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山形県最上町 芭蕉が泊まった旧有路家(ありじけ)住宅(封人の家) 堺田分水嶺

2024年10月20日 10時24分44秒 | 山形県

重文・旧有路家(ありじけ)住宅(封人の家)。山形県最上町堺田。

2024年9月9日(月)。

国史跡・新庄藩主戸沢家墓所を見学後、芭蕉が尾花沢の鈴木清風宅へ来る前に泊まった最上町の旧有路家住宅(封人の家)へ向かった。山間部を通ると、小さい盆地のような地区があり、宮城県へ向かう国道国道47号沿いの北側に旧有路家住宅、南側に駐車場がある。

封人(ほうじん)の家とは、国境を守る役人の家のことで、この名称は俳聖松尾芭蕉の「おくのほそ道」に由来する。

旧有路家住宅は、山形県東部に古くから見られた茅葺き寄棟造り、広間型民家で、桁行24.755m、梁間9.999m、建築面積269.180㎡(約81坪)の大型民家であり、江戸初期を下らない時代の創建と見られている。

解体復元工事が実施されて、創建当時の様式で保存、一般公開されている。この建造物は、江戸期には新庄藩上小国郷堺田村の庄屋住宅で、内部は床の間、いりざしきなどの5部屋と、内庭、内まや(厩)からなる。

有路家は、江戸時代初期に独立した村となった堺田村で、代々、村の庄屋を勤めた家柄である。建物は役屋(村役場)としての性格を持ち、問屋や旅館としての機能も備えていたとみられている。仙台藩領と新庄藩領の国境を守る役人という立場でもあったとされ、住宅構造には、江戸期に庄屋役と問屋役を兼ね、街道筋の旅宿ともなり、熱心な馬産家でもあった有路家の歴史的性格が強く反映されている。

この住宅は、松尾芭蕉が「おくのほそ道」に記した、堺田のいわゆる"封人の家"と見なされている。元禄2年5月15日(1689年7月1日)、平泉から仙台藩領の尿前(しとまえ)の関から出羽国尾花沢へと旅路を急いだが、「大山を登って日すでに暮れければ、封人の家を見かけて宿りを求む。三日風雨荒れてよしなき山中に逗留す」と「おくのほそ道」に綴っているとおり、大雨のためしかたなく、二泊三日、この家に滞在した。

その時に詠んだ句、「蚤虱(のみしらみ) 馬の尿(ばり/しと)する 枕もと」が有名である。

最上町は以前は小国と言う地名で山形県内では随一の馬産地で、小国産の牡馬は小国駒と呼ばれて江戸や越前地方へも移出された。人馬が一つの家で寝食を共にする様子を詠んだ芭蕉の句の背景には、小国が馬産地であり馬を大切に扱う生活環境があった。

土間・まや。

土間から座敷方向。

土間から座敷方向。

「なかざしき」

「いりのざしき」

床の間。

堺田越(さかいだごえ)は、山形県最上町と宮城県大崎市の間にある標高350mの峠である。国道47号が走っており、峠の頂上に最上町堺田集落があり、JR東日本陸羽東線堺田駅がある。

非常になだらかな峠であり、奥羽山脈を横断する峠の中でも標高が低い方である。そのため、最上町にやませが流れ込みやすく、標高の低さが逆に冷害の原因になっているといわれる。

道路も非常に直線的であり、並行する国道に比べて最も状態が良いため、仙台市や大崎市から、新庄市を経由して庄内地方や秋田県に向かうトラックが、頻繁に走っている。

古来より、現在の仙台市から大和町、加美町、大崎市岩出山を経て太平洋と日本海を結ぶ重要な峠であり、舟形街道の清水河港から最上川を舟で下って酒田港にいたるルートは、物流のルートとしても、旅のルートとしても使われた。仙台藩(尿前の関)と新庄藩(笹森口留番所)がそれぞれ関所を設けていた。現在も往時の街道が残されており、「出羽仙台街道」として、大崎市尿前の関から最上町笹森集落まで旧街道を探索することができる。

堺田分水嶺。最上町堺田。

堺田集落は、太平洋と日本海へ分かれて流れる分水嶺の真上に存在する集落であり、堺田駅前には、ほとんど見られない「地上に露出した分水嶺」がある。ある一本の水路が、流れるうちに自然に日本海側と太平洋側に分かれる水路である。

駐車場に戻ると、分水嶺の案内標識があった。簡単に行けそうだったので、蕎麦畑の横を通って行ったが、行き着けなかったので、一度は諦めて駐車場に戻ったが、その地点からもうすぐ奥だったと分かり、再度チャレンジして分水嶺公園の東屋にたどり着いた。

分水嶺を眺める地点の広場は、JR堺田駅前の広場であることに気づき、自動車で移動したほうが早かったと思いながら駐車場に戻り、芭蕉が苦労して越えた山刀伐(なたぎり)峠の見学に向かった。

山形県新庄市 手打ちそば「さぶん」 新庄城跡 新庄藩主戸沢家墓所



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