

2011年03月16日
大震災の影響で、日常生活は15日も乱れた。原発事故の影響が広がっており、計画停電は横須賀市や厚木市、横浜市などで実施された。横須賀市や川崎市では放射線量が通常値を超えて観測された。こうした中で、被災地で苦しむ人たちを助けようという人の輪が、続々とつながっている。 東京電力神奈川支店によると、この日、県内での計画停電は午後8時までの時点で、信号などを含めた約92万件という。
横須賀市や逗子市などの一部地区がまず、午前7時前から停電した。横須賀市馬堀町の高齢者向けデイケアサービス施設では、照明が消えてうす暗くなった部屋に高齢者がたたずんでいた。停電が終わるまで入浴もできない。
停電になることを知らなかった高齢者もいたといい、職員の高橋聖美さん(38)は「部屋が暗いと高齢者は不安になる。停電情報をパソコンで見てくれと言われるが、高齢者はパソコンが使えない。ちゃんと情報が伝わるようにしてほしい」と訴えた。
その後、夜にかけて、停電は各地に広がった。混乱する場面は少なかったが、横浜市泉区内の信号機が消えた交差点で、車同士の衝突事故が1件あった。
横浜市南区の横浜弘明寺商店街では、アーケード片側の店舗だけの電気が止まる光景がみられた。それでも客足は絶えず、食品や日用品を買い求める人が多かった。
停電が始まったのは午後1時ごろ。喫茶店や弁当店が店を閉める中、明かりが消えたままの豆腐店は向かいの洋服店からコンセントを借り、レジ精算ができるようになった。洋服店主の滝口敬一郎さん(67)は「商店街仲間で助け合わないと」と笑った。
午後3時50分ごろ、厚木市の一部が停電。市役所そばの交差点は信号が消え、車や歩行者が立ち往生した。そこへ作業着姿の男性が現れ、赤い棒とホイッスルを巧みに使って人や車の流れを見事にさばいた。近くのマンション建築現場で交通誘導をしている沖山庶宏さん(66)だった。歩行者も「信号より速い」と感心。沖山さんは「これでメシを食ってるからね」と話し、すぐに現場へ戻った。
夜のライトアップを中止する施設が増え、節電の動きも本格化している。
13日からライトアップを止めた横浜ランドマークタワー(横浜市西区)では、館内でもエレベーターの一部停止や廊下の照明の一部消灯を実施し、入居するテナントにも節電を呼びかけているという。
横浜マリンタワー(同市中区)も11日からライトアップをやめ、展望エリアも臨時休業。学生の観光客が見込める時期だが、営業担当者は「被災地のことを考えたら客足どころじゃない」と話した。
横浜市などがつくる「ヨコハマ夜景演出事業推進協議会」は15日、夜間にライトアップしている観光施設に中止を呼びかけた。
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東京電力によると、計画停電は16日も行われる。電力需要によっては直前で中止になる可能性もある。問い合わせは東電まで。
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写真左:信号機が停止し、警察官が交通整理にあたった=15日朝、横須賀市の京急浦賀駅前
写真右:停電で照明が消えても営業を続ける豆腐屋=15日午後、横浜市南区の弘明寺商店街