通るためには電力会社は地震や津波のなどに関する安全対策に1基につき数千億円を投じる必要があり、そのために発電能力や今後運転できる年数などの経済的観点から原子炉の選別が行われたことの結果です。

これら33基の原発の内訳は以下のとおりです(2024年5月現在)。
現時点で稼働済み原発(合計12基):関電の美浜原発3号機、関電美浜原発の1~4号機、関電大飯原発の3,4号機、四国電力伊方原発3号機、九電玄海原発の3,4号機、九電川内原発の1,2号機
現時点で再稼働の基準をクリアしており近い将来再稼働されることになるものと予想される原発(合計5基)::東電柏崎苅羽原発6,7号機、東北電力女川原発2号機、日本原電東海第二原発、中国電力島根原発2号機3号機、
再稼働申請中あるいは未申請の原発(合計16基):北海道電力泊原発1~3号機、東電柏崎苅羽原発1~5号機、東北電力東通原発発1号機、東北電力女川原発3号機、中部電力浜岡原発3~5号機、日本原電敦賀原発2号機
  
上記のようにすでに再稼働されている原発が12基、これに加えてさらに5基が近い将来再稼働されると、
合計17基もの原発が福島原発事後に再稼働されることになります。すなわち福島原発事故が起きた時点で存在していた54基の原発のおよそ3分の1もが稼働されることになります。

再稼働を申請中の原発(北海道電力泊原発1~3号機、日本原電敦賀原発2号機、中部電力浜岡原発など)のうち、果たして何基が再稼働を認められることになるかは今のところ定かではありません。しかしながら、日本原電の敦賀原発2号機のように原発敷地内の断層が動く可能性を巡って規制委員会側と電力会社の見解が分かれて審理が長引き中断されている例があるものの、北陸電力志賀原発2号機や東北電力東通原発のように「将来断層が動く可能性がある」とした専門家会議の結論が覆り、「動く可能性はない」として電力会社の主張を規制委員会が了承したという例も存在しています。このため、申請中の原発の大半は最終的には再稼働を許されることになるのではないかと考えられます。また、未だ再稼働の是非が定まっていない上記の敦賀2号機のような例は存在するのですが、再稼働を申請して最終的に不許可になった例はこれまでに存在していないのではないかと思われます。このため、将来的には合計20基以上、場合によっては30基近くが再稼働されることになる可能性が考えられます。原発推進を促進するための最も容易で確実な手段は原発の新増設や建て替えではなく再稼働を促進することであることは明らかです。このため、政府は今後再稼働に向けて様々な対策や手段を強力に推し進め、場合によっては原子力規制委員会に何らかの圧力をかけるという事態も生じるのではないかと懸念されます。

Ⅱ 運転期間の延長:原則40年とされている原発の運転期間を実質的に20年延長し60年とすることによる原発利用の推進

《福島原発事故後の原発の運転期間に関する経緯》
東京電力福島第一原発の事故後、原発の運転期間は「運転開始から原則40年」と決定されました。これは福島原発の事故後、国内で原発反対の世論が強まる中、当時の民主党政権が事故の翌年、米国における例などを参考に原発の運転期間を原則40年と定める法改正を行ったことによるものです。この法改正は運転期間を明確に限定することにより「脱原発」の動きを推進することを狙ったものでした。

《運転期間20年延長の制度が導入された経緯と例外的とされていた運転期間延長の実態》
しかし、その後、自民党が政権に復帰すると、再稼働の見通しがつかないという状況の中で運転開始から40年が過ぎた原発を順次廃炉にしていくと電力供給に不安が生じる可能性があると懸念する政府の下で、原子力規制委員会が安全であると認めれば1回だけ20年間の運転延長を認めるという制度が設けられました。当時、政府は「運転期間の20年延長が認められるのは極めて例外的」としており、規制委員会の田中俊一・初代委員長も「運転期間の延長は相当困難」としていました。つまり、運転期間延長の申請があっても、認められることはほとんどなく、例外的にしか延長は認められないものと考えられていました。ところが、現時点では、これまでに20年間の運転延長を申請した4つの原子力発電所の7基の原発(関電美浜原発3号機、関電高浜原発1~4号機、日本原電東海第二原発、九州電力川内原発1号機と2号機)は、いずれも一年程度の審査を経て運転期間の20年延長を認可されています。

《形骸化している「運転期間は40年」という原則》
規制委員会による運転期間延長の審査は原子炉容器の点検や各種設備の劣化程度の評価などに審査項目が限られているため、再稼働に関する審査よりもハードルが低いとされています。このため、電力各社が(再稼働のために巨額の費用を投じた原発に関して)運転期間の延長も申請するのが通例になっています。その結果として、これまでの運転期間延長の申請は上記のようにすべて認められています。このような現状を見るならば、今や「運転期間は原則40年」という方針は完全に形骸がしていると言わざるを得ません。この現状に関して、規制委員会の山中伸介現委員長は「(運転期間の延長が)例外的かどうかにコメントするつもりはない」としています(2024年5月30日付け朝日新聞による)。上記の運転期間の延長が認められている7基の原発の外に、すでに再稼働の基準をクリアしている原発と審査中である原発は合計17基存在していますが、これらの原発の大半はいずれ運転期間の延長を認められることになるものと予想されます。また、今後10年で運転開始から40年を過ぎる原発が14基現れることになりますが、これらの原発もすべて20年間の運転期間延長を認められることになるのではないか考えられます。

《運転が休止されていた期間は運転期間に算入しないという、さらなる運転期間延長策》
また、運転期間を一回に限って20年延長することを認めるという制度以外に、2023年5月に、岸田内閣が原発推進のために一連の関連法規を改定する際(電気事業法や原子炉等規制法、原子力基本法など5本の関連法:注参照)に、規制委員会による審査などにより運転が休止されていた期間は運転期間に算入しないことが決定されています。この措置に対して規制委員会の一人が、「より安全な側に立って考えるべきだ」として反対していました。しかし、規制委員会はこの措置を受け入れています。この結果、60年を超す運転が可能になりました。運転停止期間が実際にどの程度のものになり、その結果、60年を超えてどの程度延長されることになるかは現時点では定かではありません。
(注:この改訂による新たな法律は「GX(グリーン・トランスフォーメーション)脱炭素電源法」として来年6月に施行されます)

《原発の運転期間の延長を押し進めて、運転期間を実質60年とすることを主導したのは経産省》
「動かすことができる原発は最大限に活用したい」として原発の運転延長を実質的に押し進めてきたのは岸田政権下の経産省です。福島原発の大事故後、原発の再稼働が国の思惑通りに実現しない事態を前にして、経産省が窮余の策として運転期間延長の推進を打ち出したのです。2021年に国が改訂した現行の「第6次エネルギー基本計画」では、2030年度時点における電源構成における原発が占める割合を20~22%に定めていました。しかし、現時点ですでに再稼働している原発は12基に過ぎず、2022年度の実績では、総発電量に占める原発の割合はわずか5.6%に留まっています。経産省は「電力安定供給のために、運転期間の延長により少しでも見通しが立つことにより安心感がもたらせられる」としていますが、運転期間の延長は原発推進のための暫定的な手段であり、運転期間延長の本当の狙いは、その間に再稼働をもっと急速に進行させることであり、さらには原発の新設・建て替えなどにつなげることであると考えられます。

《運転期間が60年を超えてさらに延長される可能性》
再稼働の促進や原発の建て替え・新増設などに関する見通しが立たない場合は、さらに運転期間を延長しようとする動きが出てくるかもしれません。これまで運転期間を80年まで延長した例は世界に存在していませんが、最近になって、米国で初めて最長80年の運転を認められた原発(フロリダ州のターキーポイント原発)が出現していることが報じられています(共同通信:2024年5月5日)。日本の原子力規制に関する方針は、大筋において米国における方針を踏襲してきたものであることを考えた場合、今後日本でも運転期間を60年からさらに大幅に延長する動きが出てくる可能性は否定できません
(注)米国では運転期間は40年と定められていますが、これは技術的な理由ではなく公益事業の独占を禁止する観点などからの規定であり、規制当局の審査に合格すれば20年の延長が認められ、延長の回数に制限はないとされています。資源エネルギー庁によると、米国で60年を超える運転延長を認められた原発は94基あり、このうち6基は80年 を超える運転も認められているとのことです。ただ、古い原発は経済性の観点から相次いで廃炉になっており、実際に60年を超えて運転するかは電力会社の判断になるとされています。またイギリスとフランスの場合は、運転期間に制限はないものの、10年毎に審査を行うとされています(この運転期間に関する米国の事情は2022年11月7日NHKの「原発の運転延長 なぜ今?リスクは?」と題された報道によります)

《運転期間延長による老朽化の進行に起因した事故の危険性を認めない司法の判断》
運転期間の20年延長が認められているいわゆる「老朽化原発」の安全性を争点とする裁判は福井県内外で起こされています。しかしながら、運転期間の延長による老朽化の進行により事故が起きる危険性が存在しているために運転を認めることはできないとする判決がこれまでに下されたことはありません。たとえば、福井県にある関西電力の美浜原子力発電所3号機と高浜原発の1号機~4号機について、住民らが老朽化の進行により事故が生じる危険性があるとして仮処分による運転中止を求めて提訴していましたが、福井地方裁判所は、2024年3月29日、老朽化した原発の危険性に関して、「経年劣化を保守的に想定した上で耐震安全性評価を行っていて、規制委員会の判断は合理的だ」とする判断を下し、住民による運転停止の仮処分の要求を退けています。これは一審の判決であるため、最終的にどのように決着するかは定かではありませんが、今後、同様の趣旨の裁判でも、運転期間の延長による事故の危険性は否定されることになるのではないかと懸念されます。この裁判結果を受けて、官房長官「地元の理解を得ながら再稼働を進める政府方針に変わりはない」としています。

Ⅲ:東電福島第一原発事故後から掲げられてきた「原発への依存度を最小限にとどめる」という大原則を投げ捨て、原発の新増設・建て替えなどの原発推進策を正面に掲げることになるものと予想される次期(第7次)エネルギー基本計画

【次期エネルギー基本計画に関する経済産業省の有識者会議が5月に開始されました】
「エネルギー基本計画」は2002年に制定されたエネルギー政策基本法に基づき経産省が中心になって策定されます。現行の計画は2021年に決定された第6次エネルギー基本計画ですが、基本計画は少なくとも3年に一度見直され更新されることになっているため、今年は計画見直しの年に当たっています。このため見直しに向けての議論が去る5月15日、経済産業省の有識者会議で始まりました。第6次基本計画が決定された2021年10月当時の政権は第一次岸田内閣であり、岸田首相は原発推進を表明していませんでした。しかし、その後、第二次岸田内閣は「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」を通じて、原発の新設・建て替え(リプレース)、次世代型原発の導入など、今後は原発を推進する方針を明確に打ち出し、閣議決定を経て関連法規を改定しました。
東電福島原発の事故後、2014年の計画改定に際して「震災前に描いてきたエネルのギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」と宣言し、エネルギー政策を再構築するための出発点として、この基本方針はその後の計画改定に際して一貫して維持されてきました。しかし、上記のように、岸田政権はこの方針を反故にしてしまいました。原子力基本法など一連の関連法規を改正することにより、原発推進に向けて原発に関する基本方針を「最大限に活用する」と大転換し、福島原発事故後の歴代政権がタブー視してきた原発の新増設にも踏み込んでいます。このため、このたび経産省の有識者会議における議論を通じて決定されるエネルギー基本計画の内容はこれまでとは大きく異なり、原発推進を正面に掲げたものになることは確実です。第6次基本計画では、原発は「可能な限り依存度を低減する」と明記する一方で、「必要な規模を持続的に活用する」と新たに明記されていました。しかし、新基本計画では「依存度を可能な限り低減」という文言はなくなるものと考えられます。

【現行の第6次エネルギー基本計画(2021年から3年間)の内容と2022年度、2023年度の実績について】
 新たなエネルギー基本計画である第7次エネルギー基本計画を取り巻く状況や新基本計画に関する予想される内容や問題点について記す前に、現行の第6次エネルギー基本計画(2021~2024年)の内容とその実績(2021年度と2022年度)などについての説明を以下に記します。第6次計画はCOP26(国連気候変動枠組み条第26回約締約国会議)より以前に策定された計画です。
 現行の第6次エネルギー基本計画は2021年10月の閣議で決定されました。この計画では2050年に地球温暖化ガスの排出量を実質ゼロにするというCOPの目標を念頭に置いて、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる電源を現状から倍増させること目指すことにより、再生可能エネルギーを「主力電源」化することを「最優先の原則」で取り組むとされていました。一方、原発は脱炭素の電源として重視し再稼働を進めるとされていたものの、原発の新増設の方針は(自民党内など様々な関係者から求める声がありました)第6次基本計画には盛り込まれませんでした。第6次計画における総発電量に占める電源別の割合(%)(実績と2030年度における目標値)は以下のとおりです。



(注1) 再生可能エネルギー:内訳は太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱。第6次計画の2030年度目標は風力5%、太陽光14~16%、水力11%、バイオマス5%、地熱1%。
(注2) 再生可能エネルギーの中で伸びが期待される風力と太陽光の実績:太陽光は2020年度に9.3%だったが2021年度は9.9%、風力は2020年度は0.88%だったが2021年度は0.85%に留まっている。
(注3)原子力の30年度目標を達成するには、原発36基(建設中の3基を含む)のうち30基程度を稼働させることが必要だが、実現は困難な状況にあると言わざるを得ない。
(注4)上記の各目標の外に、第6次計画では総発電量を省エネにより1割程度削減するとされている。
(注5)第6次基本計画では、原発の活用に関して「万が一事故が起きた場合は、国は関係法規に基づき、責任を持って対処する」とされている。
(注6)第6次基本計画の2021年度、2022年度実績は環境エネルギー政策研究所のデータによる

上記の表に示した数字から分かるように、第6次エネルギー基本計画(2021~2024年)は2021年度と2022年度の実績を見る限り、電力構成の内容に大きな変化はありません。すなわち原発への依存度は5%前後に留まっており、2019年の実績(6%)と大差ありません。一方、再生可能エネルギーの場合も、第6次基本計画において「再生可能エネルギーを《主力電源化》することを「最優先の原則」で取り組むとされており、脱炭素化の電源として重要視されているはずであるにもかかわらず、今後大幅に増やすべき太陽光+風力に関しては2021年度も2022年度も約10%台に留まっています(水力・バイオマス・地熱が将来的に大きく伸びるとは考えられません)。また第6次基本計画では、特に洋上風力発電は大量導入が可能として再生可能エネルギーの「切り札」と位置づけられているものの、風力は2021年度と2022年度は0.8%台に留まっています。また、地球温暖化の主な原因である化石燃料の場合も大きな変化は認められず、2019年度の実績76%(石炭32%+天然ガス37%+石油7%)に対して2021年度と2022年度は72%前後であり、その減少量がわずかなものです。すなわち、電源構成は2019~2022年度にかけて大きく変わってはいないと言えます。このように電源構成の変化のペースは遅いものであるため、このままでは2030年度の目標を達成することは、化石燃料・再生可能エネルギー・原発のいずれに関しても極めて困難であると考えざるを得ません。つまり、2030年度目標値はいわば「絵に描いた餅」に過ぎません。

【新エネルギー基本計画を取り巻く状況】
「原発は必要」の声が目立つ経産省の有識者会議
5月15日に開催された経産省の有識者会議(分科会長:隅修三・東京海上日動火災保険相談役)では、「脱炭素社会も実現に向けて、原子力を使わない手はないのではないか」「原発の新設・建て替えも含めた原子力技術の安全利用の拡大を強く要請する」という意見など、原発を巡る意見が相次いでおり、メンバーの大半は経済界や業界に詳しい学者が占めており、このため電力安定供給のために原発は必要との声が目立ったとされています(以上は2024年5月15日付け朝日新聞による)。

「原発の増設・建て替えは不可欠」とする電気事業連合会会長
電力会社の業界団体である電気事業連合会の会長に今年の4月に就任したばかりの林欣吾・中部電力社長は、5月17日の記者会見で、脱炭素の機運が高まっていることや地政学的リスクを挙げ、「原発への依存度を低減するという(エネルギー基本計画における)表現は削除してほしい」と明言したうえで、原発の新増設や建て替えの必要性を次期のエネルギー基本計画に明記することを求め、また国による財政的支援を必要とするという考えも示していました。また、同会長は新聞記者のインタビューに対して「既存の原発は安全性が確保できたら再稼働すべきだ。それだけでは足りないため、各新型原子炉を含めて原発が必要だ」と明言しています(2024年5月3日付け朝日新聞)。しかし、電力各社の姿勢は必ずしも一致しておらず、関電のように原発の増設・新設などに積極的な電力会社もありますが、原発の建設にはこれまでの倍あるいはそれ以上の多額の費用を要するために原発の新増設や建て替えなどに関しては政府による資金援助など欠かせないとする声も電力会社の間に存在しています。

【新基本計画は国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)の結果を反映したものでなければなりません】
 上記のように次期エネルギー基本計画に関して、早くも原発の積極的推進の声が関係者から上がっていますが、次期の基本計画は昨年(2023年)の11月30日~12月13日にアラブ首長国連邦のドバイにおいて開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の結果を踏まえた内容のものであることが必要とされるものと考えられます。
COP28の成果文書では、2050年までに世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑えることを目標としています。COPによる当面の目標の内容は「温暖化ガスを2035年に世界全体で2019年比で60%減らすことが必要である」とするものです(第6次エネルギー基本計画では、日本の目標は2030年までに2013年度比で46%削減するとしていました。このCOP28の目標に関しては、政府部内には、「あくまで世界全体で」ということであり、日本単独で目指す必要はないとする声もあるとされています。しかし、このような声は日本がCOPの目標を達成する自信がないために予防線を張ったものであろうと思われます)。

この目標に関連して合意文書には以下の事柄が盛り込まれています
1 化石燃料から脱却する。(初めてCOPで化石燃料を減らすことが明確に言及されました)。
2 再生可能エネルギーの設備容量(発電能力)を2030年までに世界で3倍にする。
3 原発の活用(COPの合意文書で気候変動の解決策の一つして原発の利用が初めて記載されました)

一方、COP28の会期中に、アメリカ政府が中心になって、気温の上昇を1.5度に抑えるためとして、2050年までに世界の原子力発電所の発電容量を3倍に増やすことを目指すとする宣言を発表しており、日本を含む20か国以上が賛同しています(2023年12月2日NHKのニュス:「COP28 米政府 世界の原発の発電容量3倍へ宣言 日本など賛同」)
(注)今年1月1日現在で稼働中の原発は世界で413基あり、全発電量の約10%を占めていますが、発電容量を現在の3倍にするには今後約1000基を新設することになります。しかしエネルギー分野の国際専門家グループは、5月5日までに、「過去のデータや現状からして実現不可能」とする分析結果をまとめています(以上は2024年5月5日付け共同通信による)

また、2024年3月21日には、ベルギーのブリュッセルでベルギー政府と国際原子力機関(IAEA)の主催で「原子力サミット」が開催され(日本からは日本原子力産業協会が参加)、「この会議はCOP28 の合意文書に原子力の活用が初めて盛り込まれ、他のエネルギー源とともに原子力の導入を加速させることを求めていることを受けて開催されるものであり、この会議は参加国の首脳に対してネット・ゼロの達成と持続可能な開発の推進における原子力の重要な役割について、その可能性を十分に活用するための国家計画も含め、ビジョンを共有する機会を提供する」という内容の開催趣旨が公表されています。しかし、原子力利用を活性化しようというこの原子力産業の動きに対して、世界の620以上の団体が共同で、反対声明を出しています(以上は原子力資料情報室通信2024年5月1日による)
COP28で脱炭素のための原発の活用が初めて合意文書に盛り込まれたことや、原発の大幅な推進に向けての米国を中心とした動きなどが次期エネルギー計画の策定に影響を与えることは確実であろうと考えられます。特にCOP28の合意文書に原発の活用が初めて盛り込まれたことは日本が原発利用を推進することの強い追い風になるものと考えらえます。しかし、一方においてこの合意文書に「脱化石燃料」ということも盛り込まれているために、化石燃料への依存度が極めて大きい(70%前後)日本は、脱化石燃料のための具体的方策を用意することを迫られることになります。また、再生可能エネルギーの発電量を2030年までに世界で3倍にすることが合意されているため、欧米などに比べて再生可能エネルギーの発電量が大きく劣っている日本は、再生可能エネルギーによる発電量を現状よりも大幅に増加させるために、風力、特に洋上風力発電による発電量を飛躍的に増大させるための具体的方策を講じることを迫られることになるものと考えられます。

【次期エネルギー基本計画に関する予想される問題点】
経産省が中心になって策定される次期エネルギー基本計画は2024~2026(あるいは2027年)を対象にしたものと予想されますが、以下に示すように次期基本計画には様々な問題点の存在が予想されます

1《原発利用の推進・最大限の活用》について
現在、「原発を最大限に活用する」ことを目指すGX脱炭素電源法に基づき、再稼働の促進と運転期間の延長を軸にして原発推進策が実行に移されようとしていますが、より積極的に原発を推進するために、次期エネルギー基本計画に「原発の新増設・建て替え」や「次世代原発の導入」という内容が盛り込まれることはほぼ確実です。しかしながら、原発の新増設や次世代原発の導入が実際にどの程度の実現可能性を有しているか、また2050年までに原発の新増設などが脱炭素化に実際どの程度に役立つのかは、さまざまな不確定要因が存在しているため明確でありません。疑問に思われる点が多々存在しています。

原発の新増設・建て替えや次世代型原発の導入の実現は長期間を要するため、2050年に地球温暖化排出量ゼロという目標の達成に大きく貢献する可能性は小さい
たとえば美浜1号機(廃炉作業中)の後継機設置に向けた調査に関して、福島原発事故で原発の稼働を中断した経験を有する関電の森望社長は、2024年1月に行った住民との意見交換会において、「原発の新増設・建て替えという次に段階に向けての検討を行うタイミングに来ている」と発言しています。しかし、原発を新設する場合、計画立案から実際に稼働させるに至るまでに15~20年近くを要します。すなわち計画立案を今開始しても完成し稼働させるには早くて2040年代前半~半ばごろにしかならないものと考えられます。一方、建設途中の原発も含めて全35基が稼働し、かつ運転期間を60年に延長したとしても、2040年代後半からは、運転期間が過ぎるなどの理由により稼働できる原発は急激に減り、2050年には10基程度に留まると予想されます(以上は2024年5月30日付け朝日新聞による)。すなわち現時点で再稼働されている原発の数(12基)と同レベルに留まることになりそうです。たとえ今から原発の新増設・建て替えの計画をスタートさせたとしても、これまでの2倍以上の建設費用を要すると考えられる原発を2040年代後半に至るまでにいったい何基建設できるかは定かではありません。このため、原発の新増設は長期的に安定したエネルギー源を確保するという点においては役立つとしても、2050年にカーボン・ニュートラルを実現するという脱炭素化の目標の達成に大きく貢献するとは考えられません。すなわち「脱炭素化のために原発を活用する」という看板は偽りであり、原発の新増設・建て替えという方針は、2050年までに脱炭素化を実現することを目的としたものというよりは、エネルギー安全保障の観点から、より長期的に確実性の高いエネルギー源を確保することを目的としたものであると考えられます。

次期基本計画で設定される原発に関する目標がどのようなものなるかは定かではありませんが、例えば第6次基本計画と同様に電力構成における割合が20~22%程度に設定されるとした場合、2021年度と2022年度における再稼働済みの12基の原発による実績が全発電量の5~6%に留まっていることを基本にして考えるならば、単純計算で現在の3倍程度の原発すなわち36基程度をさらに稼働させなければ目標は達成できないことになります。現時点で再稼働を申請中の原子炉は合計16基ですが、これらの原発がすべて稼働された場合でも目標に達成することは不可能です。一方、原発の新増設は、計画されても稼働までに長期間を要するために、次期計画の目標達成には間に合いません。結局、原発の活用に関して、次期基本計画で現行の基本計画と同様の20~22%という値が設定された場合、実現不可能の絵に描いた餅に終わる公算が大であると考えられます。

次世代型原発導入の先行きは極めて不透明:
次期エネルギー基本計画には原発の新増設や建て替え以外に、次世代型原発の導入という方針が盛り込まれるのではないかと予想されます。第6次基本計画の策定に際しても、次世代型原発として、具体的に「小型モジュール」(SMR)と称される原子炉の導入を進めるべきだとする声が自民党など周辺の関係者などからありました。SMRというのは発電能力が50万キロワット程度(従来の原発の半分か3分の1程度の発電能力)の原子炉であり、事故時の対応がしやすく安全性が従来の原子炉よりも高く、工場で設備を製造し現場で組み立てるために建設費も安いとされているため、世界的に注目されている次世代型原発です。SMRは「コスト競争力がありクリーンエネルギ」であるとして、米国などで研究開発が行われてきました。しかし、最近になって(2023年11月8日)開発を行っていた米国の企業「ニュースケールパワー」社が建設計画を中止すると発表しています。2029年に米国初となるSMRを稼働させる予定でしたが、建設費の値上がりなどで経済性が見込めなくなったとされています。米原子力規制委員会がこれまでに設計の認証を済ませているSMRは現在同社のものだけです。同社には米国内の石炭火力発電所に跡地への建設計画や、カナダ、韓国、ポーランドなどでの建設計画があるとされており、日本からは重工大手のIHIや原子力プラント大手の日揮ホールディングスが出資しており、中部電力も昨年9月に出資を発表していました。しかし、次世代型原発の本命とされていたSMRの先行きはこのように不透明です。
また、次世代型原発として、SMRの外に、「革新軽水炉」、「高温ガス炉」、「高速炉」、「核融合炉」と称されているものがありますが、これらの原子炉は未だ開発段階にあるか研究段階に留まっている原子炉であるため、次期基本計画にこれらの原子炉の導入を盛り込むことは時期早尚と言わざるを得ません。
いずれの次世代型原発が次期エネルギー基本計画に基づき導入されることになっても、日本で実際に建設され稼働されるに至るまでには、既存の原発による原発の新増設などよりは長期間を要するものと考えられるため、2050年の温暖化ガス排出量ゼロという目標にはたいして寄与しないものと考えられ

2 再生可能エネルギーに関する次期エネルギー計画における問題点について
 第6次基本計画では、計画策定当時の再生可能エネルギーを最大限に導入するとされており、その電源に占める割合は2021年当時18%でしたが、2030年度の目標値は36~38%とされていました。再生可能エネルギーは脱炭素化のための重要な電源とされており、風力、とりわけ洋上風力発電は再生可能エネルギーの切り札とされていましたが、2022年度と2023年度の実績(発電量に締まる割合)は以下のようなものでした



2022年度の再生可能エネルギーの実績は合計22.6%であり(第6次計画の策定時の2021年は18%)、2023年度は25.7%です。太陽光+風力が現状より早いペースで伸びていけば、30年度の目標は達成されるかもしれません。しかしながら、温暖化現象の原因である石化燃料(日本における現在の石化燃料への依存率は70%)を大幅に減らすことが急務であることを考えるならば、30年度における再生可能エネルギーの目標値は低過ぎると言わざるを得ません。このため第7次基本計画の策定に当たっては再生可能エネルギーの目標値を大幅に引き上げる必要があると考えられます。

再生可能エネルギーのうち、水力・地熱・バイオマスは今後大幅に伸びていくことは期待できず、これらの電源による発電量は現状維持に留まるものと考えられます。このため再生可能エネルギーの切り札は、今や発電コストが原子力よりも安いレベルに到達しようとしている太陽光と風力なのですが、太陽光の場合は狭い国土で大型発電施設のための用地が今後どの程度確保できるかという問題があり、今後これまでのとおりに発電量における太陽光の割合が伸び続けるか、定かでない面が存在しています(このため、最近は設置場所を増やすために建物の屋根や壁面などへの設置を増やすなどの方策が考えられており、また海上での太陽発電の試みも行われつつあります)。特に用地問題を考えるならば、国土は狭くても海岸線の長い日本は、風力発電(海岸付近あるいは洋上での発電)が一番適しているものと考えられます。ところが上記のデータからも明らかなように、総発電量に占める風力の割合は、未だ1%程度のレベルにしか達していません。

3 化石燃料に関する次期エネルギー基本計画の問題点
化石燃料の発電量に占める割合は依然として最大であり、60%台後半~70%台という極めて高い値です(2021年度が71.7%、2022年度が72.4%でしたが、2023年度は66.6%)。化石燃料を用いる場合、発電所から排出される暖化ガスに対処するためのひとつの方法は、何らかの手段により火力発電所からの排ガス中に含まれている温暖化ガス(炭酸ガス)を分離して回収し、何らかの形で処分することです。このため火力発電所からの排ガスから地球温高ガスである炭酸ガスを除去して処分するという方法に関して以下に簡単に記します。

1990年代に米国政府はMITなどの著名な大学に温暖化ガスである炭酸ガスのついてどのように科学技術的対処の仕方が最も適切であると考えらえるか、その方法について研究するよう依頼しました。その結果導き出されたのは、火力発電所の排ガスに含まれる炭酸ガスを何らかの方法で分離し、回収された炭酸ガスを液化して、深海に沈めるという方法でした。その後、米国などでこの方法について研究開発が行われてきましたが、実は、低圧・低濃度のガスから低コストでの炭酸ガスの分離回収を実用化した例は、世界においてもまだ存在していません。日本にも火力発電所の排気ガスから炭酸ガスを回収する方法を研究するための実験施設が存在していますが、この技術はまだまだ研究開発段階に留まっており、近い将来、脱炭素化のための有力な手段になるとは考えられません。

火力発電における水素・アンモニアの利用
一方、水素あるいはアンモニアを化石燃料に混ぜて燃焼させることにより炭酸ガスの排出量を削減するという技術の研究開発が進められており、このため現行の第6次エネルギー基本計画においても全発電量の1%を水素・アンモニアを混ぜた化石燃料で賄うとされています。また、石炭火力にアンモニアを20%混ぜて燃焼させる実証実験が現在進められているとされています。しかしこの技術が果たして脱炭素化に大きく貢献するかは定かではありません。たとえば京都大学大学院工学研究科の藤森真一郎教授らは、世界全域を対象としたエネルギーシミュレーションモデルを用い、脱炭素化に向けた水素・アンモニア発電の役割について分析した結果、水素・アンモニア発電が世界の発電電力量に占める割合は、最大でも1%程度に留まることが示されたとしています。少なくともこの技術は未だ発展途上の技術であり、このため2050年にカーボン・ニュートラルという目標の達成に役立つとは考えらえません。

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(おわりに)
以上、実効性に著しく欠けている原子力防災計画、政府が進めつつある原発推進策の実態、経産省の専門家会議で開始された次期エネルギー基本計画の問題点などについて記しました。説明不足の点も少なからずあるのですが、次期エネルギー基本計画では、福島第一原発事故後一貫してきた「原発の利用を最小限に留める」という大原則が反故にされ、原発の新増設・建て替えなどの方針が盛り込まれることになるのは間違いありません。原発の大事故を起こした国の市民としては、脱炭素を表向きの看板にして原発の新増設などを実行することにより原発を最大限に利用するという政府の方針を認めるわけにはいきません。このため、今後、第7次計画の立案に関する経産省の専門家委員会などの動きに注目し、原発推進の動きに対して、市民としての強い反対の意思を政府に対して明確に示していかなければなりません。

2024年6月17日

《 脱原発市民ウォーク in 滋賀 》呼びかけ人の一人:池田 進

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