アメリカンアイドルの15回目で最終シーズンに、今までにない、凄い歌唱力の優勝候補が出ている。
黒人女性で小さくて太っていて、決して容姿が良いとは言えないが、(そんなことは、殆どの歌手がそうだから問題にはならない、多分。)歌に魂がこもっていて、毎回泣かされる。
過去の優勝者の映像も放送されるが、さっぱり上手いのは居ないので、所詮、素人の喉自慢だからこんなものかと思っていたら、ラポーシャ・ルネーは違っていた。
コブシもよく回せるし、音程も良く、曲に上手くメリハリが付けられて、ここぞ、と言う見せ場を作り出して、聴き手を圧倒する力を持っている。
過去にも、優勝しなかった中に上手い人はいた。
今日ゲストで出ていた、アダム・ランバートも上手い。
ラポーシャが他の人とは違うのは、未だ22歳だっていうのに、酷く辛い人生を送って来て、今やっと、そこから抜け出ようと命懸けであることだと思う。
理想の人と巡り会って結婚したのに、結婚した途端、暴力夫に変貌して、彼女の歌手になる夢も人格も、女性としての尊厳も踏みにじられて、絶望してしまったのだそうだ。
でも、赤ちゃんが出来て、この子を守れるのは自分だけだ!
と気が付いて、シェルターに逃げ込み、子供に歌を聴かせている内に、又、歌手になる夢を思い出して、アメリカンアイドルに出場したのだそうだ。
『女は弱し、されど母親は強し』 を地で行っているのが素晴らしい。
今日歌ったのは、もう苦しまない、と言う内容の歌だったと思うが、本当に鬼気迫る迫力で、歌い終わった後には、咽び泣いていた。
リアル人生がそこに有るのだ。
どれだけ辛いことだろうか?
実力で行ったら、間違い無く、ぶっちぎりで優勝するはずだが、そこはいかんせん、素人の投票で決まってしまうので、何とも言えない。
この人には、優勝して欲しいと思う。
もしか出来なくても、きっと、歌手になって幸せになって欲しい。