
2011年3月15日21時46分
東京電力福島第一原発の事故を受け、鹿野道彦農林水産相は15日、同原発周辺を産地とする農水産物の被曝(ひばく)実態を把握するため、食品衛生を所管する厚生労働省、放射線の測定を担う文部科学省などに協力を要請した。食の安全を確保し、生産者の風評被害を避けるのがねらいだが、調整は難航している。政府は同原発の半径20キロ圏内からの避難指示に加え、20キロ以上30キロ圏内でも屋内退避を要請。福島第二原発についても半径10キロ圏内からの避難を指示している。だが、農水産物については出荷の自粛などを求める基準はない。福島県のある卸売市場では、県内で収穫された野菜や果物が15日も取引された。
農水省は、原発トラブルが深刻になってきた13日ごろから「自発的な出荷自粛」を地元に求めることを検討してきた。だが、福島県は14日、地元市町村や農協などに対して「避難地区内の農林水産物は住民が全員避難しているため、現実的に出荷できる状況にない。(避難地区内の)出荷の可否の判断は生じない」との通知を出した。県としての判断を避け、避難地域周辺からの出荷の是非にも触れていない。
厚労省も「うちだけでは判断できない」(食品安全部監視安全課)との立場。文科省も13日、空気中の放射線量の測定結果の報告を1日2回以上に増やすよう都道府県に依頼したが、農水産物や農地への影響の測定までは手が回っていない。
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