21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> の 活動報告、お知らせなど を掲載 ♪
ときどき、トピックも ~☆

国家予算に迫る 事故処理費用 <福島第一原発>

2019-03-31 19:05:14 | 記事
《 第77回・脱原発市民ウォーク・イン・滋賀 の ご案内 》
2019年4月6日(土)午後1時半、JR膳所駅前広場に集合

4月の《 脱原発市民ウォーク・イン・滋賀 》を上記のとおり行います。
誰でも自分のスタイルで自由に参加できます。
ぜひ足をお運びください。


■■ 国家予算に迫る福島第一原発の事故処理費用 ■■

福島第一原発の廃炉作業は2019年2月になってようやくデブリの状況についての調査が始まりましたが、デブリの除去が果たして技術的に可能なのか現段階では定かではなく、廃炉作業の先行きはまったく不透明です。このような状況のなか、民間のシンクタンク「日本経済研究センター」(公益社団法人)が福島原発事故の処理費用は40年間で(2050年まで)およそ35兆円~80兆円に達するとする試算を3月7日に公表しました。2019年度の国の予算総額(一般会計)は約101兆円でしたから、事故処理費用の総額は場合によっては国家予算規模のものになることが考えられます。

新聞報道によればこの試算内容は以下のようなものであるとされています。

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▼「福島第一事故の対応に最大81兆円 シンクタンクが試算」▼
    (朝日新聞2019年3月10日、デジタル版 2019年3月9日)

東京電力福島第一原発事故の対応費用が総額81兆~35兆円になるとの試算を民間シンクタンク「日本経済研究センター」(東京都千代田区)がまとめた。経済産業省が2016年に公表した試算の約22兆円を大きく上回った。

81兆円の内訳は、廃炉・汚染水処理で51兆円(経産省試算は8兆円)、賠償で10兆円(同8兆円)、除染で20兆円(同6兆円)。

経産省試算との大きな違いは、汚染水の浄化処理費用を約40兆円と大きく見積もったことや、除染で発生する土壌などの最終処分費用を算入したことなど。また、この汚染水を、水で薄めたうえで海洋放出する場合は、廃炉・汚染水処理の費用が11兆円になり、総額も41兆円になるとした。

これに加えて事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出さずにコンクリートで封じ込める、いわゆる「石棺」方式を採用した場合は、廃炉・汚染水の費用が4・3兆円になり、総額も35兆円になるとした。ただ、「石棺」方式は、かつて「復興やふるさとへの帰還をあきらめることにつながる」などと問題になったことがある。

同センターは2年前、総額70兆~50兆円に膨らむとの試算を出したが、その後の汚染水処理や除染などの状況を踏まえ、再試算した。試算を示したリポートはこの費用の増加を踏まえ、「中長期のエネルギー計画の中で原発の存否について早急に議論、対応を決めるときではないか」と指摘した。           
https://www.asahi.com/articles/ASM3943DYM39ULFA002.html

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上記の記事にも書かれているように、経産省は2016年に福島原発事故の処理費用に関する試算を公表しており、総額22兆円(経産省は対応費用を大きく3つに分類し「除染」6兆円、「廃炉(汚染水を含む)」8兆円、「賠償」8兆円と試算)としていました。この試算に対して日本経済研究センターは2年前に「最終的に70兆円近くに膨らむ可能性がある」と試算していましたが、このたびの試算をこの試算をも上回るものになっています。

この記事の元となった日本経済研究センターの「事故処理費用、40年間に35兆~80兆円:廃炉見送り(封じ込め・管理方式)も選択肢に~汚染水対策が急務~」と題された
レポート
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=43790&file_post_id=43792

によると、今回の試算では1~3号機の原子炉内にある燃料デブリ等の冷却に2030年までかかる(乾式貯蔵が可能になる)として、今後さらに80万トン程度の水が必要と見込んでいます。これを計算に入れると、福島原発の敷地内のタンクにすでに保管されている120万トンの汚染水と合わせて計200万トンの汚染水処理が必要となります(同センターの2年前の試算では汚染水は100万トンとされていました)。

汚染水処理における一番の難関はトリチウム(三重水素)を構成元素とするトリチウム水の除去です。トリチウム水は普通の水の分子と化学的性質が同じであるため、汚染水からトリチウム水を除くことは極めて困難であり、このレポートによれば、トリチウム水の処理費用は1トンあたり2000万円と仮定されています。このため汚染水の処理費用は総計40兆円(2000万円×200万トン)という途方もない額に達することになります。一方、原子力規制委員会はストロンチウムなどの放射性物質を除去し、トリチウムのみが残存している汚染水については海洋放出を認めるとしています。当然のことですが地元の漁業関係者などの理解は得られていません。しかし、トリチウムの除去には上記のように途方もない巨額の費用が必要と予測されることから、国は漁業補償に多額の費用を支払ってでもトリチウムが残存する処理水を海洋放出させることになるのではないかと懸念されます。

また、これらの試算ではデブリの取出しを前提としていますが、デブリに関しては今年二月になって調査が始まったばかりであり、技術的にすべてのデブリを取り出せるかは未だ不明です。すべてのデブリを取り出せる保証もなく、取り出しのリスクも存在しています。このためこのレポートでは「今回の試算では、チェルノブイリ原発の場合のようにデブリ取り出しを見送り、《石棺》や《水棺》にして永久管理せざるを得ない状況になる場合も想定した」としています。

2019年3月28日 

脱原発市民ウォーク・イン・滋賀》呼びかけ人のひとり:池田進

連絡先:〒520-0812
    大津市木下町 17-41
電話/FAX:077-522-5415 



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日本は 世界一の 医療被曝大国

2019-03-03 20:46:44 | 記事
《3月・4月の脱原発市民ウォーク・イン・滋賀についてのご案内》

 → 3月の定例の市民ウォークはお休みいたします。

3月9日に滋賀県内の市民団体による集会「原発のない社会へ2019びわ湖集会」が
大津市の膳所公園で開催さ、午後3時からデモがおこなわれますので、
このデモに合流することにいたします。

ご都合のつく方はこの集会とデモに参加なさってください

なお4月の脱原発市民ウォークin滋賀は
4月6日におこないます。詳細は ⇒ コチラ


■■ 日本は世界一の医療被曝大国という現実・・・ ■■

前回2月の市民ウォークの案内文において、
去る2月3日に同志社大学で催された「放射線防護基準と放射線生物学
―その歴史と現状 ~放射線汚染地帯で暮らすリスクと避難を考える~」と
題された公開シンポジウム(日本学術振興会科研費「放射線影響研究と
防護基準策定に関する科学史的研究」班/放射線被ばくの科学史研究会
/日本科学史学会生物学史分科会の共催)のことを報告し、
低線量被曝の人体への影響を自らおこなった動物実験で得られた
科学的データなどに基づいて実証的に論じられた本行忠志氏
(大阪大学大学院医学系教授、放射線生物学教室)の講演の概要について
記しました。

この講演の中で同氏は、日本における医療被曝の現状についても話され、
日本は世界一の医療被曝大国であるとデータを用いて説明されていました。

以下に医療被曝についての本行氏の説明の概要を
講演でのスライドの内容に基づいて記しておきます。

表題:《日本の医療被ばく》〈世界一の医療被ばく大国〉

人口100万人あたりのCTスキャナ台数:日本のCTの数は先進国の3倍~10倍
日本は人口100万人当たり約90台。
カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、アメリカなどの
他の先進国では20台~30台未満。

◆日本と世界の自然放射線と医療放射線の被ばく量の比較

《日本人の年間被ばく量:合計6.0ミリシーベルト》
内訳:自然放射線:2.1ミリシーベルト
(宇宙線から0.3ミリシーベルト:大地から外部被ばくで0.33ミリシーシーベルト、
大地からの経口摂取により0.98ミリシーベルト、大地からのラドン・ドロンの
吸入が0.5ミリシーベルト)
医療被曝:3.9ミリシーベルト

《世界平均の年間被ばく量:3.0ミリシーベルト》
内訳:自然放射線:2.4ミリシーベルト
(宇宙線から0.39ミリシーベルト:大地から外部被ばくで.48ミリシーシーベルト、
大地からの経口摂取により0.29ミリシーベルト、大地からのラドン・ドロンの
吸入が1.26ミリシーベルト)
医療被曝:0.6ミリシーベルト

◆(日本の実情についての説明)
・「低線量被ばくは問題ない」という「安全神話」に基づいて
 「念のためにCT、ついでにCT」など安易な検査
・胃X線検査(3~10ミリシーベルト)が他国よりも異常に多い。
・国家レベルで、胃がん検診に公費を大々的に投じて取り組んでいるのは日本だけ
 (多くの既得権が絡んでいる?)
・胃がんの発見率が低い(内視鏡検査の1/5~1/10)

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上記の被ばく線量の数値から、日本人の医療被曝は世界平均の
6.5倍にも達していることが分ります。
日本のCT装置の導入台数は人口比で世界一ですから
医療被曝のうちで大きな部分を占めているのはCT検査、
次いでエックス線検査によるものではないかと考えらえます。

上記の医療被曝についての日本人の平均値は、当然
CT検査を受けたことのない人も含めての平均値ですから、
実際にCT検査を受けたことがある人たちにおける医療被ばく量は
平均値3.9ミリシーベルトを大きく上回っているものと考えられます
(レントゲン検査はほとんどの人が受けたことがあるでしょうけれども、
その回数は個人差が大きいと考えられます)。

最新のCT装置ではユニットが1回転する間に300回もの撮影をおこなう
ことが可能とされており、ウィキペディアなどによれば
「被曝量は検査部位や検査方法、機器の性能や設定によって異なるが、
検査によっては1回で数十~ 100ミリシーベルトを超えるX線被曝を受ける
こともある」とされています。

原発事故が起きた福島ではその科学的根拠・妥当性が不明であるまま、
国は年間20ミリシーベルト以下であれば居住可能としているのですが、
CT検査では場合によっては1回の検査でこの福島での基準を上回ってしまう
ことになるのではないかとも考えられます。

CT検査で短期的な白血球減少や脱毛などの放射線による急性症状は
認められていないようですが、長期的影響については明らかでありません。

日本人の医療放射線被ばくは深刻な問題であるということができます。
とりわけ乳児、幼児や少年少女などの発育盛りのある年少者は
放射線に対する感受性が大人よりもずっと高いため、
CT検査やエックス線検査などによる放射線の影響が懸念されます。

2019年3月2日

《脱原発市民ウォークin滋賀》呼びかけ人の一人:池田 進

連絡先
〒520-0812 大津市木下町17-41
電話/FAX:077-522-5415  


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