
2011年3月15日22時23分
東日本の都道府県の一部で、環境中の放射線量の測定値が通常より高い値を示している。文部科学省によると、15日朝から15日夕にかけて栃木、群馬、埼玉、東京、千葉、神奈川、山梨、静岡の1都7県の定点で測定された大気中の放射線量が、近隣国の核実験時などを除き、調査開始以来の最高値を示した。
いずれも健康被害が出るレベルではないが、文科省は「平時より高くなっていることは事実」として、測定をしている都道府県に対し、1日2回以上報告するように要請した。
東日本の各都県が把握する最高値を15日、朝日新聞が夕方までに取材したところ、福島市で毎時23.18マイクロシーベルト(マイクロはミリの千分の1)、茨城県北茨城市で毎時5.575マイクロシーベルトを記録するなど、原発立地でない場所でも高い値が観測された。

ただ、各自治体が発表する数値データの単位は、「シーベルト」と「グレイ」が混在している。「シーベルト」は放射線で被曝(ひばく)した時の人体への影響を表す単位で、吸収した放射線エネルギー量の単位が「グレイ」だ。大気中の放射線の影響を考える時、1時間あたりの「マイクログレイ」は、1時間あたりの「マイクロシーベルト」と同じと考えてよい。
各都道府県の通常の平均は毎時0.025マイクロシーベルトから毎時0.15マイクロシーベルトぐらいで、国内でも地域によって数倍の差がある。日本平均は毎時0.05マイクロシーベルト。世界にはその10倍以上の高自然放射線地域もある。
文科省は15日、福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の事故で屋内退避区域とされている原発から20キロ以上、30キロ以内の範囲に、放射線測定を行うモニタリングカー6台を投入、放射線の測定をはじめた。文科省は「周辺住民の安全と安心の確保のため」としている。
気象庁によると、16日に気圧の谷が北日本を通過し、その後、全国的に冬型の気圧配置が強まる。この影響で、福島第一原発の風下の関東地方は10メートル以上の強い北寄りの風が吹くという。この傾向は18日ごろまで続くという。
東京では16日午後から10メートル以上の北から南への風が吹き、水戸市でも同日朝から、北西から南東への風が強まる。さいたま市では同日朝から、強い北から南への風が吹き、横浜市でも午後以降、西から東への風が次第に北寄りの強い風にかわる見通し。
」