21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> の 活動報告、お知らせなど を掲載 ♪
ときどき、トピックも ~☆

脱原発 市民ウォーク in 滋賀 1月の予定

2021-12-25 20:48:39 | 記事
老朽美浜3号、高浜1.2号機再稼働NO!
 
◆ 第101回 脱原発 市民ウォーク in 滋賀 ◆


2011年5月8日に第一歩を歩みだした脱原発市民ウォークin滋賀は、
2021年12月4日に第100回を迎え、湖東の仲間が
<脱原発市民ウォークin滋賀近江八幡2021>を10月30日に始動していただき、
11月27日に第2回目を実施(中日新聞で報道されました)。

今後毎月実施してくださるとのこと。
すばらしい100回記念プレゼントをいただきました。
ともに当面の老朽原発再稼働阻止のみならず、原発全廃に向け、
命の限り頑張りましょう!

1450万人の近畿の水源=びわ湖と私たちの未来=子どもたちを守りましょう!
ご一緒に歩きましょう! 参加無料! 予約不要! 

<とき・ところ> 
2022年 1月15日(土)13:30
JR・京阪膳所駅前集合  


★コース = ときめき坂 ~ 元西武大津ショッピングセンター前 ~ 関電滋賀支社前~
       ~ びわ湖畔

☆主 催=21世紀 脱原発市民ウォーク in 滋賀 実行委員会
☆呼びかけ人・・・池田進(原発を知る滋賀連絡会 電話077-522-5415)
         岡田 啓子(ふぇみん@滋賀 電話077-524-5743)
         稲村 守(9条ネット・滋賀 電話080-5713-8629)

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■トピックス■


第100回の脱原発市民ウォーク in 滋賀



同、解散地点びわ湖南岸にて



12.5老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか



近江八幡で10.30から開始の反原発デモの報告をする
<脱原発市民ウォーク in しが近江八幡2021>西村しずえさん



フォーラム平和関西ブロック・内海事務局長(滋賀県教組委員長)の連帯あいさつ



集会終わり、御堂筋デモに出発、向かって左・西村さん、名古屋の草地さん、
中嶌哲演さん、岡田啓子さん。右側横断幕は、<福島の女たち>

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チラシのダウンロードは ⇒ コチラ

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原発に由来した放射性廃棄物の処理で安易な方策の実施を次々に強行する政府 除染作業で生じた汚染土壌の最大限の再利用を意図する政府・環境省

2021-12-03 15:10:29 | 記事
《第100回脱原発市民ウォーク・イン・滋賀のご案内》

今年も余すところあとひと月となりました。
今年最後の脱原発市民ウォークを12月4日(土)に行います(午後1時半、JR膳所駅前広場)。
福島第一原発大事故の二カ月後、2011年5月に最初の脱原発市民ウォークをおこないましたが、
次回で100回目となります。どなたでも自由に参加できます。
ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。

■■原発に由来した放射性廃棄物の処理で安易な方策の実施を次々に強行する政府■■
 ■除染作業で生じた汚染土壌の最大限の再利用を意図する政府・環境省■


これまでに脱原発市民ウォークの案内で、福島原発事故の処理で生じた放射性物質トリチウムが含まれている汚染水の処理について、政府がトリチウムの含有量を法的に許されている基準値以下に海水で薄めて海洋に放出するという方針を正式に決定したことに関して、単に基準値以下に薄めて放出するという安易な処理方法に対して、地元の漁業者をはじめとして様々な方面から強い反対の声が挙がっている問題を紹介しました。また前回11月の市民ウォークの案内では、放射性廃棄物は自国内で処分することが国際法上の原則とされているにも関わらず、政府が、原発の廃炉作業で生じる放射能に汚染されている大型の装置・機器類に関して、外為法(外国為替および外国貿易法)の内容を通達ひとつで変更することにより、国内での処理という原則をねじまげて、海外に処分を委ねるという安易な方針を採ろうとしている問題を紹介しました。

このように政府が放射性廃棄物を安易な処理法に委ねる事態が続いていますが、放射性廃棄物の処分法を巡るもうひとつの大きな問題は、原発事故後の汚染土壌の除染作業で生じた汚染土を最終的にどのように処分するかという問題です。

除染作業により生じる汚染土は2045年までに福島県外に搬出し最終処分することが法律で定められています。中間貯蔵施設への搬入量は来春までに14000立方メートル(東京ドーム11個分)に達する見込みです。国は、膨大な量の汚染土を最終処分するのは現実的でないとして8割を再利用したい考えであり(注)、放射能の濃度が比較的低い汚染土を普通の土で覆うなどの方法を想定し、2024年度までに用途や管理方法などをまとめる方針であるとされています。(注:環境省による試算:2019年3月19日付け毎日新聞デジタル版)


【汚染土の再利用が具体的に決定されるに至るまでの法的経過】

2014年11月17日施行「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法、第三条の2」により汚染土(汚染除去により生じた土壌)はひとまず福島県内の中間貯蔵施設に貯蔵された後、貯蔵開始から三十年以内に、福島県外に設けられる最終処分場で処分されるが決められています。

しかしながら、国・環境省は当初から最終処分場における処分とは別に、汚染度が低い土壌に関しては再利用することを意図していました。すなわち、民主党政権時代の2011年11月11日に、汚染土の処分に関して以下のような閣議決定が行われています。

《平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境への影響への対処に関する特別措置法 基本方針(抜粋)
5 除去土壌の収集、運搬、保管及び処分に関する基本事項
・・・また、仮置き場などの確保の観点から、除去土壌について、技術の進展を踏まえつつ、保管又は処分の際安全を確保しつつ、再利用を検討する必要がある。》

また2015年には「再生利用」の推進のために、地元などと環境省のあいだで以下のような協定書が交わされています

《2015年2月25日:中間貯蔵施設の周辺地域の安全確保などに関する協定書(福島県、大熊町、双葉町、環境省)
第14条(最終処分を完了するために必要な処置など
 4 丙(環境省)は、福島県民その他の国民の理解の下に、除去土壌等の再利用を進めるものするが、再利用先の確保が困難な場合は福島県外での最終処分を行うものとする。》
(注:以上の法的過程の説明は環境省の公表資料「除去土壌の再生利用のこれまでの経緯」によるものです http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/

環境省はこの再利用問題について、以下のようにさらに詳細に説明しています。

《県外最終処分に向けては、まず最終処分量を低減することが鍵となります。そのためには、中間貯蔵施設に保管される大量の除去土壌等をいかにして効率的に減容処理するか、また、その結果生じる本来貴重な資源である放射能濃度の低い土壌等を再生資材として利用可能とする技術的・制度的・社会的条件をいかに整えるかが課題となります。
2011年11月に閣議決定された基本方針において、除去土壌については、技術の進展を踏まえつつ、保管又は処分の際に可能な限り減容化を図るとともに、減容化の結果分離されたもの等、汚染の程度が低い除去土壌について、安全性を確保しつつ、再生利用等を検討する必要があると示されています。

そのため、環境省は、2016年4月に「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」を策定しました。この技術開発戦略においては、周辺住民や作業者に対する放射線に関する安全性を確保することを大前提として、減容処理等を行った上で除去土壌を再生資材化し、適切な管理の下での利用を実現するための基本的考え方を示すこととされています。》
(注:以上は「除去土壌の再生利用について」と題された環境省の資料より引用、
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/ )

上記の内容から分るように2015年の段階では、汚染土の再利用すること、再利用を推進することが明確に唄われています。上記の協定書などの文面からは、「はじめに再利用ありき」というのが汚染土処分の大前提であり、再利用できない場合に限って県外で最終処分する、というのが政府・環境省の基本的な方針であることが理解されます。このような前提と方針を政府が採ったのは、汚染土の最終処分は県外における処分施設で行うことが法的に定められているものの、最終処分施設を県外のいずれの場所に設置するかを決めることは、原子力発電環境整備機構(NUMO)による高レベル放射性廃棄物の最終処分場の設置場所の選定に困難を極めていることからも分るように、極めて困難であることが予想されることによるものであると考えられます。汚染土を最大限に再利用することにより、県外で最終処分されることになる汚染土の量を最小限に留め、県外に設置される最終処分施設の規模をできる限り小規模なものに留めることを意図したことによるものであろうと考えられます。

その後、環境省は審議会「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」を開催しており(第12回目が今年3月に開催されています)、この審議会において、8000ベクレル/kg以下の濃度の汚染土と廃棄物を「遮蔽および飛散、流出の防止」を行って上で、全国の公共事業や農地造成において利用できる方針を策定し、そのために審議を行っています。手引き案では用途ごとの濃度の上限や被服の厚みなどが記載されています(注1参照)。

 次いで環境省は、2020年1月に、汚染土の再利用のための「省令案」など(注2参照)に関して一般からの意見を公募しています(パブリックコメント)。その結果を踏まえて2020年4月から省令を施行するとしていましたが、その後、引き続き検討することを要するとして、今年1月の時点では、未だ施行されるに至っていません。

(注1)福島県内における除染などの措置に伴い生じた土壌の再利用の手引き 
https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/pdf/proceedings_191219_02-02.pdf

(注2):平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(案)及び環境大臣が定める者の告示(案)について


【再利用に供される汚染土中の放射性物質の濃度に関する基準とその問題点について】
 
2016年3月30日、環境省により「中間貯蔵除去土等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」(座長:細見正明・東京農工大学大学院教授)の第3回会合が開かれ、そこで「減容処理後の浄化物(注参照)の安全な利用に係る基本的考え方骨子(案)」が示され、再生利用の対象とする汚染土(除去土壌)におけるセシウム134,137の濃度(含有量)を8000ベクレル/kg以下のものにすること、汚染土のうち8000ベクレル/kg以下のものを全国の公共事業や農地造成に利用できるとする方針が策定されました。この結果に基づき2020年4月から省令が施行される予定とされていましたが、上述のように未だに施行されていません。
(注:「浄化物」とは様々な方法で土壌を処理して放射性セシウムを一定程度除去した物を指すとされていますが、化学処理にせよ熱処理にせよ、実用には大きな課題があります)

 上記の検討会では除去された汚染土は最大約2,200万?と推計されており、再利用の用途は公共事業などに限定し、道路・鉄路の盛土材、海岸防災林、防潮堤、土地造成・水面埋め立てなどとされています。

 環境省はこれまで放射性廃棄物の再利用に関して、原子炉規制法に基づくクリアランス基準(廃棄方法が規制されることがない基準)レベルの100ベクレル/kg(セシウム134,137)は《廃棄物を安全に再利用するための基準》であり(一般食品中に含まれていることが許される放射性物質の基準も100ベクレル/kg以下とされています)、一方において、放射性物質汚染対策対処特別措置法に基づく8000ベクレル/kg以下という値は放射性廃棄物を従来と同様の方法により一般廃棄物と同じく安全に焼却したり埋め立て処分することが許される「廃棄物を安全に処理するための基準」であると説明してきました
(以上は環境省のサイトhttps://www.env.go.jp/jishin/attach/waste_100-8000.pdfによる)

 しかし、上記のように8000ベクレルという基準値に達していない汚染土は再利用するとされていることから、8000ベクレルという基準値に関して環境省は「廃棄物を安全に処理するための基準」と説明しているものの、この数値の意味するところは実質的には原子炉規制法による「安全に再利用するための基準」と同じことを意味していることになります。このため「安全な再利用」に関して二つの基準すなわち存在していることになます。これはいわゆる「ダブルスタンダード」を意味しています。

ダブルスタンダードの一方を採用して、これまでの規制値である100ベクレル/kgの80倍にも相当する8000ベクレル/kgのレベル以下の廃棄物を公共事業や農地に使うことを容認することになります。放射性物質汚染対処特別措置法に基づいて、再利用の基準値が8000ベクレル/kgに設定されれば、汚染土の再利用にさいしての用途は限定されているとは言え、全国で広範囲にこの基準を満たした汚染土を再利用するこができるということになります。
 
福島第一原発の事故以前は、100ベクレル/kg以上の放射性廃棄物は指定廃棄物とされ、一般の廃棄物と同様に廃棄することを許されておらず、そのため原発敷地内で保管されていましたが、福島原発事故後に、事故処理に対応できるようにすることを意図して指定廃棄物とされる基準は8000/kgベクレルに引き上げられ、8000ベクレル以下の放射性廃棄物は一般の廃棄物と同様に廃棄処分することができるようになりました。しかし、指定廃棄物とされる基準を100ベクレル/kgから8000ベクレル/kgに福島事故後に大幅に引き上げたことの妥当性、その科学的根拠はあいまいです。このため環境省が汚染土に関して8000ベクレル/kg以下の土壌を再利用することは妥当であるとする科学的根拠もあいまいであると言わざるを得ません。この意味から、8000ベクレル以下の汚染土を再利用するという政府・環境省の方針は容認されるべきではないと言わざるを得ません。しかしながら、その根拠と妥当性があいまいなまま、この8000ベクレル/kg という数値は今では独り歩きしています。


【汚染土再利用の全体的な過程について】
 
汚染土の再利用に関する全体的な過程は、環境省の説明によれば以下のようなものであるとされています
 
汚染除去作業により生じた汚染土を仮置き場あるいは中間貯蔵施設に集める(仮置き場には現時点で東京ドーム11個分に相当する14000万?が保管されています)。次いで、仮置き場あるいは中間貯蔵施設に保管されている汚染土から再生可能とされる濃度の汚染土を選びだし、異物除去・濃度分別・品質調整を内容とする「再生資材化」の工程を経て再生資材とする。再生可能とされる濃度を上回っている汚染土は三十年以内に福島県外に設置される最終処分場での処分に供する。再生資材とされた汚染土は公共工事などで、管理した上で再生利用する。(以下の図を参照)


出典:環境省「福島県内除去土壌の再生利用に関する検討状況について」2019年6月


【汚染土の再利用に関する実証事業を推し進める環境省 / 住民などによる反対の動き】

 現在、環境省は汚染土の再利用が実際に可能であることを実証するための事業を福島県内で行っています。しかし、以下に例示するように住民などによる反対の声があがっています。

 環境省は福島県二本松市で汚染土を農道の路床材として使う実証事業を行う予定でしたが、地元住民のごく一部しか参加していなかった説明会で「地元了承」とされたこと、農道で使用すれば最終処分になりかねないこと、放射性物質の拡散が懸念されることを理由に住民は反対しました。2018年2月に地元の市民団体などが白紙撤回の要請書を提出、その結果6月に環境省は実質的な撤回の意向を示しています。

 南相馬市では、南相馬市小高区の常磐自動車道の拡張工事に際して汚染土を再利用する計画が進められようとしています。2019年1月に地元住民による「反対する会」結成されました。地元の小高区葉倉行政区の区長は「汚染土は当初3~5年で仮置き場から中間貯蔵施設に運ぶという約束だった。実証というが、一度使ったら永久に置かれる懸念がある」として反対しています。

 飯館村では農地造成に汚染土を使う実証事業が進行中です。村内の汚染土3万袋のうち5000ベクレル/kg以下のものを使って農地の嵩上げ材として使っています。当初は50センチメートルの覆土を行ったうえで園芸作物などの栽培を行っており、また覆土なしでの栽培も行っており、野菜における放射性セシウムの濃度は0.1~2.3ベクレルであったとされています。実証事業としての農地造成は0.1ヘクタールでしたが、今後より拡大して34ヘクタールのエリアにおいて農地造成を行う計画とされています。これらの計画は「飯館村特定復興拠点区域復興再生計画」の一部として実施されることになっています。
(注:以上の三つの例は「ふくしまミエルカproject」のサイトからの引用です)
https://311mieruka.jp/info/report/radioactive/

上記の三つの例で分るように、環境省は汚染土の再利用を様々な形で推進しようとしているのですが、このような計画への理解が全国的には広がっているというわけではありません。朝日新聞2021年3月8日の記事(デジタル版)によれば、汚染土の再利用に関するアンケートにおいて、7知事が再利用に反対しており、他の知事も「安全性がまだわからない」「判断できない」「回答を差し控える」などと回答し、賛成の回答は皆無であったとされています。また、アンケートでは最終処分場の受け入れの意向も聞いていますが、8人の知事は「受け入れることはできない」と拒否しており、他の知事は、国が工程などを示していないとして「回答できない」「どちらとも言えない」と答えたとされています。
(注:朝日の記事https://www.asahi.com/articles/ASP3W75L6P3NUGTB01C.html


【汚染土の再利用に関する重要な問題点】
 
前述のように環境省は汚染土を再利用するための「省令」案を検討中であり、その内容が確定しているわけではありませんが、福島第一原発の大事故に由来する汚染土を再利用するという政府・環境省の方針には様々な無視することができない問題点が存在しています。

・問題点1
政府が意図している方法にしたがえば、汚染土をいくらでも自由に「再利用」することが可能となります。また、再生利用に供するための基準値を8000ベクレル/kgすることの科学的根拠・妥当性が極めてあいまいです。

一番の問題点は、放射性廃棄物に限らず、廃水など様々な廃棄物を環境中に廃棄するに際しての基準値(規制値)は、ほとんどの場合、廃棄物中の有害物の濃度を指標にして設定されているということです。ところが、濃度を指標に規制する場合は、有害物の濃度(廃棄物全体の重量または体積に対する有害物の量)は、有害物を含んでいない物質か有害物を少量しか含んでいない物質を廃棄物に加えることにより自由に調節することが可能です。このため、廃棄物中の有害物の濃度が廃棄のための基準値を超えている場合であっても、基準値を下回るようにするために必要な量の有害ではない物質を添加して基準値以下の濃度にしてしまえば廃棄処分することが許されることになります。

このように有害物を濃度で規制するという方法は現実には広く行われてはいるのですが、上記のような根本的な欠陥を有しています。本来であれば、放射性物質のような長期にわたり環境に危険な影響を及ぼす物質は、環境中に廃棄して処分するのではなく、封じ込めて集中的に管理すべきであると考えられます。現に高レベル放射性廃棄を処分する場合はこの方法が採用されています。しかしながら、汚染土に処分に関しては、これまでに述べたように濃度規制に基づいて行われようとしています。

濃度規制の欠点を政府が悪用した最近の例は、先に延べました福島原発の事故処理により生じたトリチウムが含まれている汚染水の処理です。すなわち、みなさんもご存知のように、この汚染水中のトリチウムの濃度が廃棄に際しての基準値を超えることがないように、トリチウム汚染水に大量の海水を添加してトリチウムの濃度を基準以下に薄めてから海洋へ放出するという方針を採ることを政府はすでに決定しています。

汚染土の処分にあたっても、トリチウム汚染水の場合と同様の方法を採ることが可能です。すなわち放射性セシウムの濃度が基準値の8000ベクレル/kgを超えている汚染土の場合、汚染されていない土壌あるいは基準値を大きく下回っている汚染土を添加することにより、再利用が許される汚染土へと変化させることができます。このような方法が採られた場合は、理論的には現存している汚染土の全量を再利用可能な汚染土に転換することができることになります。これは極端な場合ですが、前述のように環境省は汚染土の8割は再利用可能という試算結果を示していますが、この試算結果は、上記のような有害物(放射性セシウム)の濃度を人為的に基準値以下に下げることによる再利用を想定したことによるものではないかと疑われます。

また先に指摘したように、再生利用に供するための基準値を8000ベクレル/kgとすることの科学的根拠・妥当性はあいまいです。政府は基準値としてこの数値を選ぶことの根拠を、すなわち8000ベクレル/kg を基準値として再利用しても環境に対する悪影響は認められないとすることの科学的な客観的根拠を明確に示すべきです。根拠を示すことができないのであれば、この基準値の下に汚染土の再利用を行うとする基本方針を撤回すべきです。

 以上に述べた理由から、8000ベクレル/kgという基準値に基づき汚染土を再利用するとするという方針は極めてずさんで危険なものであると断言することができます。政府はこの再利用に基づく汚染土の処分を断念し、封じ込めにより管理するという方法を選択すべきであると言わざるを得ません。

・問題点2
汚染土の再利用により放射能汚染が全国に拡大することが懸念されます。
 
汚染土の再利用に関する省令案に基づけば、再利用は公共工事や農地造成などに限定されることになっており、環境省は「公共工事は管理されている」としているものの、管理主体とその責任は明確にされていません。いったん道路、土地造成などに汚染土が使用されれば、放射性物質が環境中に拡散し、環境が汚染されることになることは明らかです。どの程度の自治体などが汚染土の再利用を受け入れることになるかは現時点では不明ですが、場合によっては全国に汚染土再利用による汚染が広がりかねないのではないかと考えられます。汚染土に覆土を施し遮蔽さえすれば放射線量が下がり問題はないとしていますが、大雨、侵食などによる環境中への流出も懸念されます。また地下水を汚染して農地や生活圏に流れ出る可能性も否定できず、道路の陥没や崩壊などが生じた場合には汚染土が露出することも考えられます。これらの事態が起きた場合は汚染が広範囲に及び、その対策は困難を極めることになると予想されます。汚染の拡大がたびたび起きたならば、全国的に汚染されることになることは誰の目にも明らかではないでしょうか。この意味からも汚染土を公共事業で再利用するという政府の方針は撤回されるべきであると言わざるを得ません。

・問題点3
汚染土の再利用に関する省令案には必要とされる事柄が規定されていません。

 前述の省令案は昨年1月にパブリックコメントの対象とされた後、現在も検討が行われていますが、この省令案では再利用の事業実施者や管理者の責任がまったく不明です。また、汚染土の用途制限、汚染されていない土壌による被覆の条件、管理期限、情報公開の責務など、具体的な制限内容や責任の所在など、必須の事柄がパブリックコメントの時点では盛り込まれていませんでした。このまま省令として施行されたならば汚染土が住民などの知らないうちに大量に再利用され、ずさんな管理などが原因で汚染が拡散しても誰も責任を負わないという事態が生じかねません。再利用を行うのであれば、上記のような必要な情報を省令に盛り込むべきであることは明らかです。これらの必要事項が決められてないまま省令を施行することはとうてい許されません。

以上に述べた汚染土再利用における様々な問題点を考えるならば、8000ベクレル/kg以下の汚染土を再利用するという政府・環境省の方針は断じて容認されるべきではないと言わざるを得ません。

2021年11月30日
《脱原発市民ウォーク in 滋賀》呼びかけ人のひとり:池田 進

〒520-0812
大津市木下町17-41 
電話/FAX:077-522-5415
メールアドレス:ssmcatch@nifty.ne.jp


■■ 滋賀弁護士会の主催により汚染土の再利用をテーマとした講演会・パネルディスカッションなどが2021年12月18日(土)午後に行われます。詳細は滋賀弁護士会のホームページ(行事案内https://shigaben.or.jp/event/detail.php?id=63)をご覧ください。

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