《第81回・脱原発市民ウォーク・イン・滋賀のご案内》
次回の脱原発市民ウォークを9月21日(土)に行います。
誰でも自由に参加できます。ぜひ足をお運びください
(午後1時半までにJR膳所駅前広場に集合)。
■原発再稼働の促進、原発の新増設・リプレース(建替え)などを
政策に位置づけること求める日本経団連の提言■
さる4月8日に経団連(日本経済団体連合会)は電力政策についての政府への提言をまとめ公表しました。経団連は経済界を代表する日本で最大の経済団体(大手企業1431社が加盟)であり、設立当初から、東芝、日立、三菱重工など原発施設に関する技術力を有している企業や日本の主要電力会社(東京電力、関西など)が経団連に参加しています。経団連は政府に対して強い影響力を有する組織であるため、このたびの経団連の提言を注視せざるを得ません。提言の概要は以下のとおりです
(4月16日にネットで公表された8日の記者会見の資料:
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/031.html)
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<日本を支える電力システムを再構築する―Society 5.0実現に向けた電力政策>
2019年4月16日 一般社団法人 日本経済団体連合会
日本の電力は4つの危機に直面しています。国際的に地球温暖化問題への関心が高まる中、東日本大震災以降、①火力発電依存度は8割を超え、その打開策としての②再生可能エネルギーの拡大も、③安全性が確認された原子力発電所の再稼働も難しい状況です。電力自由化は、電気料金の抑制を目的の1つに掲げているものの④国際的にそん色ない電気料金水準の実現には至っていません。一方で、電気事業者は、投資回収の見通しを立てにくくなり、電力インフラへの投資を抑制しています。
こうした危機を放置すれば、化石燃料依存から脱却できないばかりか、電力供給の質の低下や電気料金の高騰につながりかねません。これが地球温暖化対策や産業競争力強化に逆行することは明らかです。経団連は、電力がSociety 5.0実現の重要な基盤と認識し、電力投資を活性化する環境整備を提言します。
まず、投資の回収可能性が見通せるよう、将来像を明確化することが必要です。政府には、次期エネルギー基本計画の策定にあたり、2030年以降の電力システムの将来像を、複線シナリオとして示すことを求めます。
発電分野では、再エネを、電気料金の上昇を抑えつつ最大限導入できるよう、支援制度を抜本的に見直す必要があります。原子力発電については、CO2の大幅削減といった地球温暖化対策の観点からも、安全性確保と国民理解を大前提に、既設発電所の再稼働やリプレース・新増設を真剣に推進しなければなりません。
送配電分野では、老朽化する送配電網を更新・次世代化し、大規模洋上風力発電や屋根置き太陽光、電動車などの導入に対応していく必要があります。送配電費用の回収制度である託送料金制度も、再エネ等の分散電源の拡大が見通される中、積極的な投資を促す改革が不可欠です。
経団連としては、本提言の公表を契機に、こうした日本の電力が置かれた危機的状況が広く共有され、多面的な政策の検討によって日本を支える電力システムが維持・高度化されるよう、関係方面への働きかけを強化してまいります。
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みなさんはこの経団連の提言をお読みになってどのようにお考えになるでしょうか。いま日本の電力システムが抱えている、避けて通ることのできない最大の課題は、いかにして安全な電源を確保しつつ地球温暖化の問題に対処するか、すなわちいかしにて火力燃料と原発への依存度を減らし、その分を再生可能エネルギーで補っていくかということに他なりません。しかしながら、残念なことにこのたびの経団連の政府への提言はこの課題に応えるものとはなっていません。
「再エネを電気料金の上昇を抑えつつ最大限に導入できるよう、支援制度を抜本的に見直す必要がある」として送電線網の整備や洋上風力発電の導入などを挙げていることは方向性としては正しいのですが、火力発電と原発についての対策には観るべきものはありません。ひとことで言えば、経団連の原発に対する考え方は福島原発事故の後も何も変わっていません。この提言の中で経団連は「地球温暖化対策の観点からも、安全性確保と国民理解を前提に、再稼動や(原発の)リプレース・新増設を真剣に推進しなければなりません」と堂々と主張しています。この提言は政府による現行の「エネルギー基本計画」(第5次エネルギー基本計画、2018年7月)には原発のリプレースや新増設は盛り込まれてないことを意識したものであると考えられます。このため、経団連の政府への影響力を考えると、政府がこの経団連の提言を受け入れ、次期のエネルギー基本計画に原発のリプレースや新増設を盛り込む可能性は否定できないのではないかと考えられます。
経団連は上記のように「国民理解を前提に」としていますが、各種の世論調査などのデータは国民が原発の利用を「理解」していないことを強く示唆しています。たとえば、原子力資料情報室によれば、「長年にわたり原子力文化財団が実施している『原子力に関する調査』によれば、東電福島第一原発事故以降、回答に占める原子力廃止の比率は常に6割を上回っており、大手メディアが折々に実施する世論調査の結果も同様の結果を示している」とされています。
http://www.cnic.jp/8591
提言では、福島原発の事故以降、火力発電の割合が8割を超えており、その打開策である再生可能エネルギーも原発の再稼動も厳しい状況であることなどを捉えて電力システムは危機に陥っているとして、原発の新増設などを求めていますが、この危機自体は福島原発の事故に起因したものであるという事実から目をそらしていると言わざるを得ません。経団連はまず脱原発を当然の前提条件として受け入れ、政策提言を行うべきです。
2019年9月13日
《脱原発市民ウォーク・イン・滋賀》呼びかけ人のひとり
池田 進
連絡先:大津市木下町17-41 電話/FAX:077-522-5415
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